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act:忍び寄る影
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「理子さん、さっき見たCMは今日から放映予定だったみたいだよ。えっと彼の名前は、葩御 稜(はなお りょう)だって。珍しい漢字を使っているから、多分芸名だろうなぁ」
俯いた彼女が見えやすいように、スマホの画面を手元で見せてあげる。スマホの画面には、上半身裸姿で寝転がりながらこっちを見ている写真と一緒に、プロフィールが詳細に掲載されていた。
「稜、りょう……稜くんっ!?」
理子さんは彼の名前を呟いたと思ったら、いきなり立ち上がって部屋を移動して、寝室のクローゼットの扉を開け放ち、奥にあるダンボールを慌てて引っ張り出した。
「理子さん、それは?」
「普段、使わない物をしまってあるんです」
言いながらガムテープをバリバリと引き剥がし、中からアルバムを一冊だけ取り出した。表紙を捲ったら、かわいらしい女の子の写真がたくさん貼られているのが目に留まる。
「わぁ、これは理子さんが子どもの頃の写真だね。どれもかわいいなぁ」
嬉しそうに感想を述べた俺を尻目に、理子さんは必死に彼が映っている写真を捜す。分厚いアルバムをパラパラめくって、半分くらいきたときに。
「いたっ! このコよ、さっきの彼!!」
その写真はランドセルを背負った幼い理子さんを、どこか羨ましそうに見つめている小さな男の子の姿だった。サラサラの黒髪は今と違って、短く整えられていても、幼いながら整った顔立ちはあまり変わらない。
「羨ましいな。こんな頃からカッコイイんだから、彼は人気者だったろう?」
本音を告げた俺の言葉に、理子さんは首を横に振った。間違いなくモテそうな容姿なのに、どうしてだろうと首を傾げてみせると、理子さんはアルバムを閉じて瞼を伏せる。
「それがね、友達がいなかったの。小さい頃から子供服のモデルをしていて、そのことをネタによくからかわれていたなぁ。そんな小さい稜くんがかわいそうで、意地悪しているコを見つけ私はよく怒っていたっけ」
「なるほど。年上の理子さんはかわいそうな彼のことを思って、結婚の約束をしたんだ?」
アルバムの表紙から理子さんの顔に視線を移しながら、意味深な上目遣いで彼女を見つめた。
「約束したことを、なぜだか思い出せなくって。私から見たら稜くんは、かわいい弟のような存在だったから」
「だけど彼は本気で、君を狙って逢いに来ていたよ。CMのオンエアに合わせて俺たちの前に登場したじゃないか。見せつけるようにわざわざインパクトを与えて、行動を起こした。その証拠がコレでしょ?」
理子さんの手首をそっと掴んで、キスマークを露にする。
「安心してくれ。次は絶対に理子さんのことを、彼氏としてきちんと守ってみせるからね」
告げたセリフを実行してみせるのを示すように顔を引き締めてから、彼女を抱きしめた。
「ありがとう、克巳さん。すっごく頼りになるから安心できます」
ありがたいことに彼が登場したことで、俺たちの絆がより一層深まった――重なり合う躰から伝わる熱が、さっきまでの不安をキレイに拭い去る材料になる。
どんなことがあっても理子さんをちゃんと守り、彼から奪われない自信をはぐくむことができたとこのときは思ったのに、現実はそう甘くはなかった。
じわりじわりと俺たちの傍に、彼が仕込んだ毒が忍び寄っていたなんて全然気づけずにいた。
俯いた彼女が見えやすいように、スマホの画面を手元で見せてあげる。スマホの画面には、上半身裸姿で寝転がりながらこっちを見ている写真と一緒に、プロフィールが詳細に掲載されていた。
「稜、りょう……稜くんっ!?」
理子さんは彼の名前を呟いたと思ったら、いきなり立ち上がって部屋を移動して、寝室のクローゼットの扉を開け放ち、奥にあるダンボールを慌てて引っ張り出した。
「理子さん、それは?」
「普段、使わない物をしまってあるんです」
言いながらガムテープをバリバリと引き剥がし、中からアルバムを一冊だけ取り出した。表紙を捲ったら、かわいらしい女の子の写真がたくさん貼られているのが目に留まる。
「わぁ、これは理子さんが子どもの頃の写真だね。どれもかわいいなぁ」
嬉しそうに感想を述べた俺を尻目に、理子さんは必死に彼が映っている写真を捜す。分厚いアルバムをパラパラめくって、半分くらいきたときに。
「いたっ! このコよ、さっきの彼!!」
その写真はランドセルを背負った幼い理子さんを、どこか羨ましそうに見つめている小さな男の子の姿だった。サラサラの黒髪は今と違って、短く整えられていても、幼いながら整った顔立ちはあまり変わらない。
「羨ましいな。こんな頃からカッコイイんだから、彼は人気者だったろう?」
本音を告げた俺の言葉に、理子さんは首を横に振った。間違いなくモテそうな容姿なのに、どうしてだろうと首を傾げてみせると、理子さんはアルバムを閉じて瞼を伏せる。
「それがね、友達がいなかったの。小さい頃から子供服のモデルをしていて、そのことをネタによくからかわれていたなぁ。そんな小さい稜くんがかわいそうで、意地悪しているコを見つけ私はよく怒っていたっけ」
「なるほど。年上の理子さんはかわいそうな彼のことを思って、結婚の約束をしたんだ?」
アルバムの表紙から理子さんの顔に視線を移しながら、意味深な上目遣いで彼女を見つめた。
「約束したことを、なぜだか思い出せなくって。私から見たら稜くんは、かわいい弟のような存在だったから」
「だけど彼は本気で、君を狙って逢いに来ていたよ。CMのオンエアに合わせて俺たちの前に登場したじゃないか。見せつけるようにわざわざインパクトを与えて、行動を起こした。その証拠がコレでしょ?」
理子さんの手首をそっと掴んで、キスマークを露にする。
「安心してくれ。次は絶対に理子さんのことを、彼氏としてきちんと守ってみせるからね」
告げたセリフを実行してみせるのを示すように顔を引き締めてから、彼女を抱きしめた。
「ありがとう、克巳さん。すっごく頼りになるから安心できます」
ありがたいことに彼が登場したことで、俺たちの絆がより一層深まった――重なり合う躰から伝わる熱が、さっきまでの不安をキレイに拭い去る材料になる。
どんなことがあっても理子さんをちゃんと守り、彼から奪われない自信をはぐくむことができたとこのときは思ったのに、現実はそう甘くはなかった。
じわりじわりと俺たちの傍に、彼が仕込んだ毒が忍び寄っていたなんて全然気づけずにいた。
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