殿下は君と恋がしたい!

寝頭ふみんしょー

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ユツキは最低限の荷物をトランクに詰めこんでいく
服はレイザーに任せ、薬や雑貨などを詰め込む
「食器は木でいいのでしょうか」
レイザーに尋ねればむしろそれしかないだろうとシラケた反応をされる
「仕方ないじゃないですか…!野営なんてしたことないんですから」
ユツキは顔を真っ赤にして木の食器をトランクに押し込んだ。
午後からはルイスと経路の確認のため客間で地図を広げていた。
「移動は馬車、経路はリューワ王国とツァイス王国を経由してのルートになる」
二つの国はマジェステック王国と同盟を組んでおり、国境を簡単に超えることが出来る
「ここまでは特に大きな問題は無いだろう。比較的宿も取りやすいしな。問題はツァイス王国からなんだ。」
ルイスがツァイス王国と南側にあるシオン共和国との国境を指でつついた。
「今、関係悪いんだよなぁ…北側から来たやつの関税ぼったくったり、強盗したり…近々一波乱怒るんじゃないかってもっぱらの噂だ。」
「他の道は…なさそうですね…」
ツァイス王国は好戦的な王がところ構わず喧嘩を売っている
そのため、現在ツァイス王国から出入国ができる国はほとんどないのだ。
「まったく先王が生きていた時ならいざ知らず…今戦争でも起こったら間違いなく負けるのはツァイスだ。一体何を考えているのやら…」
ルイスはそう断言した。
「慎重に進んでいきましょう。聞く話では旅行客に目をつけての犯行ばかりと聞きます。
貿易目的を装えば相手もそう簡単には行為に及んでこないはずです。」
脱線しかけた話をユツキが元に戻す
「そこを抜ければエーテル王国は目と鼻の先。あまりこちら側に噂が流れてくる国じゃないが、国内に入ってしまえばあとは塔に登るだけだ。」
「そのようですね」
食料調達や野営についてあらかた話し合った後一緒にお茶をした。
「こうしてゆっくり話すのも一週間ぶりか」
「そうですね。特訓や準備で忙しかったですから」
二人がけのソファに連なって座り談笑する
「ユツキ、その…俺達の関係についてなんだが…」
「は、はい」
「恋人になってくれないか…?」
ユツキは頬を赤らめ少し間が空き、こくりと頷いた。
「!」
ルイスは喜びのあまりユツキを抱きしめた。
「わっ…で、殿下」
窘めるように言ったユツキだが悪い気はしないのか跳ね除けることは無い
しばらく抱きしめられていたが体が離れるとルイスがユツキの頬に手を添えゆっくりと顔を近づけていく
「ゔゔん…」
いつの間にか後ろに立っていたレイザーが咳払いをし、妨害した。
「い、いつから見てた…」
ルイスが恨めしそうにレイザーを見上げる
「ずっとおりましたが」
レイザーが冷ややかにルイスを見つめている
「お前さてはライバルか」
ルイスが妙な勘ぐりを起こしレイザーに問い詰める
「そのような邪な感情、抱いておりません」
レイザーはユツキを抱えあげると対面にあるソファへと座らせた。
少しだけ乱れてしまった髪をも見逃さず整える
ユツキの顎に手を添えて乱れを直していく
擽ったそうにしているユツキに構わず整え、終えるとソファの後ろに佇んだ。
ルイスに次は無いという視線を送りつけた。
「王族に向ける視線とは思えない…!」
ルイスが苦言を漏らすとユツキはレイザーを振り返る
ユツキが振り返るとレイザーは表情を戻しいつものただ目つきの悪いレイザーになった。
「レイザーは目付きが悪いだけですよ」
「一丁前に猫かぶりやがる…!」
レイザーは表情こそ変わっていないが勝ち誇ったような様子だ。
「今日のところは帰る。が、ユツキは渡さない!」
「私はただの執事です。」
レイザーがサラリと言うのでルイスは拍子抜けしてしまう
「玄関までお見送りします」
ユツキに促され玄関まで来ると一度睨み合ってから馬車に乗り込んだ。
「レイザー、あまり殿下をからかってはいけませんよ」
「申し訳ございません。」
ルイスを見送ったあとユツキに叱られたレイザーは気持ちのこもっていない謝罪をした。
レイザーのユツキに対する感情は愛は愛でも親心に近い
恋愛感情は全くないためただの骨折り損なのだ。
「レイザー、準備また手伝ってくださいね」
「仰せのままに。」
ユツキに言われレイザーは頭を下げた。
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