殿下は君と恋がしたい!

寝頭ふみんしょー

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医師がルイスの傷口に黄金の血液を染み込ませたガーゼを塗布していく
血液が傷口に付くとキラキラと輝き結晶となって傷とともに消えていく
ルイスの爛れた皮膚や抉れた肉が瞬く間に元のきれいな肌に戻っていった。
「これが黄金の血液の力…」
ぽつりと医師が呟いた。
「これを口外することは許さない。もし口外すれば弁明の余地なく極刑に処すよ」
リアムが身の毛もよだつようなことを言う
「し、承知しております」
医師は体を硬直させ急いでルイスの傷口を治していく
「怪我の治療が終わりました。ですが、血の量が足りず傷痕が残ってしまいました。」
ルイスの体にはところどころ火傷の痕が分かりやすく残っており痛々しい
「雨の日なんかに傷が痛むなんてこともあるかもしれません」
「そのくらいならいい。世話をかけたな」
「いえ…しばらくすれば起きられて普通に生活はできるはずです。」
リアムは嬉しそうにルイスの顔を覗き込む
「!」
なんの前触れもなく目を見開いたルイスにリアムは動揺する
「ルイス?」
優しく頭を撫でると酷く引きった表情を見せた。
「ルイス…?」
「うわぁぁあ!!あああ!くるなぁああ!!」
半狂乱で暴れ回るルイス
ルイスの目に見えていたものは本当の景色ではなかった。
たくさんの大人達は敵兵に見えベッドはむしろに見えた。
ルイスはベッドから飛び降り部屋に飾ってあった剣を取るとその場にいた全員を睨みつけた。
「ルイス!落ち着け!私達はお前の味方だ」
リアムが宥めようと話しかけるが本来の意味では伝わらない
「母のことが分からないか?」
「そうやって騙して殺すんだ!俺がひとりで戦うしかないんだ!」
血走った目で剣を振り回し後退していく
その時ドアがノックされレイザーが部屋へと入ってきた。
「旦那様、少々よろしいで…」
レイザーが話終わる前にルイスがレイザーを切りつけ部屋の外に飛び出していった。
幸い服と皮膚の薄皮が切れた程度だったがレイザーは呆気に取られていた。
ルイスは廊下を走りながら剣を振り回し窓や花瓶が割れていく
「ルイス様落ち着いてください!」
ジョナサンが珍しく慌てた様子で立ちはだかる
後ろにはリアムやレイザーがいる
「ぁ…あぁぁあ!」
ルイスは意味の無い奇声を発しながら目の前にあった部屋に飛び込み棚や机をバリケードに立て篭った。
「この部屋は…!」
リアムとレイザーが青い顔をする
部屋からは物音ひとつしなくなり余計に不安にさせる
「ユツキ様…!」
レイザーがドアを壊そうと体当たりしようとするがリアムに止められる
「変に刺激して中で暴れだしたら取り返しがつかなくなるぞ!…幸い今は物音はしないから大人しくしているようだし…」
リアムが冷や汗を流しながら言う
「恐れながら、早く殿下とユツキ様を離さなければ…!」
レイザーがリアムを振り払おうとするがジョナサンに肩をつかまれる
「交渉するしかないでしょう。殿下もユツキ様なら心を開く可能性だってあります。ここは冷静に…」
レイザーはグッとこらえてドアに耳を押し当て中の様子を探る
分厚いドアからはほとんど音は聞こえてこなかったが
「はぁ…はぁ…うぅ…はぁ…はぁ…」
ルイスは部屋の隅で頭を抱え震えていた。
「ぅん…?」
大きな物音で起きたユツキがソファから顔を出す
ユツキはルイスを見つけパッと表情を明るくする
「殿下、お久しぶりです」
ソファから降りてルイスに近寄る
状況が分かっていないユツキはルイスが元気になって会いに来てくれたと思っている
「お怪我はもう治ったのですね。良かったです」
ユツキはルイスの前にしゃがみこんで話しかける
「…殿下…?大丈夫ですか?」
一向に返事をしてくれないルイスに心配顔のユツキ
「ユツ…キ…?」
ルイスが恐る恐る顔を上げユツキを視界に捉える
「お前もここに来てたのか…」
「?はい、殿下がお怪我を負われたと王妃様にお願いされまして」
「そうか…」
ルイスは立ち上がりユツキを背に隠した。
「俺が、守ってやる…絶対に傷つけさせない…」
「殿下?」
ブツブツと呟きながらドアに向かって剣を構えているユツキはルイスがごっこ遊びでもしているのかと考える
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