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本編
第7話:あり得ない要求※
しおりを挟むレギオンは俺を軽々と持ち上げると、真っ直ぐベッドの方へ向かい、俺を放り投げた。受け身も取れずベッドにダイブしたが、柔らかく上質な布団のおかげで痛くはない。布団に沈んだ身体を起き上がらせると、天蓋ベッドのカーテンを閉めたレギオンがすぐ側に来ていた。
逃げようとしてもすぐに腕を掴まれた。しかもレギオンはポケットにあるハンカチで俺の腕を縛り上げ、押し倒すように身体を押さえつけてくる。もう身体をよじる程度の意味のない抵抗しかできない。
「ま、待ってください兄様……!!」
「お仕置きと言ったから怖がっているのかな? でも大丈夫、落ち着きなさい。乱暴な事はしない」
この状況でそんなわけあるか!
無理矢理ベッドに連れ込んで、腕を縛って落ち着けるわけないだろう。
「嫌だ! 離してくれ、ください……!!」
俺が叫んでもそれを無視するようにレギオンは俺のシャツをめくる。先程同様、レギオンの細くて形の整った美しく指が俺の肌を撫でた。顔を俺の首元に近づけたかと思うと、チクリと痛んだ。
「うん、似合っている」
嬉しそうに先程痛みが走った部分を撫でられ、恐怖心で硬直してしまう。どうやら痕をつけられたらしい。
優しく全身を撫でられ、レギオンの舌が俺の身体を這う。ピクリとたった無駄に綺麗なピンク色の乳首を甘噛みされて、思わず身体がのけぞった。機嫌良さそうに小さく笑ったレギオンは、もう片側も同じ様に口に含んで舌で撫で、口に入れていない方を人差し指でカリカリと擦って刺激してくる。
逃げなきゃいけないのに……止めなきゃいけないのに気持ち良くて頭がぼんやりしてきた。下半身がじんわりと熱くなっていき、圧迫感の様なものを感じる。
「そろそろかな」
「えっ……?」
レギオンが俺の胸から唇を離して起き上がる。強い違和感に俺は自分の下半身を見ると、自分の陰茎が勃ち上がってズボンのファスナー部分を押し出そうとしていた。
う、嘘だ…男の俺が男に…それも自分の兄に興奮しているとか、そんなわけないだろう?
張り詰めているのは気のせいだと思いたかったのに、レギオンによってズボンのホックを外される。ホックを外した瞬間、塞き止めるものがなくなった先端が顔を覗かせる。さらになんの躊躇もなく下着もめくられ、立派に勃ち上がった自分の陰茎がよく見えた。
「シルデナフィルが効いてきたようだね」
「……シルデナフィル?」
レギオンがクスリと笑う。何だそのシル何とかは。聞いたことないぞ?
俺が混乱して口を開けていると、レギオンは丁寧に説明をし始める。
「性的刺激があった場合に勃起をサポートする成分だよ。それが調合された特別な薬を、ユリスのティーカップの内側に塗っていたんだ」
何だその成分は!
いや、でも転生前の世界でも似たような薬があると聞いたことがある。確かバイアグラという薬がそんな効果があった気がする。もしかしてそれと同じような薬なのだろうか?
「そ……それって、元々俺を抱くつもりだったのですか?」
「別に今日決めた事ではない。この薬は摂取しても性的刺激がなければ効果はない。いつか機会があれば良いと願って、ユリスのティーカップにはいつも塗っていた。その機会というのが、偶然今日だっただけだ」
その言葉に唖然とするしかなかった。だからレギオンはいつもお茶を淹れる時に俺にティーカップを触らせようとしなかったのか。だがそれより、いつも塗っていたという言葉が衝撃的だった。
いつからだ?
2人きりでお茶会をするようになってから?
お茶を用意してくれる執事は知っていたのか?
いつも俺を見ると気まずそうに視線をそらしていたのはそのためか?
様々な疑問で混乱している俺の気持ちなどつゆ知らず、レギオンは俺のそそり立つ陰茎に触れる。
「ひぁあっ……!!」
ゆるりと掴み、手を上下に動かすように擦られる。久しぶりの快感に身体が震える。最近官能小説も無くなってまともに自慰も出来ていなかったせいで、普段より余計に感じているのかもしれない。
先走りが溢れヌルヌルに湿ったそれを、擦り、時々爪で引っ掻くように刺激されて昂ぶらせていく。
「ふあ……ああぁ……♡」
「よしよし、ユリスは気持ち良くなるのが上手だね。ああ、とっても可愛いよ、私のユリス」
自分の喉から出たとは思えないほどの甘い声を抑えることが出来ない。
いつものように俺の頭を撫でながら、優しく耳元で囁く声に何も考えられなくなりそうだ。腰が時々ビクビクと痙攣するように跳ねる。こんな醜態を兄に晒すなんて嫌なのに、気持ち良すぎて自分の身体なのに制御出来ない。
「ユリス、お前はずっと私に隠れて書斎の小説で自慰していたよね?
実はずっと知っていたよ。そしてずっとズルいと思っていたんだ。直接擦るのはユリスの手ではあったけど、小説の女たちがユリスを気持ち良くしていたことが、ずっとずっと羨ましかった」
「へ……? ひゃあっ、 ま、待って……♡」
レギオンの言葉を聞きたいのに、頭に入ってこない。
もうすぐ絶頂を迎えそうなほど膨れ上がった俺の陰茎を擦る速度が速くなっていく。身体がビクビクと震え、より刺激を求めるように、無意識に腰が浮いていく。
「ユリス、私なら直接お前に触れ、気持ち良くさせてあげられる。全身を優しく撫でて、唇に触れ、1人では出来ない沢山の快楽を与えられる。ほら、今だってこんなにトロトロになって可愛くなっている」
「あっ……ああっ……にいさま、俺……」
「良い機会だ、今後はユリスのここが溜まったら私が慰めてあげよう。もう官能小説も全て廃棄したのだしそれが良い。ユリス、分かったかい?」
「んあ……はあ……♡」
もう我慢できない、出てしまう。
そう思った時、突然陰茎を擦る刺激が止まった。射精直前で、ピタリとレギオンの手が止まったのだ。何で……と思い恐る恐るレギオンを見ると、
「ユリス、もう一度言うよ。今後は私がユリスの性処理をする。分かったら返事をしなさい」
俺と目が合ったレギオンはじっとりとした笑みを向けた。口調こそ優しいが、拒否は許さないという凄みを感じた。俺はあり得ない要求に言葉を失った。
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