ドS上司の意外な一面

相沢蒼依

文字の大きさ
64 / 83
嬉しハズカシ新婚生活

不倫疑惑!?

しおりを挟む
「おかえり、賢一。早かったのね」

 現在出産を控えた奥さんは、実家で過ごしています。なので電話にて挨拶。

「ただいま叶。一緒にハシゴ酒したらきっと、早く帰宅できないと思ってさ。それにいつ生まれるかと思ったら、どうしても気になるしね」

「んもぅ、予定日までまだあるんだから、すぐには生まれないわよ。久しぶりに、楽しんできたら良かったのに。まさやん君と呑むの、久しぶりだったんでしょ?」

「そうだね。仕事忙しくてなかなか一緒に呑む暇なかったから、今回は久しぶりだった。今日はまさやんだけじゃなく、今川部長と3人で呑んだんだ。凄く盛り上がって、話が弾んで楽しかったよ……」

 珍しく俺を気遣ってくれる、どうしたんだろ? 

 今回の飲み会は俺自身あまりお酒が強くないので、ちょっとだけ呑んで、まさやんや今川部長の呑みっぷりを堪能してました。

「楽しかったという割には、語尾が下がってるのね」

「うん。まさやんのピッチがいつもより早いのを面白がって、次々と呑ませてしまったんだ」

 今まで一緒に呑んでも顔色や態度が変わることなく(そりゃいつもより、口煩くなるけどね)それなりの酒量をたしなんでいた記憶があるんだけど、今夜のまさやんは何だか全てがスゴかった。楽しかったのには、違いないと思うのだけれど――

「まさやん君、どうなっちゃったの?」

 興味津々で叶が聞いてくる。宿敵の情報が知りたくて、堪らないと言わんばかりだ。

「スーパーハイテンションな感じかなぁ。ライブの打ち上げでも、あそこまでテンションは上がることがなかったのに」

「イマイチ想像できないんだけど。どんな感じで、ハイテンションなのよ」

 不満そうな口振りされても困ってしまう。だって、表現のしようがないんだから。

「とりあえず今川部長が、次のお店に連れて行ってしまうくらい気に入っちゃう感じかな」

「へぇ、どこのお店に行ったのかしらね? 賢一も誘われたんでしょ」

「即行、俺は断ったよ。そんな趣味ないし!」

 奥さんからの立て続けの質問に、慌てて答えるしかない。

「どんな趣味のお店なのかしらぁ? 今川部長がわざわざ連れて行ってくれるようなトコなんだから、きっと綺麗なお姉さまがいそうよね?」

「あの……叶」

「即行断ったということは、一度そのお店に行ったと考えていいのかしら?」

 ああ、聡い奥さんをもつと大変です。

「行きました、はい行きました」

「まったく油断も隙もないわね。やっぱり出産後、すぐにでも戻ろうかしら」

「大丈夫だから。もういかがわしいお店には行かないから、ゆっくりしてきなよ。産後は、体を大事にしないといけないんだし」

「へぇ、いかがわしいお店だったのね」

 ――ああ、どんどん墓穴を掘ってる。

「このことは、ひとみちゃんにリークしておくわよ。アヤシイお店の件と、スーパーハイテンションのこと。帰宅して、びっくりするよりはマシでしょ」

「そうだね。あの状態はきっと度肝を抜くと思うから、事前に知ってもらった方がいいかも」

 きっと、どうしていいか分からないだろうな。俺も実際、かなりもて余したくらいなんだから。

「さて賢一くん、君には会ってからじっくりと事情聴取するから、覚悟しておきなさいよ」

「ほぼ自白してる状態なのに、まだやるんだ」

「とか何とか言って、寂しいくせに」

「叶?」

「電話での最初の声、何だか寂しいそうだったから」

 それはきっとまさやんや今川部長が、楽しげに奥さんの話をしていたせいかも。羨ましく聞いていたのは確かだったけれど、それが電話から伝わってしまうなんて。

(だから俺を気遣ってくれていたんだ――)

「有り難う叶、君こそ体調はどうなの?」

「実家にいるお陰で、快適に過ごしてるから大丈夫よ。でも賢一がいないのは、やっぱり寂しいわね。苛める相手がいないのは、やっぱりつまらないわ」

 もう十二分に、苛められてますが。

「でも遅くに電話ゴメン。お腹の赤ちゃんにも悪いよね」

「ううん、賢一の声が聞けて良かった。おやすみ」

「おやすみ叶」

 叶から電話を切るの待ってから、自分もオフにする。

「それにしても……」

 まさやん、ちゃんと家まで帰れるんだろうか。今川部長もかなり呑んでたからなぁ。次のお店で間違いなく、もっと弾けているに違いない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

その卵焼き俺にも食わせろ!―ワンナイトラブから逃げたはずなのに、契約で縛られてました!?―

鷹槻れん
恋愛
新沼 晴永(にいぬま はるなが/36)は俺様上司として恐れられる鬼課長。 そんな彼に毎日のように振り回されるのが、犬猿の仲(だと彼女が勝手に思っている)部下の小笹 瑠璃香(こざさ るりか/28)だ。 飲み会の夜、酔ってふにゃふにゃになった瑠璃香を晴永がまんまと持ち帰り――翌朝待っていたのはワンナイトの証拠と契約結婚の書類!? 晴永には逃げようとする瑠璃香を逃がすつもりはないらしい!? 笑いと誤解と契約の、ドタバタラブコメディ! ○表紙絵は市瀬雪さんに依頼しました♥(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)

美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

花里 美佐
恋愛
★神崎 蓮 32歳 神崎造船副社長 『玲瓏皇子』の異名を持つ美しき御曹司。 ノースサイド出身のセレブリティ × ☆清水 さくら 23歳 名取フラワーズ社員 名取フラワーズの社員だが、理由があって 伯父の花屋『ブラッサムフラワー』で今は働いている。 恋愛に不器用な仕事人間のセレブ男性が 花屋の女性の夢を応援し始めた。 最初は喧嘩をしながら、ふたりはお互いを認め合って惹かれていく。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

イケメン副社長のターゲットは私!?~彼と秘密のルームシェア~

美和優希
恋愛
木下紗和は、務めていた会社を解雇されてから、再就職先が見つからずにいる。 貯蓄も底をつく中、兄の社宅に転がり込んでいたものの、頼りにしていた兄が突然転勤になり住む場所も失ってしまう。 そんな時、大手お菓子メーカーの副社長に救いの手を差しのべられた。 紗和は、副社長の秘書として働けることになったのだ。 そして不安一杯の中、提供された新しい住まいはなんと、副社長の自宅で……!? 突然始まった秘密のルームシェア。 日頃は優しくて紳士的なのに、時々意地悪にからかってくる副社長に気づいたときには惹かれていて──。 初回公開・完結*2017.12.21(他サイト) アルファポリスでの公開日*2020.02.16 *表紙画像は写真AC(かずなり777様)のフリー素材を使わせていただいてます。

貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈

玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳 大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。 でも、これはただのお見合いではないらしい。 初出はエブリスタ様にて。 また番外編を追加する予定です。 シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。 表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。

数合わせから始まる俺様の独占欲

日矩 凛太郎
恋愛
アラサーで仕事一筋、恋愛経験ほぼゼロの浅見結(あさみゆい)。 見た目は地味で控えめ、社内では「婚期遅れのお局」と陰口を叩かれながらも、仕事だけは誰にも負けないと自負していた。 そんな彼女が、ある日突然「合コンに来てよ!」と同僚の女性たちに誘われる。 正直乗り気ではなかったが、数合わせのためと割り切って参加することに。 しかし、その場で出会ったのは、俺様気質で圧倒的な存在感を放つイケメン男性。 彼は浅見をただの数合わせとしてではなく、特別な存在として猛烈にアプローチしてくる。 仕事と恋愛、どちらも慣れていない彼女が、戸惑いながらも少しずつ心を開いていく様子を描いた、アラサー女子のリアルな恋愛模様と成長の物語。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...