俺を処刑するはずのヤンデレ兄様に溺愛されるなんて聞いてない【本編完結】

ノノノ @1/17新作完結

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番外編

下町の本屋①(レギオン視点)

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快晴の空の下、今日も下町の大通りは賑わっていた。
露店で野菜の品定めをする者、時計を見て慌てたように走る者、オープンカフェで動き回る店員など様々だ。
この町一帯を治めている者としては、活気づく町を見ては誇らしさを感じる。

私の存在に気付いた庶民の中は、すれ違い際に頭を下げてくれる者もいる。その度に私も顔に笑顔を張り付け、手を軽く振る。
頭を下げてくれる庶民は皆、私に尊敬の念を抱いた視線を向ける。
だがひとつ困ったこともある。
尊敬の念に誇らしさを感じると同時に、私の隣を忌々しそうに見る目に言葉には出来ぬほどの強い怒りを覚えるのだ。

「レギオン兄様、笑顔、笑顔ですよ…!」

「ああ、すまないユリス」

今の私の隣には自慢の愛おしい弟のユリスが居る。
どうやらまた怒りが表情に現れていたようだ。ユリスを嫌う者に恐れられるのは構わないが、ユリスに心配されるのは心苦しい。

元々下町の様子を確認するため、使用人を引き連れて巡回をすることも多かった。あくまで仕事の一環としてそれを行っていた。
だが最近はユリスと2人きりで散歩をするようになった。

ここ最近ユリスはずっと屋敷に引きこもりがちだったが、外が嫌になったわけではなさそうだ。確かにあの屋敷は広いが、ずっと居続けるとなれば外に出たくなる気持ちも分かる。
だがここには私のユリスを嫌う者が蔓延る危険な場所でもある。
私にはユリスの兄として…恋人として、死が2人を分かつまでユリスを見守る義務がある。私がちゃんと悪意ある者から可愛いユリスを守らなくては…そう思っていると、どうしても周りに向ける顔が険しくなってしまう。

「レギオン兄様、庶民たちが俺を悪く思うのは全て俺のせいなのです。だからその…絶対に庶民たちに手を出さないでくださいね、絶対に…!」

「分かっているよ。優しくて可愛い弟の頼みだからね」

ユリスは時々、私の心の奥底にある黒い感情を理解しているかのような発言をする。こんなにも私の心を理解してくれるようになるとは思わず、それもとても嬉しい。
実際ユリスが止めなければ何人か見せしめで殺していたかもしれない。
特に先日物陰からユリスに石を投げた男とか、すぐに捕らえて首を落としてやろうかと思った。
たまたま服の上に当たったから良かったものの、もしあれがユリスの頭部に当たってたらと思うと今でも脳が怒りで焼け切れそうになる。
ユリスが必死に私の身体を抱きしめて、泣きながら止めるものだから何も出来なかった。その男は私が睨みつけてやったらすぐにどこかへ逃げてしまった。

「あー、えっと、お…俺はレギオン兄様からっ…愛、されてるだけで十分なので…」

照れているのか気まずそうに目を反らしながらかけてくれる言葉は、いつも私が喜ぶもので…声が裏返っていても可愛い。
頑張って私への愛情を言葉にしてくれたお礼に、私も言葉を返す。

「ありがとうユリス。私もお前からの愛だけで十分だ。庶民からの敬愛もいらない。だから他の者が許せなくなったらちゃんと教えておくれ」

「はい…」

ユリスを抱きしめようと手を伸ばして、そっと引っ込める。
ユリスには恥ずかしいから2人きりの時以外は止めてほしいと言われた。
もう恋人なのだから良いじゃないかと思ったが、ユリスに「レギオン兄様以外に照れている姿を見られたくない」と言われてしまっては了承するしかない。

…本当に、いつの間に私が喜ぶ言葉を理解したのだろう。たまに手のひらの上で転がされている気分になるが、ユリスの手のひらの上なら悪くない。
永遠に私の傍にいてくれて、私を愛してくれるならそれで良い。


―――――――――


ユリスが変わったのは1年くらい前の事だ。
屋敷から逃げ出そうとした時、ちょっとした事故で後頭部に怪我をしてしまった。
そこから心が入れ替わったかのように人当たりが、以前の優しかった頃に戻った。

幼い頃のように兄様と呼んでくれるようになり、「反省した、アデレーゼ家の令息としての自覚を持つ」と宣言してくれたのだ。
その時は半信半疑であったが、その日以降ユリスは真面目に講習を受け、自ら私に文字の読み書きの教えを乞い、私を心配するかのような温かい言葉をかけてくれるようになった。

尊敬の念は送られど愛情を向けられることは殆どなかった私は、少しずつその優しさの虜になっていった。
まだ幼さが残るとはいえ、歳を重ねるごとに成熟していくその美しい身体に…その胸に包まれたいと思うようになってしまった。
当主ではなくレギオンとして愛情を向けてくれるユリスに恋をしてしまった。
だったらもう、私もユリスの愛情に応えるのが筋であろう?
…どうやらまた少しやり過ぎてしまい、少々喧嘩になったが、結果的にユリスは私の全てを受け入れてくれた。

だって他者を…兄を傷つけるなんて間違ったことをしてくるものだから、私とユリスの双方が喜ぶ口約束を結ばせ、言葉では伝えられない愛情を注いで少しずつ分かってもらおうとした。
あんなやり方は本当は間違っていると分かっていながら…。

でも、ユリスはその可愛い身体を私に差し出してくれた。
自らの意思で私に臀部でんぶを向け、その先にある小さな秘部を広げて私を招いてくれた。
ユリスへの愛情で限界まで膨らんだ私の陰茎を挿れる事を許してくれた。いや、求めてくれたと言っていい。
私の身体に形成された精液は、ユリスのために作られたと確信している。何故ならユリス以外にあそこまで強く反応したことがないから。
それをユリスは震える身体で全て受け止めてくれた。ユリスの中はとても気持ち良くて温かくて、私のものはここに収めるために存在しているのだと思うととても嬉しかった。
身体の奥底まで繋がってその温かな身体を抱きしめている時、これが幸せなんだと、心地よい波に溺れそうになりながら感じたものだ。

想いも身体も繋がった私たちは無事に『恋人』になったのだ。
言葉にせずともそう確信した。

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