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闇-118
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「なーんでツキヨちゃんが寝てる?」
マルセルから届いた木箱をイエロの元へ送るようにレオに渡す。
「くっ…余計なことを俺がしたせいでアホのおっさんの犠牲に…突かれたのか」
レオの眉間に皺が寄る。
「疲れているんだ」
「現在進行形?!」
「疲れた、だから寝ている」
「過去形…いや、なんかおかしい。俺がおかしい。うん、おかしい」
抱えた箱を持って、レオは部屋を出て行った。
犠牲者…ツキヨはアレックスの居眠り用の薄掛けをかけて長椅子でくったりと眠っていた。
現場となった椅子に座るアレックスは寝顔に満足げに笑った。
それと合わせて糸のことは秘密にしておこうと。
ドレスを仕立てるエリに秘密にするように言霊を飛ばし、紅茶を運んできたフロリナに「ちっ…」と小さく舌打ちをされて白い目で見られるが一切気にせずにアレックスは糸のことを教えてから、帝国内の最近流行のドレスについて聞いてみた。
プロフェッショナルな情報はエリが一番だが、あまり贅沢や華美を好まないツキヨのために裕福な庶民、豪商や貴族たちの流行も重要だった。
***
ぐたっとしていたツキヨが目を覚ました。
気まずいのか、少し顔を逸らしアレックスの座っている方は見ないようにして長椅子に凭れるように座っている。
耳が赤くなっているのに気がつくと悪戯心に火が着く。
「顔が赤いな…さっきフロリナが来て淹れた紅茶でも飲むか?冷めているが今なら気分転換にいいかもしれねぇぞ」
執務室にアレックス以外が出入りすることは当然ではあるが、事後でしかも私室ではない場所で居眠りをしているところを見られたという事実に頭を抱えるツキヨだった…。
【あぁ…消えてしまいたい】
フロリナの淹れた紅茶はいつもより少し苦かった。
*
なんとか気を取り直して―-―それでもダメージは大きいがエストシテ王国のエレナ王妃からツキヨ宛に届いた大き目の封筒をアレックスから受け取って、王妃用の花の紋章の押された蝋封を剥がす。
封筒には流麗な文字で書かれた手紙と一緒に王国内で流行している王国流の礼装や準礼装、宝飾品が掲載された分厚い冊子が入っていた。
手に取ってパラリとめくると、来年の春や夏を先取りし軽やかな素材を使ったドレスの手描きデザインが掲載されていた。
白黒印刷であるため、説明文があるので目を通す…
『今年の春夏物は鮮やかな原色系か華やかなレースが一番☆あなたの意外な一面で旦那様をドッキドキにさせてしまいましょう★』
『今は、繊細なものよりも大胆で大柄模様の肌見せレースが流行の兆し!!』
『お相手のパパとママに緊張のご挨拶!これで好印象アップな清楚見せシンプルドレス!』
「…な、なるほど」
説明文を読みながらツキヨは、その内容に目を泳がす。
王国にいたときはメリーアンやミリアンがこういったものを時々読んでいたことは知っていたが事細かに挨拶から式、昼餐、晩餐、人気のメニューやアレンジメント…冊子と言うよりも最早、百科事典並みの分厚ささだ。
本をそっと閉じるとエレナからの手紙を読む…ツキヨが舞踏会や戴冠式で着ていたコルセットを使わない帝国風のゆったりとしたドレスを流行りに目敏い令嬢たちがさっそく取り入れて屋敷内や私的な場で着ることが流行っているとエレナの手紙には書いてあった。
他にも戴冠式でもユージスとエレナもまとったツキヨのドレスと同じ布について相変わらず話題になっていて、エレナは自分主催のお茶会で質問攻めにあうと嬉しい泣き言が書いてあった。
ツキヨは執務机でペンを置いて、肩をコキコキと鳴らすアレックスにオリエ布が王国内でかなり話題になっていることを話してみる。
「もうオリエ布の国王夫婦分は織り上がるからお届け可能だからな…そろそろ、王国向けにマルセルの商会を通じてオリエ布を少量流通させてみるか。王国内ではマルセルのところだけしか扱う予定はないし場合によってはマルセルの商会の事務所や店を王都に作る必要が出てくるなぁ…」
ドンと机に肘をついて、顎を乗せてブツブツと考え始めるとアレックスの形のよい銀の眉毛を寄せるのを見て、ツキヨは何かの参考にとエレナが送ってきた分厚い本を机の上に置く。
「エリさんみたいに完全受注にするのか、それとも一般的に普通に販売をするのかとかいろいろありますよね」
「いっそのことエリの弟子とか知り合いとか派遣して同じように完全受注にしないと大変なことになる予感がするぜ。そもそもイエロのバァサンたちにも限界があるからな」
「父たちも糸を紡ぐのには限度があります」
「付加価値を俺は大事にしてぇんだよな。それに俺としてはツキヨと同じ色を纏うなんて正直、腹立たしいというか…百年早ぇえんだよって気分だ」
アレックスに警戒しているツキヨは手が届きにくいだろうと机の正面に立っていたが、その机をぐっと少し無理に伸ばすだけでアレックスのがっしりした腕と手のひらがツキヨの頬に触れる。
「あの色はツキヨのものだ。女でも男でも着ることは許さなねぇ」
「で、でも戴冠式でユージス様とエレナ様は一部着用をしていたのでは…」
頬に触れられて、先程の情事…そして、目の前にはその情事の現場であることを思い出してかっと体温が上がったことを誤魔化すようにツキヨは問う。
「あれは最上級なのには違いはねぇが…ツキヨの使った布よりも色が濃いんだよ。
戴冠式で色がはっきりしているほうがいいだろうというのもあるが濃い色の糸をかき集めてなるべく厚めに織り上げているんだよ。元の色の…月色としての色とはちぃとばっかし違げぇんだな。色を染めるのはエリやイエロのバァサンが研究しているから、あの元の色はツキヨのドレスだけにしか使われていねぇんだ」
柔らかいツキヨの頬をむにっと摘む。
「元の色…月色を着たヤツがいたら二度と着れないように俺がみじん切りにして三途の川の魚の餌にしてやんよ」
ドレスがみじん切りか着用者がみじん切りかはっきりして欲しいと切に願うツキヨだった。
いや、どっちもだめだと思う。
***
その後、エリと打ち合わせ、仮縫いやデザインの練り直し…レオやフロリナとで招待者の取捨選択、ゲオルグと招待状の用紙や封筒などを検討していると、あっという間に枯葉の月が終わり、しばらくしてゴドリバー帝国に初雪が降った。
「雪!雪!すごい!!!!ふわふわ!!」
雪は初めて見るという訳ではないが、町中がツキヨの脹脛の半分くらいが埋まるくらいの雪が積もったことにツキヨは朝から寒さを物とせず喜びの声を上げて興奮した。
手早く朝食を食べたあと「庭の散歩を早くしたい!」と珍しくせっかちな我侭を言う。
ツキヨはフロリナに下着以外に何枚も防寒着を着せられ、暖かい裏地つきの厚手のドレスと最後にもこもこの白い毛皮のすっぽりと頭からかぶる外套を着せてもらい、滑りにくいブーツを履きやっと庭に出ることができた。
寒さに慣れているのと、身体の強い魔族でもあるせいかアレックス、レオ、フロリナはいつもと変わらない服装だったが、マルセルの助言通り寒さになれないツキヨのためにアレックスが肝煎りで用意していた冬用の衣類をフロリナは着せた。
白い毛皮のフードをすっぽりかぶり、新種のもこもこ小動物になったツキヨは応接室のバルコニーから一歩一歩雪を踏みしめながら庭に出た。
シャツの上から冬物の黒い外套を着たアレックスもあとからついて行く。
朝から早々に「滑って死ぬ!風邪で死ぬ!雪崩で死ぬ!雪に埋もれて死ぬ!雪で死ぬ!粉雪だから死ぬ!豪雪だから死ぬ!」とアレックスは叫びながらツキヨが庭に出ることを反対していたが突然、庭に少しならと…軟化した。
喜ぶツキヨになぜかにやにや、によによ…とだらしない顔で見つめていた。
アレックスは、ツキヨが着たところをニヤニヤ想像しながら購入していたもこもこの外套の存在を思い出したのだ。
白い雪の上で白いもこもこが目の前にいる…うさぎのように飛び跳ねること…はないが、それ以上に雪の妖精かなにかとビヨーンと鼻の下を伸ばしていた。
【あぁ…これを選んだ俺は偉いと褒めてやりたい。雪っていう状況もいいよな!うん!素晴らしい!俺、最高っ!!!】
危うく白い雪が鼻血に染まるところだった。
マルセルから届いた木箱をイエロの元へ送るようにレオに渡す。
「くっ…余計なことを俺がしたせいでアホのおっさんの犠牲に…突かれたのか」
レオの眉間に皺が寄る。
「疲れているんだ」
「現在進行形?!」
「疲れた、だから寝ている」
「過去形…いや、なんかおかしい。俺がおかしい。うん、おかしい」
抱えた箱を持って、レオは部屋を出て行った。
犠牲者…ツキヨはアレックスの居眠り用の薄掛けをかけて長椅子でくったりと眠っていた。
現場となった椅子に座るアレックスは寝顔に満足げに笑った。
それと合わせて糸のことは秘密にしておこうと。
ドレスを仕立てるエリに秘密にするように言霊を飛ばし、紅茶を運んできたフロリナに「ちっ…」と小さく舌打ちをされて白い目で見られるが一切気にせずにアレックスは糸のことを教えてから、帝国内の最近流行のドレスについて聞いてみた。
プロフェッショナルな情報はエリが一番だが、あまり贅沢や華美を好まないツキヨのために裕福な庶民、豪商や貴族たちの流行も重要だった。
***
ぐたっとしていたツキヨが目を覚ました。
気まずいのか、少し顔を逸らしアレックスの座っている方は見ないようにして長椅子に凭れるように座っている。
耳が赤くなっているのに気がつくと悪戯心に火が着く。
「顔が赤いな…さっきフロリナが来て淹れた紅茶でも飲むか?冷めているが今なら気分転換にいいかもしれねぇぞ」
執務室にアレックス以外が出入りすることは当然ではあるが、事後でしかも私室ではない場所で居眠りをしているところを見られたという事実に頭を抱えるツキヨだった…。
【あぁ…消えてしまいたい】
フロリナの淹れた紅茶はいつもより少し苦かった。
*
なんとか気を取り直して―-―それでもダメージは大きいがエストシテ王国のエレナ王妃からツキヨ宛に届いた大き目の封筒をアレックスから受け取って、王妃用の花の紋章の押された蝋封を剥がす。
封筒には流麗な文字で書かれた手紙と一緒に王国内で流行している王国流の礼装や準礼装、宝飾品が掲載された分厚い冊子が入っていた。
手に取ってパラリとめくると、来年の春や夏を先取りし軽やかな素材を使ったドレスの手描きデザインが掲載されていた。
白黒印刷であるため、説明文があるので目を通す…
『今年の春夏物は鮮やかな原色系か華やかなレースが一番☆あなたの意外な一面で旦那様をドッキドキにさせてしまいましょう★』
『今は、繊細なものよりも大胆で大柄模様の肌見せレースが流行の兆し!!』
『お相手のパパとママに緊張のご挨拶!これで好印象アップな清楚見せシンプルドレス!』
「…な、なるほど」
説明文を読みながらツキヨは、その内容に目を泳がす。
王国にいたときはメリーアンやミリアンがこういったものを時々読んでいたことは知っていたが事細かに挨拶から式、昼餐、晩餐、人気のメニューやアレンジメント…冊子と言うよりも最早、百科事典並みの分厚ささだ。
本をそっと閉じるとエレナからの手紙を読む…ツキヨが舞踏会や戴冠式で着ていたコルセットを使わない帝国風のゆったりとしたドレスを流行りに目敏い令嬢たちがさっそく取り入れて屋敷内や私的な場で着ることが流行っているとエレナの手紙には書いてあった。
他にも戴冠式でもユージスとエレナもまとったツキヨのドレスと同じ布について相変わらず話題になっていて、エレナは自分主催のお茶会で質問攻めにあうと嬉しい泣き言が書いてあった。
ツキヨは執務机でペンを置いて、肩をコキコキと鳴らすアレックスにオリエ布が王国内でかなり話題になっていることを話してみる。
「もうオリエ布の国王夫婦分は織り上がるからお届け可能だからな…そろそろ、王国向けにマルセルの商会を通じてオリエ布を少量流通させてみるか。王国内ではマルセルのところだけしか扱う予定はないし場合によってはマルセルの商会の事務所や店を王都に作る必要が出てくるなぁ…」
ドンと机に肘をついて、顎を乗せてブツブツと考え始めるとアレックスの形のよい銀の眉毛を寄せるのを見て、ツキヨは何かの参考にとエレナが送ってきた分厚い本を机の上に置く。
「エリさんみたいに完全受注にするのか、それとも一般的に普通に販売をするのかとかいろいろありますよね」
「いっそのことエリの弟子とか知り合いとか派遣して同じように完全受注にしないと大変なことになる予感がするぜ。そもそもイエロのバァサンたちにも限界があるからな」
「父たちも糸を紡ぐのには限度があります」
「付加価値を俺は大事にしてぇんだよな。それに俺としてはツキヨと同じ色を纏うなんて正直、腹立たしいというか…百年早ぇえんだよって気分だ」
アレックスに警戒しているツキヨは手が届きにくいだろうと机の正面に立っていたが、その机をぐっと少し無理に伸ばすだけでアレックスのがっしりした腕と手のひらがツキヨの頬に触れる。
「あの色はツキヨのものだ。女でも男でも着ることは許さなねぇ」
「で、でも戴冠式でユージス様とエレナ様は一部着用をしていたのでは…」
頬に触れられて、先程の情事…そして、目の前にはその情事の現場であることを思い出してかっと体温が上がったことを誤魔化すようにツキヨは問う。
「あれは最上級なのには違いはねぇが…ツキヨの使った布よりも色が濃いんだよ。
戴冠式で色がはっきりしているほうがいいだろうというのもあるが濃い色の糸をかき集めてなるべく厚めに織り上げているんだよ。元の色の…月色としての色とはちぃとばっかし違げぇんだな。色を染めるのはエリやイエロのバァサンが研究しているから、あの元の色はツキヨのドレスだけにしか使われていねぇんだ」
柔らかいツキヨの頬をむにっと摘む。
「元の色…月色を着たヤツがいたら二度と着れないように俺がみじん切りにして三途の川の魚の餌にしてやんよ」
ドレスがみじん切りか着用者がみじん切りかはっきりして欲しいと切に願うツキヨだった。
いや、どっちもだめだと思う。
***
その後、エリと打ち合わせ、仮縫いやデザインの練り直し…レオやフロリナとで招待者の取捨選択、ゲオルグと招待状の用紙や封筒などを検討していると、あっという間に枯葉の月が終わり、しばらくしてゴドリバー帝国に初雪が降った。
「雪!雪!すごい!!!!ふわふわ!!」
雪は初めて見るという訳ではないが、町中がツキヨの脹脛の半分くらいが埋まるくらいの雪が積もったことにツキヨは朝から寒さを物とせず喜びの声を上げて興奮した。
手早く朝食を食べたあと「庭の散歩を早くしたい!」と珍しくせっかちな我侭を言う。
ツキヨはフロリナに下着以外に何枚も防寒着を着せられ、暖かい裏地つきの厚手のドレスと最後にもこもこの白い毛皮のすっぽりと頭からかぶる外套を着せてもらい、滑りにくいブーツを履きやっと庭に出ることができた。
寒さに慣れているのと、身体の強い魔族でもあるせいかアレックス、レオ、フロリナはいつもと変わらない服装だったが、マルセルの助言通り寒さになれないツキヨのためにアレックスが肝煎りで用意していた冬用の衣類をフロリナは着せた。
白い毛皮のフードをすっぽりかぶり、新種のもこもこ小動物になったツキヨは応接室のバルコニーから一歩一歩雪を踏みしめながら庭に出た。
シャツの上から冬物の黒い外套を着たアレックスもあとからついて行く。
朝から早々に「滑って死ぬ!風邪で死ぬ!雪崩で死ぬ!雪に埋もれて死ぬ!雪で死ぬ!粉雪だから死ぬ!豪雪だから死ぬ!」とアレックスは叫びながらツキヨが庭に出ることを反対していたが突然、庭に少しならと…軟化した。
喜ぶツキヨになぜかにやにや、によによ…とだらしない顔で見つめていた。
アレックスは、ツキヨが着たところをニヤニヤ想像しながら購入していたもこもこの外套の存在を思い出したのだ。
白い雪の上で白いもこもこが目の前にいる…うさぎのように飛び跳ねること…はないが、それ以上に雪の妖精かなにかとビヨーンと鼻の下を伸ばしていた。
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