殿下は君と恋がしたい!

寝頭ふみんしょー

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「おはようございます。ご気分はいかがですか?」
特訓を休んだ翌日、ジョナサンが訪ねてくるとユツキは顔色も良く熱は下がっているようだった。
「はい、ご心配をお掛けしました。」
ユツキが申し訳なさそうに頭を下げる
「いえいえ、大事なくて何よりでした。今日も特訓を致しましょう」
「はい、兄から物理防御魔法を15分維持できるようになれば外泊して良いと許して頂きました。兄の許しがあれば父も母もすぐに説得できるでしょう。」
ユツキは喜色を浮かべて練習場へと入った。
最初は体慣らしに初級魔法を強化していたが、ようやく物理防御魔法にシフトした。
「お願いします!」
ユツキが意気込んでジョナサンの攻撃を受けるが結果は1分半と短いものだった。
「はぁ…もう一度お願いします…!」
ユツキはすぐに切り替えシールドを貼り直した。
繰り返すうちに維持時間が微少だが伸びてきた。
昼過ぎには5分を超えた。
「少し息抜きをしましょうか。」
「息抜きですか?」
「はい、ユツキ様は氷魔法もお得意でしたな?」
ジョナサンはそう言うと空中に向かって魔法を唱える
「ミストウォーター」
霧のように水が流れる中ジョナサンは再び魔法を唱える
「フリーズ」
水がたちまち凍りふわふわとした雪が地面に積もった。
「雪ですか?」
「息抜きに雪遊びでも」
積もった雪でジョナサンは雪うさぎを作った。
「お上手ですね」
「光栄です。」
ユツキも倣って小さな雪だるまを作った。
「綺麗な丸ですな」
雪は気温ですぐに溶けてしまったが気の張っていたユツキに適度に余裕を与えてくれた。
「ジョナサン様、雪が上手く作れないのですが…」
ユツキがジョナサンがした通りに魔法を唱えても氷の粒がパラパラとできてしまい雪と言える代物にはならなかった。
「水をもっと細かくするイメージでミストウォーターを唱えてみてください。雪を作るにはそこが一番重要なんです。」
「分かりました。……ミストウォーター」
ジョナサンの助言のおかげで先程より細かい粒の霧が出来た。
凍らせてみればふわふわとした雪が完成していた。
「出来ました!綺麗ですね…」
ユツキが自分が作った雪の結晶を掌に受け止める
すぐに溶けてしまった雪に切なさを覚えた。
息抜きを終え再び特訓に戻る
次は上級魔法の浮遊魔法と初級魔法のファイアーボールを同時に使うハードモードだ。
ユツキは宙に浮きながら的に目掛けてファイアーボールを放つ
が、重心がグラついて上手く当たらない
「ユツキ様、イメージです。イメージを固めてください」
「は、はい…!」
ユツキは一度目を閉じ、自分が天から吊り下げられているイメージをする
炎はまっすぐ筒の中を通るような軌道を描くイメージで
ユツキは目を開き魔法を詠唱する
「ファイアーボール…!」
炎は一直線に的に進み、真ん中へと命中した。
「やった!」
ユツキは喜びのあまり浮遊を忘れてしまい地面へと真っ逆さまに落ちていく
「っ…!」
体を丸めるが衝撃は一向に来ない
恐る恐る目を開けるとルイスと鼻先が触れ合う距離で見つめ合った。
「で、殿下…」
「びっくりした…心臓飛び出るかと思ったぞ」
「も、申し訳ありません。意識を逸らしてしまって…」
ルイスにお姫様抱っこで受け止められたおかげで傷一つない
「ありがとうございます、殿下」
地面に降ろされ、礼を言うとルイスははにかんで頬を染めた。
(柔らかかった…!すごく柔らかかった…!)
ルイスの心の中は邪な感情でいっぱいだった。
「殿下?」
ユツキが悶々としているルイスの顔を覗き込んでくる
「あっ、なんでもないなんでもない…母上から許しを得たんでな?こっちの状況も順調そうだし、春の終わり頃には出発出来るかとな?考えていたわけだ」
本心だ。
「そうですね、あと二週間というところでしょうか」
「そんなところだ。」
「では、準備を整えておきますね」
「頼む」
お互いの状況確認をしてその日はお開きになった。
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