『狭間に生きる僕ら 第二部  〜贖罪転生物語〜 大人気KPOPアイドルの前世は〇〇でした』

ラムネ

文字の大きさ
84 / 213
日常のひと時

友達のクシャミが喧しすぎる件について、誰か助けて下さい

しおりを挟む

私は蓮くんの手を引いて、雑貨屋を目指した。雑貨屋はここから1つ上に上がった二階にあって、そこでは主に女子中高生向けの文房具や、アクセサリー、鞄とか諸々売られてるんだけど、私の目当てはただ一つ。

私の愛するジュンヒョンのグッズ!


「どこに行こうとしてるんだよ」
蓮くんとエスカレーターに並んで乗っているとき、蓮くんはギュッと手すりに掴まって下を見ないようにしていた。高所恐怖症なのだ。私たちが幼稚園児の時に、蓮くんがどうしても幼稚園の二階には上がらないのだと泣いて抵抗していたのを思い出す。でも今は、エスカレーターに乗れている。
「…成長したね」
「は?」
「別に」

エスカレーターを下りて、洋服屋さんとメガネ屋さん、化粧品売り場を通り過ぎると、私の愛しいジュンヒョンのポスターが雑貨屋の入り口近くの壁に貼られているのが見えた。蓮くんが握っていた私の手を離した。

「俺、入りづらいよ」
確かに、この雑貨屋は女子中高生がターゲットだから当然お客さんの中には、私みたいな女子学生が多い。だけど、中には彼女へのプレゼントを買うために訪れる男性客もいるのだ。

「大丈夫でしょ。ほら、あれ」
大学生くらいの男の人が、入り口近くで販売さえれているアクセサリーコーナーをうろうろしている。
「来てよ」

どうしてか店に入りたがらない蓮くんを無理やり雑貨屋に連れ込んだ。今は鞄や文房具はどうでもいい。私の愛しいジュンヒョンは、店の一番奥にある。

「k-popコーナー?」
韓国アイドルに興味のない蓮くんからしたら、ただ男の顔が印刷された摩訶不思議な商品が売られている空間かもしれないけど、ごめん、今は付き合って。

「俺、いなきゃダメ?」
他の韓国アイドルのグッズもあるのに、蓮くんは何故かジュンヒョンのグッズを恨めしそうに見ている。私が籠に、ジュンヒョンのクリアファイル、定規、ノート、スマホケースを次々と入れていくほど、蓮くんはますます不機嫌になる。もう…何でよ。

「蓮くん」
私が目を離しているうちに店から出ようとしていた蓮くんを止めて、最近知った韓国語を披露してあげた。
「パボヤ!」
「…はあ?」

蓮くんは韓国語を全く知らない。私に左手を握られたまま、口を半開きにして私を見ている。
「どういう意味だよ」
「バカってこと。カッコいい人をカッコいいって思って何がダメなの」
蓮くんは口を尖らせて、私から目を逸らしている。
「…じゃあさ、世界で一番カッコいいって思ってるってことか?」
「いや、それは…」
私は蓮くんの手を離した。

言えるわけがない。

ジュンヒョンのことは蓮くんに似ているから好きになっただなんて。

…蓮くんが世界で一番カッコいいなんて。

「ご来店ありがとうございましたー」
雑貨屋を出たのは、12時10分過ぎ。まだまだ時間はある。あんなに拗ねていたのに、蓮くんはジュンヒョンのグッズが大量に入った袋を代わりに持ってくれている。

「蓮くんはどこか、行きたいところ無いの?」
まあ、蓮くんはショッピングモールに行きつくしてるから、今更知らない店なんて無いんだろうけど。

「…俺…あそこに行きたい。bloom&brew…」
蓮くんの私の手を握る力が少し強くなった。
「…良いよ。行こう」
私は蓮くんの手を強く握り返した。

bloom&brewは、蓮くんと私が付き合って初めて二人だけで行ったジュース専門店。安いし、美味しいし、珍しい味のもあるから、学生や家族連れに人気の場所。確か、蓮くんはあの時、イチゴとリンゴのミックスジュースを飲んでたっけ。

「うわあ、結構種類増えたね」
実際行ってみると、メニュー表は目を凝らさないと見えないくらい沢山の種類のジュース名で埋め尽くされていた。私は頑張って文字を読もうとするけど、蓮くんは目が良いから目を細めることもない。
「俺、パイナップルのスムージーにする。佳奈美は?」
「うそ!本当にパイナップル平気になったの?」
信じられない。あんなに怖がっていたのに。幼稚園の時は、パイナップルを見ただけで逃げていったのに。
「…好きだ…から…。佳奈美は?」
「私、イチゴとリンゴのミックスジュース」
蓮くんがハッとした顔で私を見た。
「蓮くんも覚えてる?次に来たときは、お互いの飲み物を頼んでみようって約束したもんね。覚えててくれてありがとう」

そうだった。私は初めてここに来た時、今から蓮くんが飲もうとしているのと全く同じパイナップルスムージーを頼んだんだった。

私と蓮くんは並んでレジに立って、注文を始めた。
「以上の2点でよろしかったでしょうか」
「はい」
「合計500円頂戴します」
蓮くんが財布から500円玉を取り出して、店員さんに渡すと、別の店員さんがほとんど同時に私たちのジュースをトレイに乗せて私たちに渡してきた。

「二人に幸が訪れるよう」

ジュースのカップに黒いマーカーでメッセージが書かれていて、ストローは途中でハート型にくるりと曲がったタイプのものが刺さっている。蓮くんのは黄緑色で、私のは薄い紫色。これは、カップル限定のストロー。

幼稚園児と小学校高学年くらいの男と女の兄弟が、大人しく二人並んで私たちの隣で、美味しそうにジュースを飲んでいる。りこちゃんと圭吾くんみたい。二人が戻ってきたら、連れてきてあげたい。桜大兄ちゃんも一緒に。

蓮くんはパイナップルスムージーを3分の1くらい飲んで、少しリニューアルされた店内を見渡している。
「蓮くん」
「ん?」
蓮くんは内装に興味津々で、私の顔を見ずに返事した。
「いつか子供達を連れて来ようよ」
「…うん」
蓮くんはやっぱり、私の顔を見ないで首を縦に振った。

その瞬間。

「ハアックショーン!!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...