死神に呪われし少女

詩音

文字の大きさ
11 / 15
偽りの少女

鏡の世界の私

しおりを挟む
 四人での買い物を終えて家に帰ってきた。腕の傷は少し増えたけどあまり影響はない。そこまで大きなけがってわけでもなくてよかった。
「お帰り」
「ただいまお母さん」
 久しぶりの外であり少し楽しかった。死神もいない今がとても楽しい。これが本当の日常なんだな。
「久しぶりにあなたの嬉しそうな顔見れた」
 お母さんも何か嬉しそうでよかった。久しぶり。無理しての出ない笑顔をしたのはいつ頃だろう。
「な。俺がいればこいつは外に出るんだって」
 でもやっぱり二人は私を許していつも通り接してくれたのに私は翔以外には少し抵抗があった。また何かあったらと考えすぎてしまう。また六花のあの日のような顔を見るのがつらい。
(そうやって自分を殺してきたのに元に戻るのはあっという間なんだ)
 またあの声が聞こえてきた。一体誰なの?
(私はあなたが、生んだ幻想。本来の自分を殺すたびに生まれた負の感情の塊とでもいえばいいのかな?つまり、私は死神作られたのではなく、あなたがあなた自身を殺すたびに成長してきた存在。君の兄のおかげでやっとまともに君に声をかけることができる)
 私が作った存在。負の感情を力に変えている悪魔。なんでそんなものが、じゃー私が抑えようとすればするほどこれは強くなっていく。そして翔が現れたことで完成した。
 声に出さなくても思うだけで通じる。私は心の声で問いかけてみた。あの夢はなんなのだと。
(負の感情の私が成長するたびに本来のあなたが望む世界ができている。それが夢とつながることで、あなたは目覚めたくないと思うほどの理想の世界になる。まだ元の世界からの声掛けで帰ってこれる空間にしかなってないけど)
 あの夢すらも私が作り出した。つまり、死神とはほとんど関係ない。
「大丈夫か?」
 ずっと黙り込んでいた私に翔は声をかけてきた。
「ごめんやっぱり疲れてるみたいだから少し昼寝してるね」
 遊んだことより頭の中のもう一人の自分と会話していることで疲れていた。

 部屋に入りベットもぐった。
「あの世界が欲しいなら変わってあげようか?」
 今までと違いしっかり耳から声が聞こえた。動画とかで聞こえる私の声だ。
「どこにいるの?」
 疲れてるから幻聴が聞こえてるとか思わない。どこかにいる。死神がいなくなって自由に動けるのだろう。
「鏡」
 そう聞こえ着替えるときに見るようの鏡を見た。すると私とは全く違う動きをする鏡の私が移っていた。
「変わりたいでしょ?だったら鏡に触れて」
 鏡の私は鏡に沿えるように手を置いた。
「翔がいなくなるまで待って」
 翔がいようがいなかろうがこの世界には興味がない。でも、私は殺してしまった翔を笑顔で送りたい。しっかり償いたかった。
「だーめ。死神が来たら私も制限される。やるなら今だよ」
「やだ!!」
「いいからよこせっつてんだろ!!」
 急に態度が変わった。今までの冷静さはなく鏡をたたき出した。
「お前の体は私のもんだ!!」
 これが鏡の私の本心。私が生んだ負の感情の塊。
「何?」
 鏡から手が出てきた。その手は伸び続けて私の手をつかむ。
「お前が嫌でも引きずり込んでやる」
 力が強すぎる。手を触れてから抵抗もできない。ただ引っ張られるだけだ。
「鏡を割らないと」
「割れるわけないだろ。お前はもう自分の体を制御できない」
 全く動かせない。手の感覚すらもなくなってきた。
「いや。」
「その涙目六花の時見たい。すっごくかわいいよ」
 誰か助けて。
 !!口が動かない。
「声もうばわれたね」
 もう抵抗する余地がもうない。お兄ちゃんごめん私。

「なーに下僕が勝手に行動している」
 この声は死神だ!!
「っち。きやがったか。」
 鏡の私は手を放し鏡に入った。それと同時に力は戻り鏡は私を映していた。
「あれは何なの?」
「あいつの言った通りお前の負の塊。我の前では勝手が許されていない分我がいないときに行動してくる。我がいないときは気をつけるんだな」
「わかった」
 私の負の感情から作られた悪魔。私が負の感情を出すとさらに強力なる。それに飲まれないようにしないと。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

処理中です...