33 / 47
第3章 プリンセスかぐや
14憂鬱
しおりを挟む
「ふぅ」
市場へ向かう時はあんなに素敵でキラキラして見えた景色が、どんよりとグレーな感じに見える・・。しかも、手に持った食材がさらにずっしりと重くなったような感じがする・・。
「はぁ・」
気が付けば、ため息の嵐だ・・
「おい!どうしたんだよ」
「リサ・・?」
「もしもし・・」
リアムの声がどこか遠くで聞こえる感じ・・・
って、私を呼んでいる?
「は、はい」
「さっきまであんなにハイテンションだったというのに、どうしたっていうんだ?腹痛でもおこしたのか?それとも腹が減りすぎて声も出ないのか?」
リアムがリアムなりに私を心配してくれているようだ。でも、お腹は痛くないよ、リアム・・どっちかというと胸・・そう、シャノンとの約束を破ってしまったことで、何が起こるか分からないという恐怖感で、苦しい。『どうしよう・・』ってリアムに・・口に出して言えたらどんなにいいだろう。
「ありがとう・・リアム。大丈夫。ちょっと、疲れただけだよ」
「そうか・・市場の人混みに出たのは初めてだしな・・人に酔ったかもしれないな」
「うん・・」
「そうか・・。じゃ、家に帰ったらものすごくうまいメシを作ってやるから、元気出せ。お前がしょげていると、なんだ、その、こっちの調子が狂う」
リアムはそう言いながら、バシッと私の背中を叩いた。
「痛ったぁ!!あ、あ、ありがと・・でも、ちょっとは加減して叩いてくれない?」
「お!すまんすまん。そうよな。おまえも、一応女の端くれだったな・・悪く思うなよ。はははは」
「一応女とは何?失礼なんだから・・お礼なんて言って損したわ。もぉ!」
リアムの屈託ない笑いにつられて、私も怒っているはずなのに、ついつい笑ってしまった。口は悪いけれど、こういう時は一緒にいるだけで気持ちが軽くなる。こういう押し付けない優しさに、今までも随分と救われてきたかもしれない。
帰宅後は食材を、ああ見えて、かなり几帳面な性格のリアムの指示に従って、それぞれの場所に収納していった。恐ろしく整理されていた。おそらく私のいる世界に来たら、『これぞ極めた男子メシ!』『これぞ神の男子キッチン!』みたいなSNSとかYouTubeを開設し、超売れっ子になってたかもしれない。そんな妄想をしていたら、
「おまえ、何をにやにやしているんだ」
リアムが突っ込んできた。
「え?ニヤニヤなんかしてませんよ」
「いやいや・・かなりニヤニヤしていたぞ。今日の晩飯のことを妄想していたな」
「あはは・・ちがうよ、リアムがすごいなって・・」
「そんなこと、当たり前だ・・もっと褒めろ・・って、そんなこと露ほども思ってないって顔だが・・」
「ははは・・バレましたか」
「よし、じゃ、メシができるまで、しばらく部屋で休んでいろ。出来たら呼んでやる。さっさと部屋に戻れ」
「ほんとにそれでいいの?」
「早く部屋にいけ」
「うん、ありがと・・リアム」
私はリアムのありがたい言葉に甘えて部屋に戻った。ドアを開け、ベッドにドサリと倒れこむようにして寝転がった。一人になると急速に心臓がドキドキしてきた。シャノンに一体どう説明したらいいんだろう。
何の名案も浮かぶはずもなく、ぼんやりと天井をながめていた時だった。ふいに、いつもの聞きなれた声が聞こえた。
「にゃ~ん」
その瞬間に私の胸にいつものモフッとした感触がした。
「ありゃまぁ、何というひどい顔。どうしたっていうの?市場で相当酷い目にあったとか?」
私はシャノンを撫でながら、深呼吸をして息を整えた。
「あの・・どうしよう・・シャノン・・」
第一声をやっとのことで絞り出すように言った。
市場へ向かう時はあんなに素敵でキラキラして見えた景色が、どんよりとグレーな感じに見える・・。しかも、手に持った食材がさらにずっしりと重くなったような感じがする・・。
「はぁ・」
気が付けば、ため息の嵐だ・・
「おい!どうしたんだよ」
「リサ・・?」
「もしもし・・」
リアムの声がどこか遠くで聞こえる感じ・・・
って、私を呼んでいる?
「は、はい」
「さっきまであんなにハイテンションだったというのに、どうしたっていうんだ?腹痛でもおこしたのか?それとも腹が減りすぎて声も出ないのか?」
リアムがリアムなりに私を心配してくれているようだ。でも、お腹は痛くないよ、リアム・・どっちかというと胸・・そう、シャノンとの約束を破ってしまったことで、何が起こるか分からないという恐怖感で、苦しい。『どうしよう・・』ってリアムに・・口に出して言えたらどんなにいいだろう。
「ありがとう・・リアム。大丈夫。ちょっと、疲れただけだよ」
「そうか・・市場の人混みに出たのは初めてだしな・・人に酔ったかもしれないな」
「うん・・」
「そうか・・。じゃ、家に帰ったらものすごくうまいメシを作ってやるから、元気出せ。お前がしょげていると、なんだ、その、こっちの調子が狂う」
リアムはそう言いながら、バシッと私の背中を叩いた。
「痛ったぁ!!あ、あ、ありがと・・でも、ちょっとは加減して叩いてくれない?」
「お!すまんすまん。そうよな。おまえも、一応女の端くれだったな・・悪く思うなよ。はははは」
「一応女とは何?失礼なんだから・・お礼なんて言って損したわ。もぉ!」
リアムの屈託ない笑いにつられて、私も怒っているはずなのに、ついつい笑ってしまった。口は悪いけれど、こういう時は一緒にいるだけで気持ちが軽くなる。こういう押し付けない優しさに、今までも随分と救われてきたかもしれない。
帰宅後は食材を、ああ見えて、かなり几帳面な性格のリアムの指示に従って、それぞれの場所に収納していった。恐ろしく整理されていた。おそらく私のいる世界に来たら、『これぞ極めた男子メシ!』『これぞ神の男子キッチン!』みたいなSNSとかYouTubeを開設し、超売れっ子になってたかもしれない。そんな妄想をしていたら、
「おまえ、何をにやにやしているんだ」
リアムが突っ込んできた。
「え?ニヤニヤなんかしてませんよ」
「いやいや・・かなりニヤニヤしていたぞ。今日の晩飯のことを妄想していたな」
「あはは・・ちがうよ、リアムがすごいなって・・」
「そんなこと、当たり前だ・・もっと褒めろ・・って、そんなこと露ほども思ってないって顔だが・・」
「ははは・・バレましたか」
「よし、じゃ、メシができるまで、しばらく部屋で休んでいろ。出来たら呼んでやる。さっさと部屋に戻れ」
「ほんとにそれでいいの?」
「早く部屋にいけ」
「うん、ありがと・・リアム」
私はリアムのありがたい言葉に甘えて部屋に戻った。ドアを開け、ベッドにドサリと倒れこむようにして寝転がった。一人になると急速に心臓がドキドキしてきた。シャノンに一体どう説明したらいいんだろう。
何の名案も浮かぶはずもなく、ぼんやりと天井をながめていた時だった。ふいに、いつもの聞きなれた声が聞こえた。
「にゃ~ん」
その瞬間に私の胸にいつものモフッとした感触がした。
「ありゃまぁ、何というひどい顔。どうしたっていうの?市場で相当酷い目にあったとか?」
私はシャノンを撫でながら、深呼吸をして息を整えた。
「あの・・どうしよう・・シャノン・・」
第一声をやっとのことで絞り出すように言った。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる