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3話
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頭が割れるように痛い。
でも今はその原因がわかっているから少し落ち着いている。
突き落とされた水の中で私は前世の記憶を思い出した。
流れ込んでくる膨大な情報の量に耐えきれなくて頭が痛くなって気を失った。
私の前世の名前は思い出せない。
家族構成とかも全然思い出せない。
けれどはっきり思い出したことがある!
それはこの世界が乙女ゲームの中と似通っていると言うこと。
このままいけば殿下は学園で運命の出会いをする。
乙女ゲームのヒロインだ。
ピンクローズの髪に淡いピンク色の瞳。
純真無垢な彼女にだんだんと惹かれていき最後には悪役令嬢を倒して殿下とハッピーエンドを迎える。
殿下はヒロインと出会うことで心を改めて一切の女遊びをやめて一途に生きることになる。
重要なのは悪役令嬢を倒すってところ!
なんと悪役令嬢は今の私なのだ!!
悪役令嬢は殿下の婚約者で銀髪に紅色の瞳を持つ。
完全に特徴が一致している。
タイムリミットは後半年。
乙女ゲームと同じ流れならヒロインは光魔法を覚醒させて学園に途中から入学してくる。
その時期はだいたい今から2週間後くらいかしら?
コンコンっ失礼します。
「おや?お目覚めになりましたか?」
「はい‥‥ご迷惑をおかけしたみたいで申し訳ございません。」
入ってきたのは執事服を着た壮年の男性だ。
「お目覚めになったようで安心いたしました。もしよろしければ主人を呼んでもよろしいでしょうか?あなたを噴水から引き上げてそれはもう随分と心配なさっていたので。」
「あっ、はい!お願いします。私も直接お礼を言いたいですし。あの‥‥ここはどこでしょう?」
「おや?私としたことが失礼いたしました。ここは夜会会場の一室です。あなた様が倒れてから一時間ほどしか経っておりませんよ。夜会もまだまだ続いております。」
「そうですか‥‥ありがとうございます。」
「いえいえ、では呼んでまいります。」
パタンっ。
扉が閉まって1人になる。
誰かしら?私を助けてくれたのは。
夜会に来てるってことは貴族よねぇ~。
ああ、どうしよう?面倒なことになりそうな予感‥‥。
コンコンっ失礼。
「ああ、よかった。目が覚めたんだね。」
「ぁ‥‥あっ!!レオナルド殿下!!申し訳ございません!ご迷惑をおかけして‥‥。お客様になんて所をお見せしてしまったのかしら。本当に申し訳ございませんでした。」
「顔を上げて?君が謝ることなんてないよ。被害者なんだから。それにこんなときは謝るんじゃなくてお礼を言ってもらったほうが嬉しいな?」
「あのっ、ありがとうございました!!」
「ふふっ、そうそう。大丈夫かい?その‥‥いろいろと。」
「ええ、平気ですわ。あの‥‥このドレスは?」
「ああ、濡れてしまっていたから僕の侍女に着替えさせたんだよ。それは急遽手配したものだからあまりいいものではないのだけれど‥‥。でも君は何を着ても似合うね。美しい‥‥。」
「あっ、ありがとうございます。」
やばいっ!!こんなイケメンに褒められるなんて夢見たい!!
「さて、夜会もそろそろ終わる頃かな?問題なく動けるかい?」
「はい。平気ですわ。お気遣い感謝いたします。使用人がいるとは言え殿下と部屋を出てしまうと良からぬ噂が経ってしまうかもしれませんわ。ここで失礼いたします。」
「ああ、気をつけて帰るんだよ。」
「はい、ありがとうございました。」
パタンっ。
「はぁ~、やっぱりいつ見ても可愛いなぁ。ほんとあのクソ王子には勿体無い。早く奪ってしまいたいよ。」
「殿下。素が出ています。」
「ふふっ、だってさ。仕方ないだろう。初恋のあの子がこの手にいたんだ。まさかあいつの餌食になっているなんて‥‥。待っていてね。必ず迎えにいくから。」
「殿下‥‥。相手は我が国より小さいとは言え王子です。慎重になさいませ。」
「ああ、もちろんだとも。それよりもまずはあの子からの信頼を手に入れないとね。」
その会話をレイチェルが聞くことはなかった。
でも今はその原因がわかっているから少し落ち着いている。
突き落とされた水の中で私は前世の記憶を思い出した。
流れ込んでくる膨大な情報の量に耐えきれなくて頭が痛くなって気を失った。
私の前世の名前は思い出せない。
家族構成とかも全然思い出せない。
けれどはっきり思い出したことがある!
それはこの世界が乙女ゲームの中と似通っていると言うこと。
このままいけば殿下は学園で運命の出会いをする。
乙女ゲームのヒロインだ。
ピンクローズの髪に淡いピンク色の瞳。
純真無垢な彼女にだんだんと惹かれていき最後には悪役令嬢を倒して殿下とハッピーエンドを迎える。
殿下はヒロインと出会うことで心を改めて一切の女遊びをやめて一途に生きることになる。
重要なのは悪役令嬢を倒すってところ!
なんと悪役令嬢は今の私なのだ!!
悪役令嬢は殿下の婚約者で銀髪に紅色の瞳を持つ。
完全に特徴が一致している。
タイムリミットは後半年。
乙女ゲームと同じ流れならヒロインは光魔法を覚醒させて学園に途中から入学してくる。
その時期はだいたい今から2週間後くらいかしら?
コンコンっ失礼します。
「おや?お目覚めになりましたか?」
「はい‥‥ご迷惑をおかけしたみたいで申し訳ございません。」
入ってきたのは執事服を着た壮年の男性だ。
「お目覚めになったようで安心いたしました。もしよろしければ主人を呼んでもよろしいでしょうか?あなたを噴水から引き上げてそれはもう随分と心配なさっていたので。」
「あっ、はい!お願いします。私も直接お礼を言いたいですし。あの‥‥ここはどこでしょう?」
「おや?私としたことが失礼いたしました。ここは夜会会場の一室です。あなた様が倒れてから一時間ほどしか経っておりませんよ。夜会もまだまだ続いております。」
「そうですか‥‥ありがとうございます。」
「いえいえ、では呼んでまいります。」
パタンっ。
扉が閉まって1人になる。
誰かしら?私を助けてくれたのは。
夜会に来てるってことは貴族よねぇ~。
ああ、どうしよう?面倒なことになりそうな予感‥‥。
コンコンっ失礼。
「ああ、よかった。目が覚めたんだね。」
「ぁ‥‥あっ!!レオナルド殿下!!申し訳ございません!ご迷惑をおかけして‥‥。お客様になんて所をお見せしてしまったのかしら。本当に申し訳ございませんでした。」
「顔を上げて?君が謝ることなんてないよ。被害者なんだから。それにこんなときは謝るんじゃなくてお礼を言ってもらったほうが嬉しいな?」
「あのっ、ありがとうございました!!」
「ふふっ、そうそう。大丈夫かい?その‥‥いろいろと。」
「ええ、平気ですわ。あの‥‥このドレスは?」
「ああ、濡れてしまっていたから僕の侍女に着替えさせたんだよ。それは急遽手配したものだからあまりいいものではないのだけれど‥‥。でも君は何を着ても似合うね。美しい‥‥。」
「あっ、ありがとうございます。」
やばいっ!!こんなイケメンに褒められるなんて夢見たい!!
「さて、夜会もそろそろ終わる頃かな?問題なく動けるかい?」
「はい。平気ですわ。お気遣い感謝いたします。使用人がいるとは言え殿下と部屋を出てしまうと良からぬ噂が経ってしまうかもしれませんわ。ここで失礼いたします。」
「ああ、気をつけて帰るんだよ。」
「はい、ありがとうございました。」
パタンっ。
「はぁ~、やっぱりいつ見ても可愛いなぁ。ほんとあのクソ王子には勿体無い。早く奪ってしまいたいよ。」
「殿下。素が出ています。」
「ふふっ、だってさ。仕方ないだろう。初恋のあの子がこの手にいたんだ。まさかあいつの餌食になっているなんて‥‥。待っていてね。必ず迎えにいくから。」
「殿下‥‥。相手は我が国より小さいとは言え王子です。慎重になさいませ。」
「ああ、もちろんだとも。それよりもまずはあの子からの信頼を手に入れないとね。」
その会話をレイチェルが聞くことはなかった。
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