まあ、奇跡ということにしておこう

寝頭ふみんしょー

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キング

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「ミレイユ様…!?」
使用人達は死んだはずのミレイユが生きている事にたいそう驚いたがテキパキと手当を終わらせた。
ミレイユが亡くなったという御触れも外にまだ出ていなかったおかげで処理は簡単に着いた。
オブシディアンは病ということで幽閉し、セレストリアはミレイユが回復するまでは摂関政治となった。
政はミレイユが回復するまでアルヴィスが取り仕切ることとなる
国民から反発も出るだろうがオブシディアンが国王の座を退いたことで声は家臣にまでしか届かない
ミレイユも怪我でベッドから動くことが出来ない
「ん…」
ミレイユが目を覚ますと自分がベッドに眠っていることに驚く
怪我も手当がしてあり状況が読めない
「起きたか」
真横から急に声をかけられビクつく
そこにいたのがアルヴィスだと分かるとさらに驚く
「へぇか…?」
口の中を怪我しているせいで上手く話せない
「もう殴られることも食事に毒を混ぜられることもない。」
「どく?」
「気がついてなかったのか。」
アルヴィスはミレイユの頭を撫でて誤魔化そうとする
「ずっと、気分が悪かったのは、毒のせい、ですか」
「…あぁ、離脱症状で辛かっただけだ。しばし気分が優れないだろうが、毒が抜けている証拠だ。怪我も含めて療養が必要だがな」
「???」
難しい言葉ばかりでミレイユはちんぷんかんぷんだ。
「あー、分かりやすく言うと気持ち悪いのはもうちょっとだけ続くけど、良くなってるって事さ」
「!?」
アルヴィスの後ろからヒョイっと顔を出したウェスト
知らぬ顔にミレイユは思わず布団を握りしめる
「これはこれは失礼いたしました。私はこの皇王の右腕であり宰相のウェストと申します。ミレイユ殿」
ウェストはミレイユの前に芝居じみて跪き恭しく頭を下げる
「こ、こんにちは」
ミレイユは起き上がろうするがアルヴィスに止められる
「傷にさわる」
アルヴィスに頬を撫でられくすぐったいと布団の中に潜る
「今日はゆっくり休むといい。明日、また来る。私の近衛を部屋の外に置いておく。何かあれば声を出せばすぐに駆けつける」
布団の上からアルヴィスにトントンと撫でられ二人が部屋から出ていくのを布団の中から見送った。
だが、ミレイユは朝方になっても眠れそうになかった。
風で窓が揺れる音、木が軋む音
その全てが父親に思え、全てが襲ってきそうに感じた。
「ミレイユ、入るよ」
ノックをされ返事をする前に痛む体を引きずって扉を開ける
「ミレイユ、ベッドから降りては…」
「はぁ…はぁっ…ひゅ…」
「!?」
急に泣き始めたミレイユにアルヴィスはもちろん、近衛二人も慌て始める
「ミレイユ様…!」
真っ先にミレイユにしがみつかれたのは赤い長髪をひとまとめにしている近衛だった。
彼がミレイユの背を撫でるとアルヴィスが鬼の形相で見てくる
「陛下…」
瑠璃色の短髪の近衛が呆れ顔でアルヴィスを見ている
ひとしきり泣いた後、近衛達がミレイユに挨拶をする
「私は、ルベリオと申します」
「自分はコバルトと言います」
「ミレイユ・クラウン・セレストリアです…」
しゃくりあげながら言うミレイユ
「我々にそのような挨拶は不要です。陛下」
「……へいか…?」
ミレイユは首を傾げる
「お父上は病のため王の座を退いた。今の国王は君だ。」
「!?」
サラッととんでもないことを言われミレイユは絶句する
「こ、こく、こく…国王…?」
「あぁ、暫くは私が政を取り仕切る」
まさかこんなことになるとは…
こんな面倒なことになるくらいなら無理やりにでも城外へ逃げ出しておけばよかった。

そうしてミレイユはミレイユ・・セレストリアとなった。
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