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闇-3
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夜が明けてしばらく経つ頃にツキヨは目を覚ます。
汚いけど、木桶の水で手を拭い髪を整えて服を着替える。上のシャツは何度も繕ったりしているが母のオリエの布のズボンは破れたりすることはなかった。
木桶の中の汚れた水を小屋の外に植えた5個の花の球根に優しくかける。
前の庭師のオジーがマリアンナの理不尽な怒りにふれて辞める時にくれた球根だ。どんな花が咲くのかと聞いたが「ツキヨお嬢様の心がきっと表れるような美しいお花ですよ」というだけだった。
球根をくれたときは屋敷に住んでいたが、今は何の因果か庭師の小屋に移り住み、その際に球根を植えた。
もっときれいな水をあげたかったが井戸はここからは遠く、また近づくと「水が穢れる」と怒られるため、球根に謝った。
花はまだ咲かない。オジーは元気だろうか。
ツキヨは厩舎へ向かい、馬の世話をする。甘えるようにツキヨの頭を甘噛みをしてきた「いたたた。もー。悪戯しないでよー」ブヒヒンと2頭は笑った気がした。
大きな体をブラッシングをして、飼い葉桶に新しいのを入れて、厩舎内の掃除を手早く終わらせるころには軽く汗をかく。
「よしよし、今夜は隣の領地のフリージア子爵様のお屋敷で奥様の誕生日祝いでマリアンナ様たちが馬車を使うから特にきれいにしておいたから。2頭ともいい男ね。うふふ」
また、ツキヨに2頭でカプリと甘噛みをしてきた「もー!だめだって!!めっ」2頭とも素知らぬ顔をして飼い葉桶に長い顔を突っ込んでいた。
「スホールは元気かな。彼は馬の扱いが素晴らしいからどこかの厩舎で頑張ってるかな」
スホールも前の御者兼馬番だったが「馬臭い」とマリアンナが喚き叫んだことに、怒って辞めてしまった。
「ご主人様には内緒ですよ」と時々馬に乗せてもらったり、父のマルセルもスホールと馬談議をして楽しそうにしていたことを思い出す。
庭へ出て、赤いバラへ植え替えるための植木屋が明後日に来るので搬入経路の鉢などは隅へ寄せた。黄色のバラは奥へ移動してそこはバラの壁のようにしてもらう予定だ。
雑草を抜いてから片付けて、井戸へそっと移動して手や顔を丁寧に洗い泥を落とす。ブーツも脱いで足も洗って一息ついてはきなおして厨房への扉を開けて「おはようございます!」とダンとルルーと通いの料理人に挨拶をする。
「あぁ。お嬢様!おはようございます!今日も元気ですね」とルルーが鍋に切った野菜を入れながら話しかけてくるとダンが「嬢ちゃま、おはようございます。今日はリンゴがあるからあとで切って食べましょうぜ」とニヤリと笑う。通いの料理人も口々に挨拶をする。事情は知れど何も口にしないのがここでの正しい生き方だ。
ツキヨもエプロンをつけて厨房を駆け回る。
マリナンナは緑色の野菜が嫌い、メリーアンは魚と野菜全体が嫌い、ミリアンは味付けがコッテリしていないと食べないため、食事ごとに3種類のメニューをそれぞれ用意しているような状態だった。
通いのメイドが各自を起こして整えて、ダイニングルームへお連れしたと声をかけてきたのでそれぞれの分をワゴンへ乗せて運びだす。
マルセルは自ら起きて、軽い朝食を食べて直ぐに領地内の農園や食料の加工工場などへ行って遅くまで
帰らない。
フリージア子爵とは友人同士ではあるが今夜はマリアンナを代理としてお祝いへ行かせることにしている。
彼女たちはマルセルがここまで遅くまで働く理由は分かっていない。
給仕が終わり、厨房で軽い朝食をかき込む。その間にダンがリンゴを剥いてみんなに渡すと甘酸っぱさに通いのメイド、料理人もみんなでにっこりと笑う。
そのリンゴが全員の胃袋に収まる頃にダイニングルームへメイドが食器を下げに行き、厨房へ引き渡すとメイドたち3人はティーセットの用意を厨房へ依頼してドレスルームへ全員で行ってしまった。
「今夜はフリージア子爵のところでパーティーだから、上の部屋は今頃戦場だな」ダンが洗った大きな鍋をしまいながら言うと「昼食は軽めにしないといけないわね。パーティーで色々召し上がってしまってドレスが破れるからね」とルルーが溜息をつく。
ミリアンが別のパーティーに招かれたとき食べ過ぎた挙句、無理をしてお目当てのご子息とダンスをしている最中にドレスのウエスト辺りが破れてしまった。
最初にサイズ直しをしたベテランのメイドに泣き喚き叫んだが、今度は別のパーティーのドレスを分からない程度に少し大きめにサイズを調整したことが分かってしまい、そのベテランメイドはクビになった。
ティーセットのワゴンを取りにメイドが戻ってきた
彼女は眉間に深く皺が寄り、こめかみがピクピクしていた…ドレスルームの状況は聞かないことにした。
ダンもルルーも昼食はどうするか頭を抱えていた。
汚いけど、木桶の水で手を拭い髪を整えて服を着替える。上のシャツは何度も繕ったりしているが母のオリエの布のズボンは破れたりすることはなかった。
木桶の中の汚れた水を小屋の外に植えた5個の花の球根に優しくかける。
前の庭師のオジーがマリアンナの理不尽な怒りにふれて辞める時にくれた球根だ。どんな花が咲くのかと聞いたが「ツキヨお嬢様の心がきっと表れるような美しいお花ですよ」というだけだった。
球根をくれたときは屋敷に住んでいたが、今は何の因果か庭師の小屋に移り住み、その際に球根を植えた。
もっときれいな水をあげたかったが井戸はここからは遠く、また近づくと「水が穢れる」と怒られるため、球根に謝った。
花はまだ咲かない。オジーは元気だろうか。
ツキヨは厩舎へ向かい、馬の世話をする。甘えるようにツキヨの頭を甘噛みをしてきた「いたたた。もー。悪戯しないでよー」ブヒヒンと2頭は笑った気がした。
大きな体をブラッシングをして、飼い葉桶に新しいのを入れて、厩舎内の掃除を手早く終わらせるころには軽く汗をかく。
「よしよし、今夜は隣の領地のフリージア子爵様のお屋敷で奥様の誕生日祝いでマリアンナ様たちが馬車を使うから特にきれいにしておいたから。2頭ともいい男ね。うふふ」
また、ツキヨに2頭でカプリと甘噛みをしてきた「もー!だめだって!!めっ」2頭とも素知らぬ顔をして飼い葉桶に長い顔を突っ込んでいた。
「スホールは元気かな。彼は馬の扱いが素晴らしいからどこかの厩舎で頑張ってるかな」
スホールも前の御者兼馬番だったが「馬臭い」とマリアンナが喚き叫んだことに、怒って辞めてしまった。
「ご主人様には内緒ですよ」と時々馬に乗せてもらったり、父のマルセルもスホールと馬談議をして楽しそうにしていたことを思い出す。
庭へ出て、赤いバラへ植え替えるための植木屋が明後日に来るので搬入経路の鉢などは隅へ寄せた。黄色のバラは奥へ移動してそこはバラの壁のようにしてもらう予定だ。
雑草を抜いてから片付けて、井戸へそっと移動して手や顔を丁寧に洗い泥を落とす。ブーツも脱いで足も洗って一息ついてはきなおして厨房への扉を開けて「おはようございます!」とダンとルルーと通いの料理人に挨拶をする。
「あぁ。お嬢様!おはようございます!今日も元気ですね」とルルーが鍋に切った野菜を入れながら話しかけてくるとダンが「嬢ちゃま、おはようございます。今日はリンゴがあるからあとで切って食べましょうぜ」とニヤリと笑う。通いの料理人も口々に挨拶をする。事情は知れど何も口にしないのがここでの正しい生き方だ。
ツキヨもエプロンをつけて厨房を駆け回る。
マリナンナは緑色の野菜が嫌い、メリーアンは魚と野菜全体が嫌い、ミリアンは味付けがコッテリしていないと食べないため、食事ごとに3種類のメニューをそれぞれ用意しているような状態だった。
通いのメイドが各自を起こして整えて、ダイニングルームへお連れしたと声をかけてきたのでそれぞれの分をワゴンへ乗せて運びだす。
マルセルは自ら起きて、軽い朝食を食べて直ぐに領地内の農園や食料の加工工場などへ行って遅くまで
帰らない。
フリージア子爵とは友人同士ではあるが今夜はマリアンナを代理としてお祝いへ行かせることにしている。
彼女たちはマルセルがここまで遅くまで働く理由は分かっていない。
給仕が終わり、厨房で軽い朝食をかき込む。その間にダンがリンゴを剥いてみんなに渡すと甘酸っぱさに通いのメイド、料理人もみんなでにっこりと笑う。
そのリンゴが全員の胃袋に収まる頃にダイニングルームへメイドが食器を下げに行き、厨房へ引き渡すとメイドたち3人はティーセットの用意を厨房へ依頼してドレスルームへ全員で行ってしまった。
「今夜はフリージア子爵のところでパーティーだから、上の部屋は今頃戦場だな」ダンが洗った大きな鍋をしまいながら言うと「昼食は軽めにしないといけないわね。パーティーで色々召し上がってしまってドレスが破れるからね」とルルーが溜息をつく。
ミリアンが別のパーティーに招かれたとき食べ過ぎた挙句、無理をしてお目当てのご子息とダンスをしている最中にドレスのウエスト辺りが破れてしまった。
最初にサイズ直しをしたベテランのメイドに泣き喚き叫んだが、今度は別のパーティーのドレスを分からない程度に少し大きめにサイズを調整したことが分かってしまい、そのベテランメイドはクビになった。
ティーセットのワゴンを取りにメイドが戻ってきた
彼女は眉間に深く皺が寄り、こめかみがピクピクしていた…ドレスルームの状況は聞かないことにした。
ダンもルルーも昼食はどうするか頭を抱えていた。
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