俺を処刑するはずのヤンデレ兄様に溺愛されるなんて聞いてない【本編完結】

ノノノ

文字の大きさ
2 / 15
本編

第2話:事故と目覚め

しおりを挟む
 
 俺はどこにでも居るただのゲームが好きな陰キャの男だった。
 いつものように学校の授業が終わり、特に部活をすることもなく真っすぐ家に帰っていく。家に帰れば、さまざまなゲームソフトが俺を待っているはずだ。俺はいろんなジャンルのゲームを遊んでいる。その時の気分でマイブームのジャンルは変わり、今よくプレイしているのはノベルゲームだった。

 基本は男性向けのみ遊んでいるが、たまに姉が持っている女性向けのノベルゲームも遊ぶ。萌えるかどうかはさておき、シナリオが作りこまれているゲームは女性向けでも楽しい。
 先日も姉から女性向けのノベルゲームを借りたばかりだ。とんでもないヤンデレキャラが居ると聞いて、少し興味が沸いたのだ。男性向けのヤンデレキャラは結構好きだ。性別が違うと毛色も違うだろうが、食わず嫌いは損だ。

 まだ完全クリアはしていないが、あの『レギオン』というキャラクターはなかなか強烈だったなぁとぼんやり考えていた。

 次の話の展開はどうなっていくのだろう。まだ明かされていない設定はどうなのかなといろいろ予想して、答え合わせするかのようにゲームを遊ぶ。これがなかなか楽しい。

 そんな事を考えていたのがいけなかったのだろうか。
 誰かの悲鳴とクラクションの音が響いて、驚いた俺は横を向いた。猛スピードで突進してくる車が、目の前にあった。

 そのあとの事はよく覚えていない。
 もう避けられるような距離ではなかった。おそらく俺は車に跳ねられ、頭を強く打ち付け、気を失った。おそらく、死んでしまったのだと思う。痛みも感じなかったのは不幸中の幸いかもしれない。

 ああでも、くやしいな。
 あのゲームの続き遊びたかったな、答え合わせしたかったな。家族の事とそんな事を考えながら、俺は深い眠りについた。


―――――――――


 そして、次に俺が目を覚ましたところはベッドの上だった。見上げた先には立派な天蓋ベッドの天井が見える。俺の身体を支えるベッドや掛布団もふわふわで、病院ではないことは分かった。
 なんだこの貴族が使うようなでかいベッドは……と思いながら身体を起こす。後頭部がズキリと痛んだが、車に跳ねられてこの程度の痛みですむはずがない。何が一体どうなっているんだと混乱していると、俺に気付いた1人の女の人が慌てて俺に近づいてきた。

「ユリス様、大丈夫ですか?」

「は?」

 その女の人はロングスカートのメイド服を着ていた。
 状況がますます訳が分からなくて低い声を出すと、メイドは怯えたような顔をして「すみません……」と言って後ろにさがる。

「あ、いや、驚いただけです。こちらこそすみません」

 不本意に怖がらせてしまったと焦り、慌てて謝罪をすると、メイドは安心するどころかより一層困惑した顔で俺を見ている。いや、そんなに困惑する必要はなくないか? とりあえずここはどこだろうと辺りを見渡す。
 なんだか豪華な洋館の内装だった。部屋は広く、窓からは昼下がりの美しい光が差し込んでいる。美しいアンティーク調の家具が置かれ、ベッドの布団にも見事な模様が織り込まれている。そしてベッドのサイドテーブルに置かれたスタンドミラーを見た瞬間、俺は言葉を失った。

 慌てて自分の頬や頭を触る。
 鏡に映った人物も、俺と全く同じ動きをした。だが、学校帰りの俺とは全く違う人物が鏡には映っていた。

 ユリス・アデレーゼだ!

 先日姉から借りたノベルゲームの悪役令息……攻略対象のレギオン・アデレーゼの弟の姿がそこには映っていた。正確にはゲームで見た時より少し若いように見えるが、間違いない。
 俺の姿はユリス・アデレーゼになってしまっていた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した

あと
BL
「また物が置かれてる!」 最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…? ⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。 攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。 ちょっと怖い場面が含まれています。 ミステリー要素があります。 一応ハピエンです。 主人公:七瀬明 幼馴染:月城颯 ストーカー:不明 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。

あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。 だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。 よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。 弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。 そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。 どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。 俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。 そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。 ◎1話完結型になります

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話

あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」 トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。 お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。 攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。 兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。 攻め:水瀬真広 受け:神崎彼方 ⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。 途中でモブおじが出てきます。 義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。 初投稿です。 初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

処理中です...