人魚姫は鬼畜な王子様を短剣で刺さない

楓子(かえでこ)

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本編

3。ー翌朝

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 翌朝、蛍が目を覚ましたとき、彼女の頭は働いていなかった。
 ぼーと天井を眺める。
 ここはお家ではない……
 次第に、合宿に来ていたことを思い出した。

 身体を起こして、辺りを見る。部屋には他に誰もいなかった。
 最後に覚えていることは、先輩たちと乾杯したこと。英里香さんや華さんたちと、楽しくおしゃべりをしたこと。そして、おぼろげな築島先生の顔——

 ”綺麗な身体をしている”

 はっとして、毛布を剥ぎ取り、身体を見下ろした。
 自分はお風呂に入った後みたいに、きれいだった。裸だけどガウンを着ている。

 夢か……
 蛍は笑った。それはそうだ。あの築島先生が。
 わたしは一人で部屋に戻り、備え付けのガウンに着替えて眠ったのではないか。酔っていても、いつもの習慣で服を脱いだり着たりくらいはするだろう。それが一番ありそうな展開だった。

 そう思ってベッドから起き上がろうとしたら、身体がズキッとした。
 下腹部に味わった事のない違和感を覚えたのだ——


 * * *


 適当に着替えて、蛍はのろのろとカフェテリアに向かった。
 こんな状態で考えても仕方がない。

「んもー頭痛い」
「私たち、いつの間にあんなに飲んだんですかね……」
 英里香さんと華さんは二日酔いらしく、頭を抱えている。

「最初からがぶ飲みだったよ」
 他の先輩たちは平気みたい。みんな朝食を終えたようだった。

「あ、蛍ちゃんー!」
「おはよう」
 先輩たちに迎えられて、飲み物だけもらった。

「あの、わたし、きのう、」
「蛍ちゃん、飲み会の途中に寝ちゃってさ。築島先生が部屋まで運んでくれたんだよ」

 ドキッ

「あとでお礼を言わなきゃね」
 蛍はためらいがちに申し出た。

「あの……先生は?」
「朝一番に車で帰ったよ。なにやら用事ができたとかで」

 それを聞いて、少しほっとした。
 どういうふうに顔を合わせたらいいかわからなかったから……

 違和感を覚えた下腹部をさすった。
 昨晩のこと……あれは夢だったのか、それとも現実だったのか。


 * * *
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