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本編
15。怒り
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あれ以来、蛍が土日に築島の家に行く習慣は続いた。
蛍は両親と住んでいたが、父親は海外で単身赴任中、母親は接客業に就き、土日は家を開けていることが多かったため、特別問題なく築島の家に泊まることができた。
また平日の学生生活も順調だった。
ゼミ以外の科目も築島に見てもらっていたため、蛍は勉学の進みが早く、先輩に聞かれて答えることもあった。
そういう今も、彼女は図書館で先輩たちと一緒に課題をしている。一通り書き終えて、次が空きコマだという英里香と小沢が残り、蛍は高山と図書館を出た。
丁度そのとき、築島が反対側から歩いてきた。
蛍はゼミ以外で先生に会えて嬉しかった。しかし、先生の表情は険しい。睨まれて、目をそらされた。
「あ、お疲れ様です」
高山の挨拶も無視して、築島はスタスタ歩いていく。
「あれ。先生、どうしたんだろうね」
「はい、様子が変でしたね……」
なんでだろう。そう思った直後、蛍ははっとした。
わたしは高山くんと二人で出てきた。これじゃ、いままで二人で図書館にいたみたいになっている。もしかしたら、このことを怒っているんじゃないのか。
違う。そう言いたかったけれど、彼女に伝える術はなかった。
* * *
放課後。
授業が終わって、先生の研究室に飛んで行った。
”引き上げよう”
到着すると、先輩たちがぞろぞろと出てくるところだ。
「あ、蛍ちゃん」
お疲れ様です、といったら、小沢くんはひらひらと手を横に振った。
「今日はやめておいた方がいい」
「先生、なんかすっごい不機嫌だから」
「俺レポート提出したら、ぼろっぼろにけなされた」
「いや、それはお前のせいだろ」
「とにかく、僕たちは退散するよ」
蛍ちゃんも帰ろうと言われたけれど、わたしはどうしても用事があるといって残った。先生が怒っていてその原因がわたしなら、立ち去るわけにはいかない。
そろーりとドアを開ける。
ここから見ても、先生が怒っているのは明らかだった。
「えーと……」
こういうとき、なんて言ったらいいのだろう。
「こんにちは……」
先生は、無反応。
わたしはなにか糸口が欲しくて、先生の机の上に見覚えのない携帯を見つけると、おもむろにそれを手に取った。
「……これ、なんですか?」
先生はちらっと見た。
「学生の忘れ物だ」
そう言って、また視線をパソコンに戻す。
「きみも何か忘れたのか?」
「いいえ……」
忘れ物を取りに来たわけじゃない。そんなこと、先生も知ってるはずなのに。
「いや、忘れているよな。僕との約束を」
「……ご、ごめんなさい」
わたしが落ち込んでいると、先生は立ち上がって荷物をまとめた。
「帰るぞ」
* * *
蛍は両親と住んでいたが、父親は海外で単身赴任中、母親は接客業に就き、土日は家を開けていることが多かったため、特別問題なく築島の家に泊まることができた。
また平日の学生生活も順調だった。
ゼミ以外の科目も築島に見てもらっていたため、蛍は勉学の進みが早く、先輩に聞かれて答えることもあった。
そういう今も、彼女は図書館で先輩たちと一緒に課題をしている。一通り書き終えて、次が空きコマだという英里香と小沢が残り、蛍は高山と図書館を出た。
丁度そのとき、築島が反対側から歩いてきた。
蛍はゼミ以外で先生に会えて嬉しかった。しかし、先生の表情は険しい。睨まれて、目をそらされた。
「あ、お疲れ様です」
高山の挨拶も無視して、築島はスタスタ歩いていく。
「あれ。先生、どうしたんだろうね」
「はい、様子が変でしたね……」
なんでだろう。そう思った直後、蛍ははっとした。
わたしは高山くんと二人で出てきた。これじゃ、いままで二人で図書館にいたみたいになっている。もしかしたら、このことを怒っているんじゃないのか。
違う。そう言いたかったけれど、彼女に伝える術はなかった。
* * *
放課後。
授業が終わって、先生の研究室に飛んで行った。
”引き上げよう”
到着すると、先輩たちがぞろぞろと出てくるところだ。
「あ、蛍ちゃん」
お疲れ様です、といったら、小沢くんはひらひらと手を横に振った。
「今日はやめておいた方がいい」
「先生、なんかすっごい不機嫌だから」
「俺レポート提出したら、ぼろっぼろにけなされた」
「いや、それはお前のせいだろ」
「とにかく、僕たちは退散するよ」
蛍ちゃんも帰ろうと言われたけれど、わたしはどうしても用事があるといって残った。先生が怒っていてその原因がわたしなら、立ち去るわけにはいかない。
そろーりとドアを開ける。
ここから見ても、先生が怒っているのは明らかだった。
「えーと……」
こういうとき、なんて言ったらいいのだろう。
「こんにちは……」
先生は、無反応。
わたしはなにか糸口が欲しくて、先生の机の上に見覚えのない携帯を見つけると、おもむろにそれを手に取った。
「……これ、なんですか?」
先生はちらっと見た。
「学生の忘れ物だ」
そう言って、また視線をパソコンに戻す。
「きみも何か忘れたのか?」
「いいえ……」
忘れ物を取りに来たわけじゃない。そんなこと、先生も知ってるはずなのに。
「いや、忘れているよな。僕との約束を」
「……ご、ごめんなさい」
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「帰るぞ」
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