佐々木と吉田 崩壊するのに、どうやって戦争すんだよ編

今の中国は昔の日本で、未来のインド

ゼロの概念、関係ねえよ

「数学が出来て、平和を愛し、寛容な、そしてゼロの概念を生み出した優れた民族である、このインド人が」
「はい、このインド人が」
「戦争を好み、収奪的な欧米人の支配を打破して、平和な世界に人類を導く」
「ハハハハハハッ、どっかで聞いてことある話ですね」
　吉田が笑う。
「そんなもの繰り返しだから」
　そうですね、と吉田が頷く。

「まぁ、とにかく」
　佐々木が話を続ける。
「俺たち優れた民族であるインド人が、人類を、そして世界を導いていくんだって、インド人は言うわけじゃん」
「そうですね」
「で、それを聞きた、欧米人が・・・・アメリカやカナダやオーストラリアの白人が」
「はいはい」
「そうなだ、その通りだな」
　佐々木が胸に手をやる。
「優れたインド人が俺たちを導いてくれたら、世界から戦争がなくなる・・・・・って言うと思うか？」
「思わないです」
　苦笑しながら、吉田は首を振る。

「ふざけんな、俺たちの国から俺たちの富を奪いやがって」
「でも白人も元々、移民ですけどね」
「ゼロの概念を生み出した？関係ねぇだろ」
「それは、そうだ」
　吉田が苦笑する。

「とにかく白人は、そう言うワケじゃん」
「そうですね」
「で、今言ったけど」
　佐々木は指を回す。
「これって繰り返しなのね」
「はいはい」
「昔、日本人がそういうこと言って、今、中国人が同じこと言ってるのね」
「はい、そうですね」
「欧米の、西洋の、白人の社会は、戦争ばっかしてる、収奪の世界なんだと」
「はい」
「最も欧米人はさぁ」
　佐々木が手を振る、
「俺ら、他の民族からすれば、戦争ばっかしてる収奪の価値観を広めることを、啓蒙って呼んでたのね」
「ハハハハハッ、そんなもんです」