佐々木と吉田 崩壊するのに、どうやって戦争すんだよ編

崩壊するのに、どうやって攻めるの？

余計な事はしない

「とにかくね」
「はい、とにかく」
「中国人はメンツメンツの人たちなのね」
「・・・・・・先輩の話に、すでに矛盾があるんですけど」
「何が？」
　苦笑しながら佐々木が問う。

「中国人には地方性がある、みたいな話してたじゃないですか」
「だから上流国民というか、保守的な人らというか」
「はい、まぁ分かりますけどね」

「まぁ、とにかく」
「はい、とにかく」
「メンツが大切な人らでさぁ」
「はいはい」
「そのメンツを傷つけられたら、顔を潰されたら、後には引けない訳じゃん」
「そうですね」

「さっきも話したけど、台湾侵攻をするかしないかじゃなくて、成功するかどうかで言うと、そりゃ成功しないよって言うのは、みんな思ってるわけじゃん」
　佐々木が指を回す。
「もうと言えば、失敗すれば、政権崩壊にも繋がるしね」
「はいはい」
「そんなこと普通考えたらしないよ」

「でもその、普通ならやらないことをする時がある」
　佐々木が手を振る。
「それはメンツを潰された時な訳じゃん」
「はいはいはい」
「つまりメンツを潰されたら、負けると分かっていて、破滅するかもしれないって分かっていてやる訳だろ」
「そうですね」

「つまりさぁ」
「はい」
「つまりそれを逆側から、俺らの側から見た時にはさぁ、メンツさえ潰さなければさぁ、相手はやらない訳じゃん」
「はいはいはい」
「だから俺はねぇ・・・・・誰とは言わないけどアソーさんとかがさぁ」
「はい、誰とは言わないけど」
　苦笑しながら吉田が頷く。
「余計な事すんなよって俺は思う」