32 / 47
第3章 プリンセスかぐや
13禁断の魔法?
しおりを挟む
「これから、どこに行くの?」
「市場だ。ついてこい。迷子になるなよ」
「は~い!」
「何を買うの?」
「食料。卵に牛乳、野菜、肉、魚などなど・・1週間分買うぞ。それから最後にパンも買う」
「わぁお!美味しそう!」
「おまえなぁ・・その食材の名前だけで美味しそう・・とか言うの、やめろ!料理がうまいのは、俺の腕がいいんだ・・まぁ、最高の食材を選ぶ俺の目利きがいいというのもあるが・・」
「は~い!!」
何気ないリアムとの会話がとても楽しく感じた。
市場が近づくにつれ、活気にあふれた賑やかな雰囲気が漂ってきた。一歩足を踏み入れると、そこには市場独特の香り、色彩も鮮やかな食材があふれんばかりに並び、積まれていた。
「いらっしゃい、いらっしゃい・・新鮮なトマト、ピーマン、ズッキーニ・・野菜ならなんでもあるよ」
「新鮮、美味しい卵なら、こちらだよ。鶏、鴨、うずらにあひる・・好きな卵が選び放題!」
それぞれの店の店主が声を張り上げていた。そんな中を、リアムは迷うことなく、あらかじめ決めてあったようなよどみない動きで、次々と買い物をすませていった。もはや、私の腕にもずっしりと、野菜や牛乳の入った袋の重みがかかっている。
「うっへ~!!これは重い・・腕がちぎれそうだよ~」
「おまえ、大げさすぎ・・お前の食う分だ。我慢しろ・・それでも足りないくらいだろ?」
「それはひどい~」
食材を買い終わると、最後にリアムが言った。
「これで今日の買い出しは終了だ!」
「やった~!!」
「家に帰る前に、アイスでも食うか?」
「うん、うん、うん!食べる!絶対食べる!さすがリアム!」
「返事は1回でいいというのに・・あさましい奴だ」
そう言いながらも、リアムは私の方に輝くばかりのまばゆい笑顔を向けていた。そ、そんな笑顔はずるいわ・・ちょっと、ドキドキするくらい、さわやかなんですけど・・。
木陰のベンチを見つけて、荷物を置くと、リアムは店に向かった。
私も重い荷物をやっとのことでベンチに置くと、それまで止まっていた血流が一気に流れるようなそんな感じがして、荷物から解放されたささやかな喜びを感じた。と、同時に、案外、リアムもいい感じ?などと胸をドキドキさせてしまった私・・。いやいや・・アイスのせいでいい人に見えてるだけだよ・・と即座に言い聞かせる。そう、これは単なる錯覚・・。
そのうち、棒つきアイスを両手に2本持ってリアムが、ベンチに戻ってくるのが見えた。私のためにありがとう!と言いながら手を振った。ところが、戻ってきたリアムはいきなり、アイスをわざと落とすような真似をして、私をヒヤリとさせ、焦る私の顔を見て笑い転げていた。
「もぉ~ほんとに子どもなんだから・・」
「ははは・・おまえのようなガキに子どもと言われるようないわれはないわ」
そう言いながら、赤いイチゴ味のアイスを私に手渡してくれたのだった。
「おいし~!!」
冷たくてさわやかな甘さのアイスだった。が、夢中で食べすぎ、途中で頭がき~んとなった。それを見て、リアムはまた笑い転げていた。
アイスを食べ終わり、そろそろ帰ろうかと言う時だった。5歳くらいの女の子がお母さんらしき女性と手をつないで歩いているのが目に入った。女の子は父親らしき男性が道の向こう側から歩いてくるのを見つけ、女性の手を振り払って、駆け出した。そこに、猛スピードで走ってくる馬車が突っ込んできた。
「キャー!!」
母親らしき女性の悲鳴と私の発した金色の光はほぼ同時だったかもしれない。
私は考える間もなく、女の子を金色の光で包み、馬車との衝突を避けていた。馬車が通り過ぎた後、何事もなかったように女の子は気持ちよさそうな顔をして、歩道に立っていた。母親らしき女性と父親らしき男性は女の子を抱きしめていた。
「よかった、よかった・・」
両親に抱きしめられた女の子は何が起こったのか分からずきょとんとするばかりだった。その光景を見ていたものは全員、しばらくあっけにとられていたようだったが、一瞬止まった人の動きは、ざわめきとともにすぐに再開され、何事もなかったかのように、人は動き始めた。
私は自分がとっさに魔法を使い、女の子を助けることができたことに驚いていた。と、同時に、シャノンから部屋以外の魔法は禁止されていたことが胸につっかえていた。多分、私が魔法を使ったことは誰にもバレてはいないと思う。いや、バレていないでくれ・・と願うばかりだ。女の子が助かったんだ・・これでよかった・・そう思いたい。
「リアム・・帰ろう」
「お、おい!、今の見たか?女の子が金色の光に包まれて身体が浮き上がったよな」
「・・・・」
「俺・・夢でも見てたか?」
「・・・・」
「リサ・・見たよな・・今の?」
「リアム!帰ろう!!」
思った以上に強い声が出ていた。何か私に異常な気配を感じたのか、リアムは話すのをやめた。
「そ、そうだな。帰ろう」
「市場だ。ついてこい。迷子になるなよ」
「は~い!」
「何を買うの?」
「食料。卵に牛乳、野菜、肉、魚などなど・・1週間分買うぞ。それから最後にパンも買う」
「わぁお!美味しそう!」
「おまえなぁ・・その食材の名前だけで美味しそう・・とか言うの、やめろ!料理がうまいのは、俺の腕がいいんだ・・まぁ、最高の食材を選ぶ俺の目利きがいいというのもあるが・・」
「は~い!!」
何気ないリアムとの会話がとても楽しく感じた。
市場が近づくにつれ、活気にあふれた賑やかな雰囲気が漂ってきた。一歩足を踏み入れると、そこには市場独特の香り、色彩も鮮やかな食材があふれんばかりに並び、積まれていた。
「いらっしゃい、いらっしゃい・・新鮮なトマト、ピーマン、ズッキーニ・・野菜ならなんでもあるよ」
「新鮮、美味しい卵なら、こちらだよ。鶏、鴨、うずらにあひる・・好きな卵が選び放題!」
それぞれの店の店主が声を張り上げていた。そんな中を、リアムは迷うことなく、あらかじめ決めてあったようなよどみない動きで、次々と買い物をすませていった。もはや、私の腕にもずっしりと、野菜や牛乳の入った袋の重みがかかっている。
「うっへ~!!これは重い・・腕がちぎれそうだよ~」
「おまえ、大げさすぎ・・お前の食う分だ。我慢しろ・・それでも足りないくらいだろ?」
「それはひどい~」
食材を買い終わると、最後にリアムが言った。
「これで今日の買い出しは終了だ!」
「やった~!!」
「家に帰る前に、アイスでも食うか?」
「うん、うん、うん!食べる!絶対食べる!さすがリアム!」
「返事は1回でいいというのに・・あさましい奴だ」
そう言いながらも、リアムは私の方に輝くばかりのまばゆい笑顔を向けていた。そ、そんな笑顔はずるいわ・・ちょっと、ドキドキするくらい、さわやかなんですけど・・。
木陰のベンチを見つけて、荷物を置くと、リアムは店に向かった。
私も重い荷物をやっとのことでベンチに置くと、それまで止まっていた血流が一気に流れるようなそんな感じがして、荷物から解放されたささやかな喜びを感じた。と、同時に、案外、リアムもいい感じ?などと胸をドキドキさせてしまった私・・。いやいや・・アイスのせいでいい人に見えてるだけだよ・・と即座に言い聞かせる。そう、これは単なる錯覚・・。
そのうち、棒つきアイスを両手に2本持ってリアムが、ベンチに戻ってくるのが見えた。私のためにありがとう!と言いながら手を振った。ところが、戻ってきたリアムはいきなり、アイスをわざと落とすような真似をして、私をヒヤリとさせ、焦る私の顔を見て笑い転げていた。
「もぉ~ほんとに子どもなんだから・・」
「ははは・・おまえのようなガキに子どもと言われるようないわれはないわ」
そう言いながら、赤いイチゴ味のアイスを私に手渡してくれたのだった。
「おいし~!!」
冷たくてさわやかな甘さのアイスだった。が、夢中で食べすぎ、途中で頭がき~んとなった。それを見て、リアムはまた笑い転げていた。
アイスを食べ終わり、そろそろ帰ろうかと言う時だった。5歳くらいの女の子がお母さんらしき女性と手をつないで歩いているのが目に入った。女の子は父親らしき男性が道の向こう側から歩いてくるのを見つけ、女性の手を振り払って、駆け出した。そこに、猛スピードで走ってくる馬車が突っ込んできた。
「キャー!!」
母親らしき女性の悲鳴と私の発した金色の光はほぼ同時だったかもしれない。
私は考える間もなく、女の子を金色の光で包み、馬車との衝突を避けていた。馬車が通り過ぎた後、何事もなかったように女の子は気持ちよさそうな顔をして、歩道に立っていた。母親らしき女性と父親らしき男性は女の子を抱きしめていた。
「よかった、よかった・・」
両親に抱きしめられた女の子は何が起こったのか分からずきょとんとするばかりだった。その光景を見ていたものは全員、しばらくあっけにとられていたようだったが、一瞬止まった人の動きは、ざわめきとともにすぐに再開され、何事もなかったかのように、人は動き始めた。
私は自分がとっさに魔法を使い、女の子を助けることができたことに驚いていた。と、同時に、シャノンから部屋以外の魔法は禁止されていたことが胸につっかえていた。多分、私が魔法を使ったことは誰にもバレてはいないと思う。いや、バレていないでくれ・・と願うばかりだ。女の子が助かったんだ・・これでよかった・・そう思いたい。
「リアム・・帰ろう」
「お、おい!、今の見たか?女の子が金色の光に包まれて身体が浮き上がったよな」
「・・・・」
「俺・・夢でも見てたか?」
「・・・・」
「リサ・・見たよな・・今の?」
「リアム!帰ろう!!」
思った以上に強い声が出ていた。何か私に異常な気配を感じたのか、リアムは話すのをやめた。
「そ、そうだな。帰ろう」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
キズモノ令嬢絶賛発情中♡~乙女ゲームのモブ、ヒロイン・悪役令嬢を押しのけ主役になりあがる
青の雀
恋愛
侯爵令嬢ミッシェル・アインシュタインには、れっきとした婚約者がいるにもかかわらず、ある日、突然、婚約破棄されてしまう
そのショックで、発熱の上、寝込んでしまったのだが、その間に夢の中でこの世界は前世遊んでいた乙女ゲームの世界だときづいてしまう
ただ、残念ながら、乙女ゲームのヒロインでもなく、悪役令嬢でもないセリフもなければ、端役でもない記憶の片隅にもとどめ置かれない完全なるモブとして転生したことに気づいてしまう
婚約者だった相手は、ヒロインに恋をし、それも攻略対象者でもないのに、勝手にヒロインに恋をして、そのためにミッシェルが邪魔になり、捨てたのだ
悲しみのあまり、ミッシェルは神に祈る「どうか、神様、モブでも女の幸せを下さい」
ミッシェルのカラダが一瞬、光に包まれ、以来、いつでもどこでも発情しっぱなしになり攻略対象者はミッシェルのフェロモンにイチコロになるという話になる予定
番外編は、前世記憶持ちの悪役令嬢とコラボしました
悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました
黒木 楓
恋愛
旧題:悪役令嬢に転生するも魔法を使えることの方が嬉しかったから自由に楽しんでいると、王子に溺愛されました
乙女ゲームの悪役令嬢リリアンに転生していた私は、転生もそうだけどゲームが始まる数年前で子供の姿となっていることに驚いていた。
これから頑張れば悪役令嬢と呼ばれなくなるのかもしれないけど、それよりもイメージすることで体内に宿る魔力を消費して様々なことができる魔法が使えることの方が嬉しい。
もうゲーム通りになるのなら仕方がないと考えた私は、レックス王子から婚約破棄を受けて没落するまで自由に楽しく生きようとしていた。
魔法ばかり使っていると魔力を使い過ぎて何度か倒れてしまい、そのたびにレックス王子が心配して数年後、ようやくヒロインのカレンが登場する。
私は公爵令嬢も今年までかと考えていたのに、レックス殿下はカレンに興味がなさそうで、常に私に構う日々が続いていた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる