地下アイドルのライブに行ったら、異世界に召喚された件

バタフライエフェクト

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第5話 仕掛けを暴く時

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二つの月、光の竜、黄金の大地。
観客は狂喜乱舞し、異世界を信じ切っていた。

……でも私は見てしまった。
草が同じリズムで揺れる瞬間を。
光の魚がループして軌跡を繰り返すのを。
ほのかの衣装から覗いた、安全ベルトの金具を。

「……これは」

胸の奥が冷えた。

「――これは仕掛けだ!」

私の声が響き、会場が一斉にざわめいた。

「ここは異世界じゃない! 二つの月も竜も、全部ホログラムとプロジェクションマッピング!」

「じゃあ……誰がそんなことを!?」
観客の叫びに、私は指を伸ばす。

「演出家の西条さん……そして冷静すぎる彩芽」

ざわめきが広がる。だが私は首を振った。

「違う。本当の仕掛け人は――天音ほのか」

空気が凍りついた。
誰もが息をのむ中、ほのかは静かに微笑み、口を開いた。

「……正解」

歓声とどよめきに包まれる会場。
私は呆然としたまま、熱気の中を後にした。

――

ライブ後、夜の渋谷。
ビルのネオンが雨上がりの舗道に滲み、街全体が光を散らしていた。

「……凛ちゃん!」

振り返ると、さっきまで光の巫女だった天音ほのかが、汗ばんだまま駆けてきた。
衣装の上にパーカーを羽織り、息を切らしながら、それでも真剣な瞳を向けてくる。

「さっきはありがとう。
 本気で怖かったの。でも、あなたが気づいてくれる気がしてた」

「私なんて……ただ、目に入ったことを言っただけだよ」

ほのかは首を振り、柔らかく笑った。
「やっぱり凛ちゃんは変わってる。
 普通の観客じゃない。だから――今度は一緒にステージを作ろ?」

不意に心臓が跳ねた。
その言葉が、翌日へと繋がる余韻になった。
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