人魚姫は鬼畜な王子様を短剣で刺さない

楓子(かえでこ)

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本編

16。ークローゼット

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 先生のお家についてからも、先生からはあからさまに”怒ってます”オーラが出ていた。むっとしているし、機嫌が悪い。
 先生に怒っていてほしくない……
 高山くんと二人で図書館にいたわけではないのだけれど、いま弁明するのは得策ではない気がした。かといって、いい方法があるわけではないんだけど。

「先生……どうしたら機嫌なおってくれる?」
 先生は一度わたしを見たけれど、すぐに逸らした。

「自分で考えろ」
 そう突き放されてしまった。

「一応言っておくが、僕が手作り料理などで喜ぶ男でないことは、きみもよく知っているはずだ。意味のないことを考えるなよ」
 そういって、自室に入って行ってしまった。
 わたしはソワソワして、悲しい。どうしよう。

 先生の機嫌が直ることを必死で考えた。
 子供だましなんかではなく、もっとちゃんと喜んでくれること……とするとやっぱり、そういうこと、だろうか。
 わたしが誘ったら、喜んでくれるかな……でも、どうやったらいいのか。考えてみれば、わたしはいつもしてもらっている。

 そういえば、あれ……
 先生はこの間、寝室の隣りの部屋にあの機械・・を取りに行ってたな……


 * * *


 ”……、どこにいるんだ?”

 外で先生がわたしを探していた。
 焦る。もう出て行かなきゃだけど、まだ準備ができていない。

「ここにいるのか? 何をして……」
 先生に見つかってしまって、跳ね上がる。
 わたしは手が離せる状態ではなくて、足の間に両手を添えたまま、恐る恐る振り返った。先生は好奇の目を向けていた。

「驚いた……そして怒りは一瞬にして消え去ったと言わざるを得ない」
 恥ずかしくて死にそうだ。

「自分で入れた、のか」
「は、はい……」
 先生の目を見ることなんて、できない。

「さいしょは、はいらなくて……でも、せんせいのこと、考えながらつかったら、はいったの……」
「可愛い。今のところ満点をあげたいよ」
 先生は、近くの背もたれのない丸椅子に座った。

「こっちへ来い」
 中に入れたもののせいで立てなくて、わたしは這いながらでそろそろと近づいた。立つことはできないし、かといって座り込むこともできない。先生の前について、わたしが膝で立って耐えていたら、先生は足でわたしのなかの機械をさらに押し入れた。

「ひゃぅぅ」
 ノックするように足で刺激される。動かすのをの止めてもらいたくて、先生の膝を押さえた。
 すると今度は体内のものが振動した。いつの間にかコントローラーは先生の手の中にあって。わたしはまっすぐになっていられなくて、先生の膝に倒れこんだ。

「そこに顔を擦り寄せるということは、咥えたいと捉えていいんだろうな」
「ぇっ、あっ……はぁ、はい」
 先生がチャックを下ろすと、ビンっと飛びできた。こう近くで見ると迫力がある……
 やり方はわからないから、とりあえず舌を出して舐めてみた。アイスクリームを食べる要領で、下の方から上までをペロペロする。

「先端を舐めてみろ。唇で咥えて、口内に含んで、舌を動かす……」
 言われたように唇で甘噛みして、舌で刺激した。
 そして言われるままにもっと口に含んで、出したり入れたりした。これだけに集中できたらもっと楽だったけど、中にあるもののが暴れて上手くいかない。それに先生はいきなりこの強度を変えてくる。

「んぐ……っ」
「歯は立てるなよ」
「はぁ、はぁ……はい」

 先生は右手をわたしの髪に差し込んで、時々わたしの頭を動かした。
 押さえ込まれて、口のすごく奥まで入ってきて苦しくなった。なのに。すごく認めにくいことに、わたしは中にこれを入れていなくても、興奮していたかもしれない。
 先生の手の力が加わって、わたしが頭を上下させるのに勢いがつく。歯を当てないようにするのに精一杯で。わたしは感じさせる側なはずなのに、いきそうで。

「そろそろ出すぞ……全部飲み込めよ」

 先生が出したのが引き金になって、頭の中が真っ白になった。


 * * *
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