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闇-4
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ドレスが決まったようで、メイド3人が厨房へワゴンと一緒に戻ってきた。
3人ともお揃いのお仕着せでもあるが、眉間の皺もお揃い状態だった。
結局、マリアンナたちはいつもよりほんの少々量を減らした昼食を食べ、午後のティータイムをいつも通り楽しみ、ドレスルームでメイドたちにキーキー文句を言いながらドレスに着替えて、日雇いの御者にもケチをつけてからフリージア子爵邸へ向かった。
御者はスホールが辞めてから何度も頼んでいる人で2頭の馬たちもそこそこ懐いていて、彼女たちの扱いもそこそこ慣れていた。
今夜はマリアンナたちがいないので夕食は必要な分だけを作ると、雇いの料理人たちは食べてさっと帰ってしまい、厨房はダンとルルー、ツキヨだけだった。
マルセルの夕食は本人の希望で具だくさんのスープとパンなので温めれば問題がない状態になっている。
メイドたちは、いつもは通いだが遅い時間に帰るマリアンナたちのために残り、今は早めに食事をとり、住み込みメイドが使っていた部屋で休憩している。
ダン、ルルーはツキヨに二人の部屋の湯あみ部屋で湯をたっぷりと使わせて、戻ってきたツキヨにリンゴの絞り汁を飲ませ、久しぶりにワイワイと楽しい夕食時間を過ごせた。
体も温まり、楽しい時間を過ごせたツキヨは行儀悪く「ふわぁ」と欠伸をした。
「まぁ。うふふ。今夜は楽しい夜でございますからね、お行儀が悪いのは目をつぶりましょうね。
お嬢様、たまにはお早めに休まれてはいかがでしょうか。お疲れでしょう」
ルルーも少し眠たそうにしているがツキヨに声をかける。
「でも、ルルーもダンも…」
「俺たちはマルセル様も戻られるし、嬢ちゃまはお気にならなくても力だけはあるんでね。ワハハ」
厨房からくすねたマリアンナが好きな安ワインを飲んでダンは気分が良さそうだ。
「…そうね、たまにはお先に失礼してもいいかしら」
「そうですよ、お休みになられてくださいな」
「わかりました。それではダン、ルルーお先におやすみなさい」
ツキヨはペコリと挨拶をして二人の「おやすみなさいませ」という声に見送られて小屋へ戻った。
湯を浴びて久しぶりにすっきりして、しかもいつもより早く寝られるだけでも幸福だった。
寝衣に着替えてガタつくベッドへもぐり込み今日の幸運に感謝した。
-----------------
真夜中…
ツキヨは屋敷の正門のほうから聞こえる馬や人の騒ぎ声で目が覚めた。
「え?何かしら?」
寝衣のままだと寒いのでいつもの服に着替え、木の蔭から覗き込んだ。
「奥様、お止めください!」
「この、駄馬めがっ!」
パァンッ!!
マリアンナが横倒しになって壊れた馬車と一緒に倒れている2頭の馬に御者から取り上げた鞭を何度も振り下ろしている。馬も口から泡を出している。
ルルーやダン、メイドたちが止めようとしても鞭をヒステリックに振りまわすので近づけない。
「御者のあんたもこんな駄馬を扱えないなんて、どんだけ役立たずなんだいっ!!!??挙句の果ては使えないクズメイド!私の手に触れるなんて無礼な!!!!!!」
御者も怪我をしているのか頭から血を流しているが、マリアンナは鞭で容赦なくパァン!と打つとメイドたちにも何度も打ち付ける。
「うぅ、申し訳ございませ…ん…」
「お、奥様…申し訳ご、ございません」
傷だらけのメイドたちと倒れる御者を足元にメリーアンが「お母様、ミリアンがこんなに泣いてしまい可哀相ですわ!ダン!!!!!こんなバカ馬、捨てておしまい!」と母親に似ている声で叫ぶ。
「お母様ぁ!お姉様!ミリアンはもう、馬なんて嫌ですぅ!!!うぅ…ヒック…」
「奥様、御者は何も悪くもございません!お止めください!早く怪我の手当てをしないといけません」
少し離れたルルーが大声を張り上げても興奮しているのか聞く耳を持たない。
ツキヨが慌ててルルーへ近づき「ルルー!これはいったい?!」とルルーに問うと「あぁ!お嬢様!!!こちらは危険ですから離れてくださいまし」と泣きながら言うばかりであったが「いいから教えて!」と珍しく怒気の含んだ声を出したツキヨにハッとした顔になった。
「お嬢様、申し訳ございません。
奥様たちがお帰りになられて、玄関前に馬車を停めたのです。先にお嬢様たちが降りたあと、奥様はお酒を飲まれていたご様子だったのでメイドが奥様の手を取ると『無礼な!メイドの癖に触れるな!』とメイドを突き飛ばしたら御者台にぶつかって…それで馬が驚いて棒立ちになって…。
突然のことで御者も上手く制御ができずに、バランスを崩して馬と馬車と一緒に横倒しになってしまったのです」
ダンが少し興奮が収まったマリアンナに「奥様、これ以上はお止」「この!悪魔の子!!!!お前がおかしな呪いを馬にかけたのか!!!!???」ダンの声も聞こえなかったのかツキヨに気がついたマリアンナがツカツカと近づく。
「この魔物。確か、今日も馬の世話をしたわよね。あぁ、馬臭い。
そのときに馬に呪いをかけたんだろう!なんて恐ろしい娘。可哀想だと思って置いてやっているのになんて娘なんだい!?」
マリアンナは酒臭い声で新しい攻撃対象をツキヨにした。
3人ともお揃いのお仕着せでもあるが、眉間の皺もお揃い状態だった。
結局、マリアンナたちはいつもよりほんの少々量を減らした昼食を食べ、午後のティータイムをいつも通り楽しみ、ドレスルームでメイドたちにキーキー文句を言いながらドレスに着替えて、日雇いの御者にもケチをつけてからフリージア子爵邸へ向かった。
御者はスホールが辞めてから何度も頼んでいる人で2頭の馬たちもそこそこ懐いていて、彼女たちの扱いもそこそこ慣れていた。
今夜はマリアンナたちがいないので夕食は必要な分だけを作ると、雇いの料理人たちは食べてさっと帰ってしまい、厨房はダンとルルー、ツキヨだけだった。
マルセルの夕食は本人の希望で具だくさんのスープとパンなので温めれば問題がない状態になっている。
メイドたちは、いつもは通いだが遅い時間に帰るマリアンナたちのために残り、今は早めに食事をとり、住み込みメイドが使っていた部屋で休憩している。
ダン、ルルーはツキヨに二人の部屋の湯あみ部屋で湯をたっぷりと使わせて、戻ってきたツキヨにリンゴの絞り汁を飲ませ、久しぶりにワイワイと楽しい夕食時間を過ごせた。
体も温まり、楽しい時間を過ごせたツキヨは行儀悪く「ふわぁ」と欠伸をした。
「まぁ。うふふ。今夜は楽しい夜でございますからね、お行儀が悪いのは目をつぶりましょうね。
お嬢様、たまにはお早めに休まれてはいかがでしょうか。お疲れでしょう」
ルルーも少し眠たそうにしているがツキヨに声をかける。
「でも、ルルーもダンも…」
「俺たちはマルセル様も戻られるし、嬢ちゃまはお気にならなくても力だけはあるんでね。ワハハ」
厨房からくすねたマリアンナが好きな安ワインを飲んでダンは気分が良さそうだ。
「…そうね、たまにはお先に失礼してもいいかしら」
「そうですよ、お休みになられてくださいな」
「わかりました。それではダン、ルルーお先におやすみなさい」
ツキヨはペコリと挨拶をして二人の「おやすみなさいませ」という声に見送られて小屋へ戻った。
湯を浴びて久しぶりにすっきりして、しかもいつもより早く寝られるだけでも幸福だった。
寝衣に着替えてガタつくベッドへもぐり込み今日の幸運に感謝した。
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真夜中…
ツキヨは屋敷の正門のほうから聞こえる馬や人の騒ぎ声で目が覚めた。
「え?何かしら?」
寝衣のままだと寒いのでいつもの服に着替え、木の蔭から覗き込んだ。
「奥様、お止めください!」
「この、駄馬めがっ!」
パァンッ!!
マリアンナが横倒しになって壊れた馬車と一緒に倒れている2頭の馬に御者から取り上げた鞭を何度も振り下ろしている。馬も口から泡を出している。
ルルーやダン、メイドたちが止めようとしても鞭をヒステリックに振りまわすので近づけない。
「御者のあんたもこんな駄馬を扱えないなんて、どんだけ役立たずなんだいっ!!!??挙句の果ては使えないクズメイド!私の手に触れるなんて無礼な!!!!!!」
御者も怪我をしているのか頭から血を流しているが、マリアンナは鞭で容赦なくパァン!と打つとメイドたちにも何度も打ち付ける。
「うぅ、申し訳ございませ…ん…」
「お、奥様…申し訳ご、ございません」
傷だらけのメイドたちと倒れる御者を足元にメリーアンが「お母様、ミリアンがこんなに泣いてしまい可哀相ですわ!ダン!!!!!こんなバカ馬、捨てておしまい!」と母親に似ている声で叫ぶ。
「お母様ぁ!お姉様!ミリアンはもう、馬なんて嫌ですぅ!!!うぅ…ヒック…」
「奥様、御者は何も悪くもございません!お止めください!早く怪我の手当てをしないといけません」
少し離れたルルーが大声を張り上げても興奮しているのか聞く耳を持たない。
ツキヨが慌ててルルーへ近づき「ルルー!これはいったい?!」とルルーに問うと「あぁ!お嬢様!!!こちらは危険ですから離れてくださいまし」と泣きながら言うばかりであったが「いいから教えて!」と珍しく怒気の含んだ声を出したツキヨにハッとした顔になった。
「お嬢様、申し訳ございません。
奥様たちがお帰りになられて、玄関前に馬車を停めたのです。先にお嬢様たちが降りたあと、奥様はお酒を飲まれていたご様子だったのでメイドが奥様の手を取ると『無礼な!メイドの癖に触れるな!』とメイドを突き飛ばしたら御者台にぶつかって…それで馬が驚いて棒立ちになって…。
突然のことで御者も上手く制御ができずに、バランスを崩して馬と馬車と一緒に横倒しになってしまったのです」
ダンが少し興奮が収まったマリアンナに「奥様、これ以上はお止」「この!悪魔の子!!!!お前がおかしな呪いを馬にかけたのか!!!!???」ダンの声も聞こえなかったのかツキヨに気がついたマリアンナがツカツカと近づく。
「この魔物。確か、今日も馬の世話をしたわよね。あぁ、馬臭い。
そのときに馬に呪いをかけたんだろう!なんて恐ろしい娘。可哀想だと思って置いてやっているのになんて娘なんだい!?」
マリアンナは酒臭い声で新しい攻撃対象をツキヨにした。
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