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虚無
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「いきなりなんですけど、今晩って開いてます? ちょっと急なんですけど、仕事お願いしたいんですよぉ」
寝ぼけて上手く働かない頭に、軽快そうな男の声が響いた。僕は「ああ、大丈夫ですよ」とだけ言うのが精一杯で、後はその男が話す仕事の説明に耳を傾けていた。仕事を探してもなかなか見つからない状況で、まさか仕事の方から僕の元へとやってくるとは。時間は夜の九時から朝の四時まで。電話を切り、時計に目をやる。まだ昼を回ったばかりだ。起き上がって仕事の準備をするか、と思う気持ちとは裏腹に、僕は徐々に眠りの中へと沈んでいった。
慌てて起き上がり、枕元に置いてあった時計を見る。夜の八時。寝過ごさなかったという安心感と同時に、仕事に対する面倒くさいという気持ちが頭の中に浮かんできた。それを無理やり払うように、布団から体を出しゆっくりと立ち上がって服に着がえる。その頃には眠さも仕事に行きたく無いという気持ちもすっかり抜け、煙草と財布と車のキーをポケットにねじ入れ、部屋を後にした。
三月というのにやけに寒いと思ったら、小雨が降っていた。僕は傘を持っていないので、小雨の中を小走りになり車へと急ぐ。車に乗り込んだ瞬間、洗濯物を干したままだったということを思い出したが、時間も時間なので、仕方なく駐車場から車を出した。仕事場は車で五分とかからない場所にあった。こんなことなら洗濯物を取り込んでいればよかった、と思ったが、もう雨に濡れた後だし今更遅いか、と諦め、途中あったコンビニでパンと缶コーヒーを買い、車の中で腹を満たした。煙草を一本だけ吸い、車を出す。仕事場の駐車場に止めると、僕と同じような人間が五十人以上いた。車から出て、工場の入り口にある受付のようなところへいく。名前を名簿に記入し、白い作業着を上に着込んだ。顔以外隠れる形になり、気持ちが悪いので何度も作業着をいじっていると、ナイロンでできていたエプロンがちぎれた。もう一枚手に取り、それを体に巻きつけ、案内されるがままに工場の中へと入って行く。
簡単に言えば食品工場だった。弁当や惣菜を作る工場。手を洗い、消毒をする。そこまで大きく無い作業場の半分に十メートルほどのベルトコンベアが三本並び、残りの半分は二メートルほどのステンレスのテーブルが並んでいる。もう既にコンベアには人が並び、弁当のケースが流れていた。そこに一人が卵焼きを入れ、隣の人間が炊きあがったご飯を入れ、その隣の人間が焼き魚を入れる。誰に指示を仰いでいいのかわからない僕は、ただそれを眺めていた。暫くして男性が僕の元へとやってきて、「あっちで指示を受けてください」と言った。コンベアのほうではなく、ステンレスのテーブルが並ぶ場所だった。流れ作業ではないという安堵の気持ちと、今から何をやらされるのだろうという不安の気持ちで、ステンレスのテーブルへと近づく。僕と同じ格好をした人がテーブルを囲むようにして立っていた。それぞれもう仕事をしており、僕は一人に「何をすればいいんでしょう」と聞いた。
「えー、ほなその出来上がったお握りにふりかけかけて! 田中さん! この子に教えてたって!」
気の強そうな女性に圧倒され、助けを求めるようにして田中さんと呼ばれた人を見る。この人も女性だった。いや、老婆と言っていいだろう。田中さんはテーブルの下からふりかけを出し、それをつまんでケースに並んだ一口サイズのお握りへとまぶしていく。
「こういう感じでやったらええからから」とだけ言われ、ふりかけを手に取った。田中さんは気の強い女性に「あんたはこっち!」と叫ばれ、僕から離れて行った。ふりかけを掴み、お握りへとまぶす。「あー、駄目駄目! もっと白いご飯が隠れるように!」別の眼鏡をかけた女性に注意され、気をつけながらまぶす。これが結構難しい。ご飯を隠れるようにやると時間がかかり「もっとはよでけんの!」と怒鳴られるし、かと言って急いでやると「だからご飯が隠れるように言うて説明したやろ!」と怒鳴られる。僕はその度に「すいません」と謝り、その謝っている最中でも「手を止めない!」と怒鳴られた。
何とかふりかけが終わって一息ついていると、また別の老婆が僕の隣に割り込んできて、はかりとケースに入ったご飯を僕の目の前に置いた。ご飯を手に取り、はかりにおいて、形が崩れないように少し丸めて別のケースへと入れる。それを見ていると、「ぼーっとせんと、はよやって!」とまた怒鳴られた。「何グラムで計ればいいんでしょう?」と聞くと、「えー、二百四十! 見て無かったん!?」と老婆に怒鳴られた。この時点での僕の怒りは一割程度だろうか。外の現場にいた時ほど怒鳴られてはいない。あの時は工具が飛んできたから。
ご飯をはかり、ケースへと入れていく。はかりの針がぶれるため、何度もご飯を取っては入れて、取っては入れてを繰り返していると、また別の女性が僕を押しやるようにして割り込んできた。名札を見ると中国人のようだった。中国人の女性はものすごいスピードでご飯をはかり、ケースへと入れていく。そのご飯を向かいに立つ田中さんが、プラスティックの小さなケースに詰め、お握りの形へと変形させる。
「ちょっとあんたコンちゃんに何やらせとんの! この子は別の仕事があるんやから! あんたがやり!」
別に僕はこの中国人にやらせたつもりは無い、と心の中で文句を言う。一度小さく深呼吸をし、おにぎりをはかりに置いてどんどん計っていく。ある程度の誤差はどうでもいいようだ。それが終わると、そこにいた女性と僕はコンベアのほうへ移動した。女性は具の入ったケースをコンベアの前に置いたりご飯を計ったりという準備に急いでいた。僕も何かをやろうとすると、「ちょっと、もう、のいて!」と怒鳴られるので、じっとしていた。
女性たちがラインに並び、僕もその間に並ぶ。すると老婆が「じゃあ今からA弁当流すでー」と言い、ご飯を弁当箱に詰め、それをコンベアへと乗せる。僕の隣にいた気の強い女性が具を入れ、それが僕の前にまでやってきた。
「えっと、僕は何を入れたらいいんでしょう?」と聞くと、「えー? もう! 目の前にあるその魚とれんこんのきんぴら!」と怒鳴られ、「あの、どこに入れたらいいんでしょう?」と聞くと「こーこ! ここ! ここに入れるの!」と怒鳴られ、「きんぴらはどれぐらいの量を?」と聞いたところで僕の前から弁当が流れて行った。隣にいた眼鏡の女性が「はいはいこれ入ってませーん、はいこれもあかん、これも、これも入ってへんで! もう何やっとん!」と怒鳴った。僕はてんやわんやになりながら魚ときんぴらを弁当に入れていく。しばらくすると、老婆が「告ぎB弁当なー!」と叫んだ。
「はい、次の具の準備して!」と気の強い女性に怒鳴られた僕は、「次の具はどこにあるんでしょう?」と聞いた。「もう! いい! 黙って立っといて!」と怒鳴られ、黙って立つことにした。うるさいのは僕たちのいるラインだけで、他のラインの人たちは静かに作業をしていた。
同じ場所に立っていると、眼鏡の女性に「ケース!」と言われた。「え?」と聞き返すと、また「ケース!」と言われた。「えーっと」といいながら気の強い女性に聞くと、「ケース!」と言われた。頭をフル回転させ、考える。次は具じゃなくて弁当のふたをしていけばいいんだろうか? 目の前に置いてあるケースを手に取り、丁度並んできた弁当へとかぶせる。眼鏡の女性に「たくわん入ってなーい!」と言われた。どうやら僕はたくわんを入れるのとふたをする、二つの作業をしなければならないようだった。しかしこれが難しい。今日はじめての人間がいるなら、少しはゆっくり流せよ、と先頭でご飯を詰める老婆を睨んだ。次々に流れ、たくわんを入れてふたをしていく。気づけば僕は最初にいた場所からかなり後ろに下がっていた。
「もー! そんなに下がってきたらこっちの仕事がでけへんやろ! ふたでけんねやったらせんでええ! たくわんだけしといて!」と言われた。ふただけやっていると、「余裕あんねやったらふたやって! もうこの子、やらんでええ言うたら全然せえへんなったで。こんなんでよお仕事しに来たな。ははっ」
ははっという言葉を聞いた瞬間、僕の頭の中で何かが弾けた。時計を見ると深夜の十二時を回っているところ。僕は老婆に「すいません、今日僕十二時までなんですよね」とだけ言い、「はぁ?」や「そうなん、お疲れ」や「たったの三時間だけ? 何それ?」などと僕に投げかけられる言葉を全て無視し、外へ出て、受付へと歩いた。そこで三時間分の賃金を貰い、駐車場に止めて合った車に乗り込み煙草に火をつけた瞬間、自分に対する虚しさ、情けなさが込み揚げ、大きくため息をついた。三時間で二千八百五十円だった。
寝ぼけて上手く働かない頭に、軽快そうな男の声が響いた。僕は「ああ、大丈夫ですよ」とだけ言うのが精一杯で、後はその男が話す仕事の説明に耳を傾けていた。仕事を探してもなかなか見つからない状況で、まさか仕事の方から僕の元へとやってくるとは。時間は夜の九時から朝の四時まで。電話を切り、時計に目をやる。まだ昼を回ったばかりだ。起き上がって仕事の準備をするか、と思う気持ちとは裏腹に、僕は徐々に眠りの中へと沈んでいった。
慌てて起き上がり、枕元に置いてあった時計を見る。夜の八時。寝過ごさなかったという安心感と同時に、仕事に対する面倒くさいという気持ちが頭の中に浮かんできた。それを無理やり払うように、布団から体を出しゆっくりと立ち上がって服に着がえる。その頃には眠さも仕事に行きたく無いという気持ちもすっかり抜け、煙草と財布と車のキーをポケットにねじ入れ、部屋を後にした。
三月というのにやけに寒いと思ったら、小雨が降っていた。僕は傘を持っていないので、小雨の中を小走りになり車へと急ぐ。車に乗り込んだ瞬間、洗濯物を干したままだったということを思い出したが、時間も時間なので、仕方なく駐車場から車を出した。仕事場は車で五分とかからない場所にあった。こんなことなら洗濯物を取り込んでいればよかった、と思ったが、もう雨に濡れた後だし今更遅いか、と諦め、途中あったコンビニでパンと缶コーヒーを買い、車の中で腹を満たした。煙草を一本だけ吸い、車を出す。仕事場の駐車場に止めると、僕と同じような人間が五十人以上いた。車から出て、工場の入り口にある受付のようなところへいく。名前を名簿に記入し、白い作業着を上に着込んだ。顔以外隠れる形になり、気持ちが悪いので何度も作業着をいじっていると、ナイロンでできていたエプロンがちぎれた。もう一枚手に取り、それを体に巻きつけ、案内されるがままに工場の中へと入って行く。
簡単に言えば食品工場だった。弁当や惣菜を作る工場。手を洗い、消毒をする。そこまで大きく無い作業場の半分に十メートルほどのベルトコンベアが三本並び、残りの半分は二メートルほどのステンレスのテーブルが並んでいる。もう既にコンベアには人が並び、弁当のケースが流れていた。そこに一人が卵焼きを入れ、隣の人間が炊きあがったご飯を入れ、その隣の人間が焼き魚を入れる。誰に指示を仰いでいいのかわからない僕は、ただそれを眺めていた。暫くして男性が僕の元へとやってきて、「あっちで指示を受けてください」と言った。コンベアのほうではなく、ステンレスのテーブルが並ぶ場所だった。流れ作業ではないという安堵の気持ちと、今から何をやらされるのだろうという不安の気持ちで、ステンレスのテーブルへと近づく。僕と同じ格好をした人がテーブルを囲むようにして立っていた。それぞれもう仕事をしており、僕は一人に「何をすればいいんでしょう」と聞いた。
「えー、ほなその出来上がったお握りにふりかけかけて! 田中さん! この子に教えてたって!」
気の強そうな女性に圧倒され、助けを求めるようにして田中さんと呼ばれた人を見る。この人も女性だった。いや、老婆と言っていいだろう。田中さんはテーブルの下からふりかけを出し、それをつまんでケースに並んだ一口サイズのお握りへとまぶしていく。
「こういう感じでやったらええからから」とだけ言われ、ふりかけを手に取った。田中さんは気の強い女性に「あんたはこっち!」と叫ばれ、僕から離れて行った。ふりかけを掴み、お握りへとまぶす。「あー、駄目駄目! もっと白いご飯が隠れるように!」別の眼鏡をかけた女性に注意され、気をつけながらまぶす。これが結構難しい。ご飯を隠れるようにやると時間がかかり「もっとはよでけんの!」と怒鳴られるし、かと言って急いでやると「だからご飯が隠れるように言うて説明したやろ!」と怒鳴られる。僕はその度に「すいません」と謝り、その謝っている最中でも「手を止めない!」と怒鳴られた。
何とかふりかけが終わって一息ついていると、また別の老婆が僕の隣に割り込んできて、はかりとケースに入ったご飯を僕の目の前に置いた。ご飯を手に取り、はかりにおいて、形が崩れないように少し丸めて別のケースへと入れる。それを見ていると、「ぼーっとせんと、はよやって!」とまた怒鳴られた。「何グラムで計ればいいんでしょう?」と聞くと、「えー、二百四十! 見て無かったん!?」と老婆に怒鳴られた。この時点での僕の怒りは一割程度だろうか。外の現場にいた時ほど怒鳴られてはいない。あの時は工具が飛んできたから。
ご飯をはかり、ケースへと入れていく。はかりの針がぶれるため、何度もご飯を取っては入れて、取っては入れてを繰り返していると、また別の女性が僕を押しやるようにして割り込んできた。名札を見ると中国人のようだった。中国人の女性はものすごいスピードでご飯をはかり、ケースへと入れていく。そのご飯を向かいに立つ田中さんが、プラスティックの小さなケースに詰め、お握りの形へと変形させる。
「ちょっとあんたコンちゃんに何やらせとんの! この子は別の仕事があるんやから! あんたがやり!」
別に僕はこの中国人にやらせたつもりは無い、と心の中で文句を言う。一度小さく深呼吸をし、おにぎりをはかりに置いてどんどん計っていく。ある程度の誤差はどうでもいいようだ。それが終わると、そこにいた女性と僕はコンベアのほうへ移動した。女性は具の入ったケースをコンベアの前に置いたりご飯を計ったりという準備に急いでいた。僕も何かをやろうとすると、「ちょっと、もう、のいて!」と怒鳴られるので、じっとしていた。
女性たちがラインに並び、僕もその間に並ぶ。すると老婆が「じゃあ今からA弁当流すでー」と言い、ご飯を弁当箱に詰め、それをコンベアへと乗せる。僕の隣にいた気の強い女性が具を入れ、それが僕の前にまでやってきた。
「えっと、僕は何を入れたらいいんでしょう?」と聞くと、「えー? もう! 目の前にあるその魚とれんこんのきんぴら!」と怒鳴られ、「あの、どこに入れたらいいんでしょう?」と聞くと「こーこ! ここ! ここに入れるの!」と怒鳴られ、「きんぴらはどれぐらいの量を?」と聞いたところで僕の前から弁当が流れて行った。隣にいた眼鏡の女性が「はいはいこれ入ってませーん、はいこれもあかん、これも、これも入ってへんで! もう何やっとん!」と怒鳴った。僕はてんやわんやになりながら魚ときんぴらを弁当に入れていく。しばらくすると、老婆が「告ぎB弁当なー!」と叫んだ。
「はい、次の具の準備して!」と気の強い女性に怒鳴られた僕は、「次の具はどこにあるんでしょう?」と聞いた。「もう! いい! 黙って立っといて!」と怒鳴られ、黙って立つことにした。うるさいのは僕たちのいるラインだけで、他のラインの人たちは静かに作業をしていた。
同じ場所に立っていると、眼鏡の女性に「ケース!」と言われた。「え?」と聞き返すと、また「ケース!」と言われた。「えーっと」といいながら気の強い女性に聞くと、「ケース!」と言われた。頭をフル回転させ、考える。次は具じゃなくて弁当のふたをしていけばいいんだろうか? 目の前に置いてあるケースを手に取り、丁度並んできた弁当へとかぶせる。眼鏡の女性に「たくわん入ってなーい!」と言われた。どうやら僕はたくわんを入れるのとふたをする、二つの作業をしなければならないようだった。しかしこれが難しい。今日はじめての人間がいるなら、少しはゆっくり流せよ、と先頭でご飯を詰める老婆を睨んだ。次々に流れ、たくわんを入れてふたをしていく。気づけば僕は最初にいた場所からかなり後ろに下がっていた。
「もー! そんなに下がってきたらこっちの仕事がでけへんやろ! ふたでけんねやったらせんでええ! たくわんだけしといて!」と言われた。ふただけやっていると、「余裕あんねやったらふたやって! もうこの子、やらんでええ言うたら全然せえへんなったで。こんなんでよお仕事しに来たな。ははっ」
ははっという言葉を聞いた瞬間、僕の頭の中で何かが弾けた。時計を見ると深夜の十二時を回っているところ。僕は老婆に「すいません、今日僕十二時までなんですよね」とだけ言い、「はぁ?」や「そうなん、お疲れ」や「たったの三時間だけ? 何それ?」などと僕に投げかけられる言葉を全て無視し、外へ出て、受付へと歩いた。そこで三時間分の賃金を貰い、駐車場に止めて合った車に乗り込み煙草に火をつけた瞬間、自分に対する虚しさ、情けなさが込み揚げ、大きくため息をついた。三時間で二千八百五十円だった。
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