佐々木と吉田 アニメ声優に必要なのは、お約束のギャグ編

二回以上観ているから、つまんないって言う権利がある

「言ってとくけど、吉田」
「はい」
「俺はさんまさんの番組の松本さんの番組も、たけしさんの番組も何も観ていない」
「ハハハハハッ」
「ブラタモリだけ観ている」
「はい、はい」

「それもね」
「はい」
「リアルタイムじゃ観てないんだけど・・・・・・すっごい暇な時は見るけど、大概録画して観るのね」
「はい」
「で・・・一回観て、それ消さずに三ヶ月、二ヶ月ぐらい経ってもう一回観るのね」
「はいはい」
「で、あんまりハマらなかった回はそこで消すのね」
「はい・・・・・あっ、面白くなくても二回は観るんですか？」
　そうそう、と佐々木が頷く。
「ひょっとしたら良いとこあるかもしれないから、最低二回は観る」
「ハハハハッ、どんだけ好きだよ」

「で、残したやつを、なんかあった時にさぁ」
「なんかあった時って何があるんですか？」
　呆れながら吉田が問う。
「だから歴史小説みたいなの読んでて、あっこれブラタモリでやってた場所だ、みたいなのあれば」
「好きすぎだろう」

「であれ、バッカみたいに再放送するのね」
「そうなんですか」
「そうそう・・・・・だからもう、新しいのは月一ぐらいでしかやってない」
　へぇ、と吉田が呟く。

「でね」
「はい」
「再放送観てると、消した回がさぁ、あれ？これ意外と面白い、ってなるとまた残しちゃうのね」
　ハハハハハッと吉田は笑う。
「だからさぁ、ブラタモリってさぁ、二百回くらいやってんだけど、ハードディスクのブラタモリのフォルダーに百五十回くらい入ってるのね」
「四分の一くらいしか消してない」
　そうそう、と佐々木が頷く。

「つまり俺が言いたいのは」
「はいはい」
「二回以上観ているから、タモさんをつまんないって言う権利がある」
　うんうん、と頷いたあと、
「ないです」
と吉田は答える。