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意外な一面 Wedding狂想曲(ラプソディ)
4(鎌田目線)2
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***
昨日と同じ時間に出社した。手には自販機で購入したペプチDRYが握られている。自宅に帰らず、傍にある公園のベンチにひっそりと腰をおろした。
ペットボトルのキャップを開けて、勢いよく中身を飲む。炭酸の爽快感が喉を突き抜けた。半分くらいイッキ飲みして軽くため息をつくと、俺を見ている目の前のつぶらな瞳に気がついた。
じっと佇むその姿に、どことなく君を重ねる。
眼鏡を外して視線を絡ませても臆することなく傍によって来ることもなく、ただ見つめるだけのネコ。
「君は俺の、どこが良かったのでしょうか……」
ずっと片想いしていて、ひょんなことからバンドで弾けてる姿を見られてしまった。相棒の裏工作のおかげで両想いになり、これまたお節介な奴のせいで知人の結婚式の披露宴の席上にて、勢いでプロポーズしてしまったんだ。
そして週末に、自分の結婚式を控えている現在――仕事もプライベートも、怒濤の日々に流されてる感があった。
それゆえに君の気持ちが霞んで見えなくなるときがあって、ひとりで落ち込んでいる。
(もしかして、これが噂のマリッジブルーってヤツか!?)
自嘲気味に片側の口角を上げると、目の前にいるネコがアクビをした。
そう、俺の悩みなんて他人から見たらアクビが出ちゃうような、くだらないことなんだ。
「俺ってこんなに、嫉妬深かったんだな」
嫉妬なんて女の専売特許だと思っていた、両方の漢字に女偏が入っているし。たかが小野寺と喋っていただけなのに、気になって気になって仕方がない。君が八方美人なのは元々なので、今更文句を言ってもしょうがないだろう。問題は――
「俺自身なんだよな……」
――嫉妬心、自分に自信がないことの表れ。
既に自分の妻となっているのに、どこか不安が拭い去れない。君が欲しくてたまらない。何度想いを告げても足りない。何度抱いてもまだまだ足りない、むしろもっと欲しくなる。心も身体も欲しくてたまらない。
飲みかけのペプチを全て飲み干し、近くにあるゴミ箱に捨てるべく、ぽいっと放り投げた。しかしゴミ箱のフチに当たって、どこかに飛んでいってしまう。そんなペットボトルを、ネコが喜んでさっさと探しに行った。
「こらこら、ゴミをオモチャにしちゃ駄目ですよ」
苦笑いしながらペットボトルを拾おうとした刹那、ネコパンチでゴミ箱と反対側の所にぶっ飛ばされてしまう。
「あのペットボトルみたいに、俺の不安をその手で飛ばしてくれませんか」
苦笑しながらネコに話しかけると、不思議そうな顔をして俺を見上げたのだった。
昨日と同じ時間に出社した。手には自販機で購入したペプチDRYが握られている。自宅に帰らず、傍にある公園のベンチにひっそりと腰をおろした。
ペットボトルのキャップを開けて、勢いよく中身を飲む。炭酸の爽快感が喉を突き抜けた。半分くらいイッキ飲みして軽くため息をつくと、俺を見ている目の前のつぶらな瞳に気がついた。
じっと佇むその姿に、どことなく君を重ねる。
眼鏡を外して視線を絡ませても臆することなく傍によって来ることもなく、ただ見つめるだけのネコ。
「君は俺の、どこが良かったのでしょうか……」
ずっと片想いしていて、ひょんなことからバンドで弾けてる姿を見られてしまった。相棒の裏工作のおかげで両想いになり、これまたお節介な奴のせいで知人の結婚式の披露宴の席上にて、勢いでプロポーズしてしまったんだ。
そして週末に、自分の結婚式を控えている現在――仕事もプライベートも、怒濤の日々に流されてる感があった。
それゆえに君の気持ちが霞んで見えなくなるときがあって、ひとりで落ち込んでいる。
(もしかして、これが噂のマリッジブルーってヤツか!?)
自嘲気味に片側の口角を上げると、目の前にいるネコがアクビをした。
そう、俺の悩みなんて他人から見たらアクビが出ちゃうような、くだらないことなんだ。
「俺ってこんなに、嫉妬深かったんだな」
嫉妬なんて女の専売特許だと思っていた、両方の漢字に女偏が入っているし。たかが小野寺と喋っていただけなのに、気になって気になって仕方がない。君が八方美人なのは元々なので、今更文句を言ってもしょうがないだろう。問題は――
「俺自身なんだよな……」
――嫉妬心、自分に自信がないことの表れ。
既に自分の妻となっているのに、どこか不安が拭い去れない。君が欲しくてたまらない。何度想いを告げても足りない。何度抱いてもまだまだ足りない、むしろもっと欲しくなる。心も身体も欲しくてたまらない。
飲みかけのペプチを全て飲み干し、近くにあるゴミ箱に捨てるべく、ぽいっと放り投げた。しかしゴミ箱のフチに当たって、どこかに飛んでいってしまう。そんなペットボトルを、ネコが喜んでさっさと探しに行った。
「こらこら、ゴミをオモチャにしちゃ駄目ですよ」
苦笑いしながらペットボトルを拾おうとした刹那、ネコパンチでゴミ箱と反対側の所にぶっ飛ばされてしまう。
「あのペットボトルみたいに、俺の不安をその手で飛ばしてくれませんか」
苦笑しながらネコに話しかけると、不思議そうな顔をして俺を見上げたのだった。
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