symbolic【短文・詩】

琥珀

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陰陽

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背表紙が破れかけた 古びた本を

綺麗な包装紙で覆うように

外見だけ見繕って 背中にはファスナー

顔には穏やかな仮面をつけて

はい、出来上がり

それが 私の事を知る 人々の印象

自由に取り替えて

掃いて捨てるほど 大量生産

いつか宇宙ゴミのように 永遠に漂う


理屈抜きでは 理解出来ないでしょう?


そこかしこで聞き伝う

ありもしない仮定に

惑わされ

翻弄され

勝手に凹んで

人知れず 自縛する


立ち直る術は

心臓に刺さっているサーチライトの光だけ

蠱惑的に 揺らめき

『こっちに来て』と優しく耳元で囁く

藁をも掴むように 心は惹きつけられて

離れられない 知恵の輪へと誘われる

そして永遠に

ブラックホールへと吸収されていく
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