虚無・神様のメール・その他の短編

れつだん先生

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派遣のおじさんに、1回30万円で外国人との偽装結婚を紹介された話

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 同棲を解消され地元に戻るも実家からも追い出され派遣会社の寮に流れ着いた22歳の頃が一番よく働いていたかもしれない。
 1Kの2階建てアパートは派遣会社所有のものらしく家電もなにもない狭いフローリング。学歴も職歴も問わない以前に履歴書すら不要の派遣会社を転々としていた僕の所有物は、すぐにエンストするアルトに積めるもののみという楽なスタイルだった。本、CD、パソコンのみ。コンロすらないのにカップ麺を買ってしまい水道の湯を入れてふやかせて食べる。1日12時間の肉体労働。もちろん残業は強制で断ればよくて「じゃ、次のところ行ってください」悪ければ「うちはもうないっすね」で終わり。

 同じく流れ着いた40代半ばの新潟出身の薄毛金髪、30代前半の喧嘩に明け暮れ留置所に入った武闘派、20代後半のロン毛金髪と一緒に住む十代のスナックギャル、そして僕が顔を合わせば話すようになった。

 その頃僕は若い女医に「病気じゃなくて甘えですね」と言われてから精神科に通うのが恐ろしくなっていた頃で、市販の睡眠薬とひたすらアルコールを飲んで明け方に眠りすぐに起きて肉体労働という今思えばよくやったなと思う毎日を過ごしていた。
 武闘派は20そこそこの美女と付き合っており、顔を合わせば惚気話にアルコール。僕は遠距離恋愛の寂しさと眠れぬ夜にアルコール。ロン毛は1日起きに休んではスナックギャルに金をせびりアルコール。真面目に勤めて金を貯め云々というようなドリームなどあるわけがなく、ひたすら毎日アルコール。
 ロン毛の部屋に行くとアルコールが出される。スナックギャルが料理を作り部屋を片付け洗濯をし健気に尽しているのをロン毛は寝転って煙草を吸ってアルコールでヘラヘラしている。夜スナックへ行き朝帰宅しセックスをして日中派遣労働に行かないロン毛の代わりに「スーパーのレジ打ち」を提案するのをロン毛は寝転がって煙草を吸ってアルコールでヘラヘラしている。

 薄毛が「渡辺君、金に困ってるの」というので詳しく聞くと「1回30万で東南アジアの女と結婚しないか」という提案であった。より詳しく聞くと「あっちは日本国籍が欲しい、こっちは金を受け取る。ついでに週に何度か通いフリーセックスをする。向こうは断れない。3回やれば戸籍に痕跡は残らない。俺はもう4回やった」という。考えさせてくれと返答しロン毛に相談すると「俺もやるよ!」と即答。武闘派に相談すると「薄毛は50貰って20万抜いてるだろうな」という。

 同棲を解消した恋人から「結婚するための資金を貯めなさい」というメールが届く。4回やれば120万。働きに行っては休むを繰り返す僕の手持ちはほとんどない。
 1回30万で戸籍を汚すほど僕は落ちぶれてしまったのか、と夜アルコールを摂取しながら村上春樹を読んでいると無性に泣きたくなり、酔った勢いでデリバリーヘルス新装開店のチラシに電話しやってきた体重80キロはありそうな4段腹のブスに「童貞なんだよね」と嘘をついて生でセックスし翌日恋人を裏切ってしまったと泣きたくなり、誰か僕を殺してくれないかと願うだけで自殺する勇気もない、そんな20代前半であった。
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