symbolic【短文・詩】

琥珀

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春の行方

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いつかの芽生えは夢のように過ぎて
そして突然 儚く溶け堕ちた

ブロックが積み上げられて
完成形を目指していた
ワクワクした遠い日に
今あなたは、何を思い浮かべるのだろう

疑心暗鬼に瞳が揺れて
全てを葬り去ろうとしても
薄皮がそうっと 剥がれ落ちていく
無理に剥がそうとすれば失血
いつかブレるように薄らいでいくのか

理想と現実の狭間で
皆 同じ事を考える
楽になりたい、と
幸せになりたい、と

突然 スカートが突風で靡く
春が冬を誘いにきた
後ろは振り返らずに
裾を力強く握って駆け出した


*2023年2月執筆の作品です
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