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第七十五話 挨拶
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宿屋の受付にいた少女に惜しまれつつ、サイリール達は出発した。
御者席に座ったアソートが苦笑しつつ先程の出来事を語った。
「まさか泣くとは思わなかったよ。君とボクにしがみついて、いかないでーって。びっくりしちゃった。あはは」
「うん、エルにも昔言われたけど、ちょっと僕達美形にしすぎたかな?とはいっても、今更アソートや自分を変える気はないんだけども」
「さすがにねー。ボクも今の姿が好きだし、何より、あの子達に知らない人って態度とられたらボクはショックで死んじゃうよー」
アソートの言葉を聞いて、サイリールも真剣な顔で頷いた。
「僕もそれは耐えられないかも……」
「ねー。ボクも無理だぁ。妹達に避けられたら……ショックすぎるもの」
そんな会話をしていると、馬車の中から子供達が声をかけてきた。
「パパー!しょうかいー!はやくー!」
「はぁくー!しょかいー!」
サーシャとファニーが揃って御者席に顔を出してきた。
それを見たアソートがサイリールからすっと手綱を預かり、任せてと笑顔で頷いた。
エルと交代してもらう事も考えたが、短時間だろうし大丈夫だろうと思い、目線でアソートに感謝を伝えるとサイリールは馬車の中に入っていった。
「はいはい、二人共落ち着いて。そんなに大きな声を出すとフォウがびっくりするだろう?」
そう言われて二人は同時にばっと口を押さえた。
そんな二人を見て苦笑しつつ肩に乗っていたフォウをそっと手の平にのせて、彼女達の目線の高さまでおろした。
口を押さえながら二人は目をきらきらさせてフォウを見つめていた。
「この子の名前はフォウ、昨日弱っていた所を保護したんだ。まだ赤ちゃんだから、乱暴にしちゃいけないよ?分かった?」
口を押さえたままコクコクと頷く二人。
「もう喋ってもいいよ、でも大きな声は出さない事。いいね?」
口をぎゅっと閉じたまま、二人とも勢いよく手をあげて了解を示した。
そんなかわいい二人の仕草にサイリールも笑顔になる。
「うん、いい子だ。それとこの子は小さいけどとっても頭が賢いんだ。まだそんなに多くはわからないと思うけど、簡単な言葉ならこの子は理解できるんだよ。仲良くしようね」
「「うん!」」
ぴったり同じ返事を返した二人にフォウに挨拶をしてごらんと促した。
「フォウ、はじめまして。サーシャはね、サーシャっていうんだよ。よろしくね!」
サーシャの挨拶にフォウはぴぃと鳴いて、サーシャの真似をしてお辞儀をした。
「ふぉうー。ふぁにーはふぁにーなの。よろちくね」
両手をあげてフォウに挨拶するファニーに、フォウも両足で立ってぴぃ!と鳴いた。
二人ともそんなフォウを見て頬を真っ赤なリンゴにしている。
「「かわいー!」」
そしてフォウと子供達で遊び始めたのでそれを眺めていた。
ファニーがまだ力加減が調整できない分、サーシャが気を使ってくれており、フォウも楽しそうに二人の体の上を走り回っている。
大丈夫そうだな、と判断したサイリールはエルにあとを任せて御者席に戻って行った。
「アソート、ありがとう。アソートも中で一緒に遊んでくれててもいいよ」
「いや、いいよ、ボクは昨日散々フォウと遊べたからね」
そう言って笑うアソートにサイリールも笑みを溢した。
少しの沈黙の後、静かにサイリールが話しだした。
「アソート、次の街について、3日目の夜に、サーシャとファニーに話そうと思う」
「そっか。うん。分かった」
「……ファニーはまだ小さいからあまり理解出来ないかもしれない。けど、きっとサーシャは分かる。泣いてしまうかもしれない。だから、一緒にいてくれないか……?」
眉尻が大きく下がった情けない顔をして、アソートを見た。
アソートは苦笑しつつ、頷いた。
「大丈夫だよ、サイリール。あの子は泣いちゃうかもしれないけど、しっかりした子だから、きっと大丈夫だよ」
「うん……」
そうして馬車は街へ向けてゆっくりと進んでいった。
御者席に座ったアソートが苦笑しつつ先程の出来事を語った。
「まさか泣くとは思わなかったよ。君とボクにしがみついて、いかないでーって。びっくりしちゃった。あはは」
「うん、エルにも昔言われたけど、ちょっと僕達美形にしすぎたかな?とはいっても、今更アソートや自分を変える気はないんだけども」
「さすがにねー。ボクも今の姿が好きだし、何より、あの子達に知らない人って態度とられたらボクはショックで死んじゃうよー」
アソートの言葉を聞いて、サイリールも真剣な顔で頷いた。
「僕もそれは耐えられないかも……」
「ねー。ボクも無理だぁ。妹達に避けられたら……ショックすぎるもの」
そんな会話をしていると、馬車の中から子供達が声をかけてきた。
「パパー!しょうかいー!はやくー!」
「はぁくー!しょかいー!」
サーシャとファニーが揃って御者席に顔を出してきた。
それを見たアソートがサイリールからすっと手綱を預かり、任せてと笑顔で頷いた。
エルと交代してもらう事も考えたが、短時間だろうし大丈夫だろうと思い、目線でアソートに感謝を伝えるとサイリールは馬車の中に入っていった。
「はいはい、二人共落ち着いて。そんなに大きな声を出すとフォウがびっくりするだろう?」
そう言われて二人は同時にばっと口を押さえた。
そんな二人を見て苦笑しつつ肩に乗っていたフォウをそっと手の平にのせて、彼女達の目線の高さまでおろした。
口を押さえながら二人は目をきらきらさせてフォウを見つめていた。
「この子の名前はフォウ、昨日弱っていた所を保護したんだ。まだ赤ちゃんだから、乱暴にしちゃいけないよ?分かった?」
口を押さえたままコクコクと頷く二人。
「もう喋ってもいいよ、でも大きな声は出さない事。いいね?」
口をぎゅっと閉じたまま、二人とも勢いよく手をあげて了解を示した。
そんなかわいい二人の仕草にサイリールも笑顔になる。
「うん、いい子だ。それとこの子は小さいけどとっても頭が賢いんだ。まだそんなに多くはわからないと思うけど、簡単な言葉ならこの子は理解できるんだよ。仲良くしようね」
「「うん!」」
ぴったり同じ返事を返した二人にフォウに挨拶をしてごらんと促した。
「フォウ、はじめまして。サーシャはね、サーシャっていうんだよ。よろしくね!」
サーシャの挨拶にフォウはぴぃと鳴いて、サーシャの真似をしてお辞儀をした。
「ふぉうー。ふぁにーはふぁにーなの。よろちくね」
両手をあげてフォウに挨拶するファニーに、フォウも両足で立ってぴぃ!と鳴いた。
二人ともそんなフォウを見て頬を真っ赤なリンゴにしている。
「「かわいー!」」
そしてフォウと子供達で遊び始めたのでそれを眺めていた。
ファニーがまだ力加減が調整できない分、サーシャが気を使ってくれており、フォウも楽しそうに二人の体の上を走り回っている。
大丈夫そうだな、と判断したサイリールはエルにあとを任せて御者席に戻って行った。
「アソート、ありがとう。アソートも中で一緒に遊んでくれててもいいよ」
「いや、いいよ、ボクは昨日散々フォウと遊べたからね」
そう言って笑うアソートにサイリールも笑みを溢した。
少しの沈黙の後、静かにサイリールが話しだした。
「アソート、次の街について、3日目の夜に、サーシャとファニーに話そうと思う」
「そっか。うん。分かった」
「……ファニーはまだ小さいからあまり理解出来ないかもしれない。けど、きっとサーシャは分かる。泣いてしまうかもしれない。だから、一緒にいてくれないか……?」
眉尻が大きく下がった情けない顔をして、アソートを見た。
アソートは苦笑しつつ、頷いた。
「大丈夫だよ、サイリール。あの子は泣いちゃうかもしれないけど、しっかりした子だから、きっと大丈夫だよ」
「うん……」
そうして馬車は街へ向けてゆっくりと進んでいった。
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