佐々木と吉田 崩壊するのに、どうやって戦争すんだよ編

崩壊するのに、どうやって攻めるの？

平和を愛する腰抜け

「あの・・・・・さぁ」
「はい」
「中国の歴史を読んでるとね」
「はいはい」
「特に宋とか、南宋って時代のを読んでると・・・・」
　佐々木が手を振る。
「アイツらほんと、まったく戦争しないよ」
　ハハハハハッと軽く吉田は笑う。

「イイ言い方をすると、中国人は平和を愛する人たち」
「はい」
「悪い言い方をすると、腰抜け」
　ハハハハハッと吉田は笑う。

「孫子の兵法書ってあるじゃん」
「はい、三十六計」
　そうそう、と佐々木は頷く。
「あれにさぁ、戦わずに勝つ、策略で戦争せずに勝つのが最上だってあるじゃん」
「そうですね」
「で、確かにそれは事実なんだけど、同時にこれが中国人の、正しく言えば漢民族の精神構造というか、世界観というか、戦争っていうものの考え方を表してると思うのね」
　苦笑しながら、なるほど、と吉田は頷く。

「戦争ってものをどこか、無駄なこと、野蛮なことって思ってるところがあるのね」
「でもそれは・・・・・・」
　吉田が反論する。
「漢民族であって、今の中国人は違うんじゃないんですか？」
「違わねぇとよ、さして」
　まぁ確かに、と吉田が苦笑する。