追放されて一人になったので全部斬る!

ルノ

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追放少女とドリル

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ダンジョンの中で戦闘するアレン達パーティーの前に。
巨躯の蛇竜が地を這う轟音とともに姿を現した。

鱗は黒曜石のごとく硬質で、幾重もの魔力をまとい、動くだけで地鳴りが走る。
その頭部は異様な構造をしていた。

螺旋状の甲殻が重なり、回転するたびに空気を切り裂く音を響かせている。
まるで花弁のように層を成し、回転しながら地を抉り、穴を穿つ。
これこそが、地上への穴を開けモンスターの群れを噴出さようとした“穿孔頭殻せんこうとうかく”の正体だった。

アレンたちは、その巨体に対峙する。
かつてのパーティーの面影はもうない。
幾人かは死に、幾人かは離れ、今共にあるのは半壊した別のパーティーから合流した者たち。

それでも退く選択肢はなかった。

「前衛、展開! 盾を構えろ!!」

アレンの指示で、盾を持つ騎士たちが前に出た。
だが。

甲高い回転音。

蛇竜の回転する頭殻が一掃するように振るわれ、騎士たちは吹き飛ばされる。

「アレを止めなければ、何もできん!」

アレンは仲間に指示を叫ぶ。
残された冒険者たちは強化された拘束具――魔導繊維で編まれた“縛鎖糸”を使い、頭殻に絡みつかせる。
次々に結界杭を打ち込み、旋回を止めることに成功する。

しかし、その瞬間だった。

蛇竜の頭部が、まるで蕾が開くように開放された。
螺旋状の甲殻の奥、中心部に潜んでいた“魔晶核”が露わになる。
そこに集束する眩い光。
そして、次の瞬間。

「ぐ……あっ……!」

アレンの胸を、閃光が貫いた。

後衛にいた者たちが、悲鳴を上げる。
アレンが倒れたことにより、指示が乱れ、陣形が瓦解していく。

蛇竜の魔晶核が再び光を収束し始める。
今度は、無防備になった仲間たちに向けて。

その時だった。

ヒュウッ!

数本の矢が、風を切って飛来し、露出した魔晶核へと突き刺ささる。

「ギイイィィィィ!!」

蛇竜が絶叫し、魔晶核を守るように頭殻を閉じる。

「まったく……! 指揮官が倒れてどうするのよ!」

弓使いのリアが、姿を現れた。
背後には、ミミズとの死闘を潜り抜けた冒険者たちがいた。
誰もが傷だらけ。
立っているのがやっとの者もいる。

だが、その目に宿る光は消えていなかった。

「この魔物を逃がせば、また地上に穴を開ける!」

「今ここで、止めなきゃならないのよ!」

弓使いの言葉に、誰もが頷いた。
アレンの仲間たちも、他のパーティーも、言葉なく剣を構える。

疲労と傷で、もう限界は近い。
だが、それでも前を向く。

諦めない。
その想いだけが、今の彼らの武器だった。

そして、彼らは再び、死地へと歩を進めた。
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