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ドS上司の意外な一面番外編
ドタバタバレンタイン2
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***
その後、無言のまま仕事をしていた。
あの2睨みのお陰で集中することできたけど、既に午後10時。あと2時間ではじめてのバレンタインデーが終わってしまう。気がつけば他の部署の人達も帰ったみたいで、鎌田先輩と二人きりになっていた。
(これなら堂々とチョコを渡せそう――)
コッソリ目の前を見ると、疲れた顔をしてパソコンを弄っている姿が目に留まった。
引き出しにしまっておいたチョコの包みをいそいそ取り出して、鎌田先輩の元へ行く。
「チョコレートをたくさんもらってるの知ってるけど、鎌田先輩が迷惑じゃなかったらどうぞ……」
鎌田先輩の後ろには、ライブハウスから転送された段ボールがあった。中身はファンからのチョコレート。この中身のすべて鎌田先輩宛てじゃないにしても、かなりの量はある。
「君からもらうチョコレートに、迷惑なんていう二文字はありませんよ」
ゆっくりとメガネを外して私の顔を見上げる優しい眼差しに、胸がきゅんとする。
嬉しそうにチョコを受け取ると、手早く箱を開け始める。
「お口に合えばいいんですけど……」
ブランデー入りのトリュフを作ってみた。食べる様子をドキドキしながら、じっと見つめてしまった。
ココアパウダーがまぶされた丸いチョコをひとつ摘んで、しげしげとそれを眺めてから口に放り込む鎌田先輩。
「美味い……。疲れた体に沁みる味です」
指についたココアパウダーをしゃぶる姿に何だかドギマギして視線を泳がせていると、上目遣いしながら訊ねてきた。
「……舐めたかったんですか?」
「いえいえ、とんでもない」
私が赤面しながら言うとチョコをさっさと元の包装された状態にして、胸元のポケットにしまいこんだ。
いつものように、口角を片側だけ上げながらニヤリと笑う。
「美味しかったんで、残りはゆっくり戴くとします」
言いながら狙った獲物を見るように、私へ視線を送る。その視線にイヤな予感がした。この笑い方をしているときは要注意なのだ。
「まったく――二人きりのときは、名前で呼びなさいと言ってるのに」
「あ……そういえば」
社内だからつい鎌田先輩と呼んでしまう。いつものクセが抜けきらない上に、何だか恐れ多くて呼びにくい。
「しかも今日に限ってこんな時間まで残業させるし、本当にダメな彼女ですね」
「ごめんなさい、ま……まさひとさん」
しゅんとしたら突然両肩に手を置かれて、ロッカーと窓際の壁の隙間にぐいっと背中を押し付けられた。そこはちょうど窪みになってるトコなので、出入口からは見えにくくなっている。
「反省しているように見えませんが?」
口調はキツいけど眼差しはどこまでも優しい、実はこれが厄介……。
「仕事の最中に俺の顔を見てニヤけたり、相変わらず小野寺と楽しそうに談笑してるし」
右手を私の太ももに這わせてくれる。タイトスカートがめくれて、下着が露わに――
「まっ正仁さん、こんなトコではダメですっ。誰かがきたら」
「相変わらずベッド以外は受け付けません、ですか? しかも暗くしなきゃ駄目という我が侭付き」
それでも手を弛めることをせずに左手は私の背中に回され、器用に服の上からブラのホックを外す。だけどそれ以上の乱し方をせずに、服の上から体をまさぐっていた。いたぶるような視線、耳元で囁かれる吐息、指先の動き、ひとつひとつに息があがる。
仕事だけじゃなく、いろんな事に器用な彼氏を持つと大変。
「あの、止めて下さいっ!」
私が言うと、嬉しそうにニヤッと笑う。
「止めてって、言いましたね」
「あ……」
しまった、自爆してしまった。
「ふたりの取り決めでは、止めては(もっと)です。さぁどこら辺を、もっと触りますか?」
耳元で呟かれる言葉に、頭がクラクラ……それだけで簡単に心が乱される。
いやらしく身体を這う指使いに悶絶しながらも、ささやかな抵抗をすべく鎌田先輩の体を押し出す。ここは社内でいつ人が入ってきても、おかしくない場所なのだから。
「こ、こんな所じゃ、落ち着いて感じてられませんっ」
「口では、そんなことを言ってるくせに身体は正直ですよ」
しょうがないじゃない、久しぶりなんだから。心だけでなく、体も鎌田先輩を欲している。
なけなしの抵抗で押し退ける私の腕をものともせずに、ぎゅっと身体を抱き締めてきた。
その後、無言のまま仕事をしていた。
あの2睨みのお陰で集中することできたけど、既に午後10時。あと2時間ではじめてのバレンタインデーが終わってしまう。気がつけば他の部署の人達も帰ったみたいで、鎌田先輩と二人きりになっていた。
(これなら堂々とチョコを渡せそう――)
コッソリ目の前を見ると、疲れた顔をしてパソコンを弄っている姿が目に留まった。
引き出しにしまっておいたチョコの包みをいそいそ取り出して、鎌田先輩の元へ行く。
「チョコレートをたくさんもらってるの知ってるけど、鎌田先輩が迷惑じゃなかったらどうぞ……」
鎌田先輩の後ろには、ライブハウスから転送された段ボールがあった。中身はファンからのチョコレート。この中身のすべて鎌田先輩宛てじゃないにしても、かなりの量はある。
「君からもらうチョコレートに、迷惑なんていう二文字はありませんよ」
ゆっくりとメガネを外して私の顔を見上げる優しい眼差しに、胸がきゅんとする。
嬉しそうにチョコを受け取ると、手早く箱を開け始める。
「お口に合えばいいんですけど……」
ブランデー入りのトリュフを作ってみた。食べる様子をドキドキしながら、じっと見つめてしまった。
ココアパウダーがまぶされた丸いチョコをひとつ摘んで、しげしげとそれを眺めてから口に放り込む鎌田先輩。
「美味い……。疲れた体に沁みる味です」
指についたココアパウダーをしゃぶる姿に何だかドギマギして視線を泳がせていると、上目遣いしながら訊ねてきた。
「……舐めたかったんですか?」
「いえいえ、とんでもない」
私が赤面しながら言うとチョコをさっさと元の包装された状態にして、胸元のポケットにしまいこんだ。
いつものように、口角を片側だけ上げながらニヤリと笑う。
「美味しかったんで、残りはゆっくり戴くとします」
言いながら狙った獲物を見るように、私へ視線を送る。その視線にイヤな予感がした。この笑い方をしているときは要注意なのだ。
「まったく――二人きりのときは、名前で呼びなさいと言ってるのに」
「あ……そういえば」
社内だからつい鎌田先輩と呼んでしまう。いつものクセが抜けきらない上に、何だか恐れ多くて呼びにくい。
「しかも今日に限ってこんな時間まで残業させるし、本当にダメな彼女ですね」
「ごめんなさい、ま……まさひとさん」
しゅんとしたら突然両肩に手を置かれて、ロッカーと窓際の壁の隙間にぐいっと背中を押し付けられた。そこはちょうど窪みになってるトコなので、出入口からは見えにくくなっている。
「反省しているように見えませんが?」
口調はキツいけど眼差しはどこまでも優しい、実はこれが厄介……。
「仕事の最中に俺の顔を見てニヤけたり、相変わらず小野寺と楽しそうに談笑してるし」
右手を私の太ももに這わせてくれる。タイトスカートがめくれて、下着が露わに――
「まっ正仁さん、こんなトコではダメですっ。誰かがきたら」
「相変わらずベッド以外は受け付けません、ですか? しかも暗くしなきゃ駄目という我が侭付き」
それでも手を弛めることをせずに左手は私の背中に回され、器用に服の上からブラのホックを外す。だけどそれ以上の乱し方をせずに、服の上から体をまさぐっていた。いたぶるような視線、耳元で囁かれる吐息、指先の動き、ひとつひとつに息があがる。
仕事だけじゃなく、いろんな事に器用な彼氏を持つと大変。
「あの、止めて下さいっ!」
私が言うと、嬉しそうにニヤッと笑う。
「止めてって、言いましたね」
「あ……」
しまった、自爆してしまった。
「ふたりの取り決めでは、止めては(もっと)です。さぁどこら辺を、もっと触りますか?」
耳元で呟かれる言葉に、頭がクラクラ……それだけで簡単に心が乱される。
いやらしく身体を這う指使いに悶絶しながらも、ささやかな抵抗をすべく鎌田先輩の体を押し出す。ここは社内でいつ人が入ってきても、おかしくない場所なのだから。
「こ、こんな所じゃ、落ち着いて感じてられませんっ」
「口では、そんなことを言ってるくせに身体は正直ですよ」
しょうがないじゃない、久しぶりなんだから。心だけでなく、体も鎌田先輩を欲している。
なけなしの抵抗で押し退ける私の腕をものともせずに、ぎゅっと身体を抱き締めてきた。
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