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#14 おねえさまの正体
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(おねえさまが五色さま⁉)
五色さまの人さし指が首すじを這い、手のひらが愛おしむように私の首を撫でています。
確かに侯爵邸で会ったときには、おねえさまから【秘密のシスタアの儀式】を私にするという約束をしていました。
でも、それはおねえさまが女性だと信じていたから・・・。
「ひゃ・・・。」
私は愛撫されるのがくすぐったくて、身をよじりました。
「可愛い。」
五色さまはそう言いながら右ひざを簡易寝台にかけると、小きざみに震える私の両肩に、優しく手を添えました。
「セーラー服のみつきも良いけど、今日は本物のお姫さまみたいだ。」
それはおねえさまからいちばん欲しかった言葉でした。
私は胸が高鳴りましたが、すぐにそれをグッと抑えました。
「私・・・おねえさまが五色さまだなんて、信じられません。」
「ボクも、みつきを助けたいだけで困らせるつもりはないよ。でも、もう我慢できない。」
五色さまはオッドアイをうるませて、余裕のない表情をしました。
「噛んでも・・・いい?」
五色さまの妖艶な息づかいがすぐ近くに感じます。
その美しさは私が大好きなおねえさまそのもので、とうとう私はタガが外れてしましました。
目をギュッとつぶってうなずくと、五色さまは私を押し倒して覆い被さりました。
そして、おもむろに首すじに歯を当てたのです。
「ああ・・・。」
もう、自分を騙すことはできません。
薔薇の香りがいっきに鼻腔になだれこみ、私の目からは自然と涙があふれました。
おねえさまが五色さまなのだという事実が、私の五感に染み渡ります。
騙されていたと知ってもなお、私の胸はおねえさまへの甘酸っぱい【純愛】でいっぱいになるのです。
「ああ、おねえさま・・・。」
「目を開けて、ちゃんと見て。」
その声に誘われるように目を開けると、ガラスキャビネットに私たちの姿が映っているのが見えました。
美しい男性に組み敷かれた私。
思い描いていた景色ではありませんが、夢にまで見たお願いが現実のものになった快感にゾクゾクしました。
「五色さま・・・。」
「麗と呼んで。」
麗さまはいちど私と目を合わせると、少し下のほうにずらしながら何度も首すじを噛みました。
いつ部屋に先生や生徒が入ってくるか分からない状況なのに、です。
興奮と背徳感のせめぎ合いに、私は泣きながら快楽に溺れていました。
※
どれくらい、私たちはそうして過ごしていたのでしょう。
廊下を女生徒の集団が歩く音がして、ようやく麗さまは私を解放してくださいました。
そして上着からハンカチーフを取り出すと、寝台に横になる私の涙の跡を拭いて言いました。
「せっかくみつきに招待されたのに【うらら】として来られなくてごめんね。
どうしても、みつきの可愛い姿を見ておきたかったんだ。」
私は乱れた衣服を直しながら、首を横に振りました。
「もう、大丈夫です。」
「泣くほど怖かった?」
「いいえ。
むしろ私の【純愛】は変わらないと確信しました。」
麗さまは私を胸に強く抱きしめて、小声で呟きました。
「そんなこと言われたら、二度と家に帰せなくなるよ。」
五色さまの人さし指が首すじを這い、手のひらが愛おしむように私の首を撫でています。
確かに侯爵邸で会ったときには、おねえさまから【秘密のシスタアの儀式】を私にするという約束をしていました。
でも、それはおねえさまが女性だと信じていたから・・・。
「ひゃ・・・。」
私は愛撫されるのがくすぐったくて、身をよじりました。
「可愛い。」
五色さまはそう言いながら右ひざを簡易寝台にかけると、小きざみに震える私の両肩に、優しく手を添えました。
「セーラー服のみつきも良いけど、今日は本物のお姫さまみたいだ。」
それはおねえさまからいちばん欲しかった言葉でした。
私は胸が高鳴りましたが、すぐにそれをグッと抑えました。
「私・・・おねえさまが五色さまだなんて、信じられません。」
「ボクも、みつきを助けたいだけで困らせるつもりはないよ。でも、もう我慢できない。」
五色さまはオッドアイをうるませて、余裕のない表情をしました。
「噛んでも・・・いい?」
五色さまの妖艶な息づかいがすぐ近くに感じます。
その美しさは私が大好きなおねえさまそのもので、とうとう私はタガが外れてしましました。
目をギュッとつぶってうなずくと、五色さまは私を押し倒して覆い被さりました。
そして、おもむろに首すじに歯を当てたのです。
「ああ・・・。」
もう、自分を騙すことはできません。
薔薇の香りがいっきに鼻腔になだれこみ、私の目からは自然と涙があふれました。
おねえさまが五色さまなのだという事実が、私の五感に染み渡ります。
騙されていたと知ってもなお、私の胸はおねえさまへの甘酸っぱい【純愛】でいっぱいになるのです。
「ああ、おねえさま・・・。」
「目を開けて、ちゃんと見て。」
その声に誘われるように目を開けると、ガラスキャビネットに私たちの姿が映っているのが見えました。
美しい男性に組み敷かれた私。
思い描いていた景色ではありませんが、夢にまで見たお願いが現実のものになった快感にゾクゾクしました。
「五色さま・・・。」
「麗と呼んで。」
麗さまはいちど私と目を合わせると、少し下のほうにずらしながら何度も首すじを噛みました。
いつ部屋に先生や生徒が入ってくるか分からない状況なのに、です。
興奮と背徳感のせめぎ合いに、私は泣きながら快楽に溺れていました。
※
どれくらい、私たちはそうして過ごしていたのでしょう。
廊下を女生徒の集団が歩く音がして、ようやく麗さまは私を解放してくださいました。
そして上着からハンカチーフを取り出すと、寝台に横になる私の涙の跡を拭いて言いました。
「せっかくみつきに招待されたのに【うらら】として来られなくてごめんね。
どうしても、みつきの可愛い姿を見ておきたかったんだ。」
私は乱れた衣服を直しながら、首を横に振りました。
「もう、大丈夫です。」
「泣くほど怖かった?」
「いいえ。
むしろ私の【純愛】は変わらないと確信しました。」
麗さまは私を胸に強く抱きしめて、小声で呟きました。
「そんなこと言われたら、二度と家に帰せなくなるよ。」
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