異世界で皇太子妃になりましたが、何か?第2巻

黒豆ぷりん

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第2章 働かざるもの食うべからず

10占い・・ムズい

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水晶玉の前に私と向かい合って座った男性は、先ほど占いをするかどうかを迷って、オドオドしていた人とは思えないくらい饒舌だった。

「あの・・占い屋さん・・占い屋さんでよかったですかね?」

「は、はい、いえ、私はプリンセスかぐやと言います」

「すみません、では、プリンセスかぐやさん、僕はパンを作るのが大好きで、よくパンを作っています。それで、家族や友人に僕の作ったパンを食べてもらうんだけど、すごく美味しいって、そう言ってくれるんです」

「そうなんですね。よほど、美味しんですね」

「はい、自慢をするわけではないんですが、僕の作るパンは最高に美味しいと自分でも思います。僕は自分が美味しいと納得できるパンを作るのが楽しいし、そうなるように必死で頑張っているのですから・・・・」

「それで?」

「僕は今、両親と一緒に住んでいて、野菜や果物を市場で売って生活をしています。仕事の合間にパンを作ってるんだけど・・・本当は僕のパンをたくさんの人に食べてもらいたくて、できたらパン屋になりたいな・・って思っていて・・」

「はい・・」

「パンは作るのにとても手間暇がかかります。そこを、パン屋の私が真心こめて美味しいパンを作り、買えばすぐに食卓で美味しいパンが食べられる・・というようにすれば、みんなが笑顔になれるのでは・・って思うのです」

「なるほど~!」

「でも、パン屋をするとなると、お金もそれなりに必要になるし、果たしてパンが売れなければ、たちまち倒産だし・・」

「パンは市場で売られるのですか?それとも、お家を店舗にされるのですか?」
「私は市場にパンを持って行って売るのではなく、家でパン屋をしたいのです。パンは鮮度が命ですから・・市場に運んでいる間にも、どんどんパンは劣化していきますから。なので、家の一部を店舗にしてパン屋をしたいのですが・・」

「なるほど・・」

「でも、家の周りにそれほど多くの人がいるわけでもなく・・果たしてわざわざ、買いに来てくれるのかと思うと不安になるし・・」

「そうですね・・人生を左右する大きな選択ですよね」

「そんな・・プリンセスかぐやさんまでプレッシャーをかけないで下さいよ・・」

「は、はい・・すみません」

「かまどに関しては、コツコツと大きめのかまどをこしらえていて、たくさんのパンが焼ける準備はしています」

「そうなんですね。それはすごいですね」

「で、私が家でパン屋をしても成功できるかどうかを占ってほしいのです」

あっちゃ~!!これはまた難しい占いじゃないですか・・パン屋が成功するかしないかなんて、そもそも、そんなこと、占えるのぉ~?あなたの人生を背負うなんてできませんけど~。

私は水晶玉の上に手をかざし、手をやみくもに動かしながら、シャノン~!!助けてぇ!!と心の悲鳴をあげた。すると、水晶玉の隣に座り、優雅に毛づくろいをしているシャノンが姿を現した。
「にゃ~ん」
甘い声で鳴いた後、シャノンは言った。

「リサ、落ち着け・・。占いは当たるも八卦、当たらぬも八卦だって・・・。この場合、成功するかしないかは50パーセントずつでしょ・・あてずっぽうでも50パーセントは当たるじゃん。テキトー、テキトー」

「もぉ~!真面目に言ってよう・・」
「私はいつでも真面目だよ。だって、この人のパンを食べたわけでもなければ、この人の家がどこにあるかも分からないし、マーケティングすらできないでしょ・・責任のある答えなんて、できるわけないじゃん・・」
「だよね~」

「プリンセスかぐやさん・・。あの・・占いは・・どうなんでしょうか」
男性は苦悩にゆがんでいる私の顔を見て、不安に思ったのか答えを催促した。

かまどまで作っているってことは、覚悟はできている。まだまだ若いし、失敗しても何度でもやり直せそうな気もする。
「シャノン!シャノンならどうこたえるの?お願い!教えて!」

「そうだなぁ~。この人には妖精がついてきていないんだよね」

「そういえば、そうだね~。見えないね」

「どんな妖精でもいればいい・・ということでもないんだけど、人を引き付ける妖精ってやっぱりいるんだよね・・。0ってことは今は0だよ。だから・・・。もう少しお店が繁盛するようなマーケティングをしたらどうか・・というかもね」

「そっか~。分かった」
手を止めた私は男性に向かって言った。

「プリンセスかぐやの占いです。お答えします。今はパン屋を開く時期ではないと占いに出ています。今しばらく、パンを売る方法やパンの店の立地条件などを勉強されてはいかがでしょうか。必ずその時期は来ると出ています。精進なさいませ」

そう答えると、男性は言った。
「そうですか」
少しがっかりしたようにも見えたが、その割には、表情は晴れ晴れしているようにも思えた。

「そうですね。私もまだ、自信がなかったから、占いに頼ろうと思ったんですね。分かりました。プリンセスかぐやさんの言葉を信じ、精進します。店を出す自信ができたら、パン持ってきます」
「はい。楽しみにしております」
「プリンセスかぐや・・ありがとう」

そう言うと、男性はテーブルの上に1000ルピー札を一枚置いて颯爽と帰っていった。
「こんなんで、よかったのかなぁ・・」
「それを決めるのは、彼自身しかないよ」
「そうだね」

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