異世界で皇太子妃になりましたが、何か?第2巻

黒豆ぷりん

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第3章 プリンセスかぐや

14憂鬱

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「ふぅ」

市場へ向かう時はあんなに素敵でキラキラして見えた景色が、どんよりとグレーな感じに見える・・。しかも、手に持った食材がさらにずっしりと重くなったような感じがする・・。

「はぁ・」

気が付けば、ため息の嵐だ・・

「おい!どうしたんだよ」

「リサ・・?」

「もしもし・・」

リアムの声がどこか遠くで聞こえる感じ・・・

って、私を呼んでいる?

「は、はい」

「さっきまであんなにハイテンションだったというのに、どうしたっていうんだ?腹痛でもおこしたのか?それとも腹が減りすぎて声も出ないのか?」

リアムがリアムなりに私を心配してくれているようだ。でも、お腹は痛くないよ、リアム・・どっちかというと胸・・そう、シャノンとの約束を破ってしまったことで、何が起こるか分からないという恐怖感で、苦しい。『どうしよう・・』ってリアムに・・口に出して言えたらどんなにいいだろう。

「ありがとう・・リアム。大丈夫。ちょっと、疲れただけだよ」

「そうか・・市場の人混みに出たのは初めてだしな・・人に酔ったかもしれないな」

「うん・・」

「そうか・・。じゃ、家に帰ったらものすごくうまいメシを作ってやるから、元気出せ。お前がしょげていると、なんだ、その、こっちの調子が狂う」

リアムはそう言いながら、バシッと私の背中を叩いた。

「痛ったぁ!!あ、あ、ありがと・・でも、ちょっとは加減して叩いてくれない?」

「お!すまんすまん。そうよな。おまえも、一応女の端くれだったな・・悪く思うなよ。はははは」

「一応女とは何?失礼なんだから・・お礼なんて言って損したわ。もぉ!」

リアムの屈託ない笑いにつられて、私も怒っているはずなのに、ついつい笑ってしまった。口は悪いけれど、こういう時は一緒にいるだけで気持ちが軽くなる。こういう押し付けない優しさに、今までも随分と救われてきたかもしれない。

 帰宅後は食材を、ああ見えて、かなり几帳面な性格のリアムの指示に従って、それぞれの場所に収納していった。恐ろしく整理されていた。おそらく私のいる世界に来たら、『これぞ極めた男子メシ!』『これぞ神の男子キッチン!』みたいなSNSとかYouTubeを開設し、超売れっ子になってたかもしれない。そんな妄想をしていたら、

「おまえ、何をにやにやしているんだ」

リアムが突っ込んできた。

「え?ニヤニヤなんかしてませんよ」

「いやいや・・かなりニヤニヤしていたぞ。今日の晩飯のことを妄想していたな」

「あはは・・ちがうよ、リアムがすごいなって・・」

「そんなこと、当たり前だ・・もっと褒めろ・・って、そんなこと露ほども思ってないって顔だが・・」

「ははは・・バレましたか」

「よし、じゃ、メシができるまで、しばらく部屋で休んでいろ。出来たら呼んでやる。さっさと部屋に戻れ」

「ほんとにそれでいいの?」

「早く部屋にいけ」

「うん、ありがと・・リアム」

私はリアムのありがたい言葉に甘えて部屋に戻った。ドアを開け、ベッドにドサリと倒れこむようにして寝転がった。一人になると急速に心臓がドキドキしてきた。シャノンに一体どう説明したらいいんだろう。

何の名案も浮かぶはずもなく、ぼんやりと天井をながめていた時だった。ふいに、いつもの聞きなれた声が聞こえた。

「にゃ~ん」

その瞬間に私の胸にいつものモフッとした感触がした。

「ありゃまぁ、何というひどい顔。どうしたっていうの?市場で相当酷い目にあったとか?」

私はシャノンを撫でながら、深呼吸をして息を整えた。

「あの・・どうしよう・・シャノン・・」

第一声をやっとのことで絞り出すように言った。


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