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第50話 吾輩は飛び込み営業も熟すのである
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今日は飛び込み営業をしてみよう。
そんな訳で商店街を少し行った場所にある役所へ。
おおっと!
忘れていた!
飛び込みでは第一印象がとても重要となる。
一度家へ戻って身だしなみのチェックをする事に。
小織殿の部屋で得意のファンデ―ションを体に塗りたくる。
洒落た赤い斑点で彩る三色プラスワンボディのニャン吉をここでふと思い出す。
シャ……チャ……?
同じ場所にある〝CC〟が知恵の輪みたいに重なったマークのクレヨン。
何色もあるからその中でも一際血に近い赤をチョイス。
我輩の前足では蓋を開けるのにひと苦労するも、先端さえ出てしまえば……。
外れた!
コイツは色を塗るのに適していそう。
早速体中に赤い斑点を……。
完璧である。
これで少しはお洒落なニャン吉に近づいただろうか?
準備も整ったし、改めて役所へレッツゴー!
現場へ到着。
しかし簡単にはこの先通れない。
建物内にお邪魔する時、猫一匹だと殆どが門前払い。
これが飛び込み営業の辛さなのだ。
知恵のある我輩は、荷物を沢山持っている年寄りと一緒に訪問。
カモフラージュも完璧!
「あれ? その怪我した三毛猫おばあさんの? ためだよ役所に猫連れてきちゃ!」
「うん? いえ、これはアタシの猫じゃないよ。ここで飼ってるのと違うんかい?」
騒めく室内。
どうしたというのだ?
まさか早速バレた!?
「最近商店街から悪さする猫の苦情が来てるんだよねー。この猫だったりして。大人しい今なら捕まえられそうだな」
一人の人間が我輩の近くへ来る。
どうやら風向きが怪しい。
摘まみだされる前に少しでもアピールを!
「あっ! コラ待てっ!」
ダッシュでこれをかわすと、この部屋で一番の上司であろう人物に顔通しへ!
走り回る事数分、奥の席へ座る頭頂部にヤシの繊維を乗せた人間を発見!
間違いない、ヤツが偉いさんだ!
そして彼の手前数十センチでジャンプ&タッチ!
無事上司らしき人物の外観を損ねるヤシの繊維を剥ぐ。
名刺代わりの身だしなみ指摘を兼ねたご挨拶。
おかげで見事に顔を出す朧月。
ほうら、これでスッキリ!
偉い人が頭の上にゴミを乗せるなど、あってはならない事ですよ?
「ぐぬぬぬぬ! ヤ、ヤツを捕まえろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「は、はいっ! ……ププッ」
我輩のファーストコンタクトはかなり好意的にとられているようだな。
もう少し仕事を続けたいのだが、お礼の為か所員総出で追いかけられる始末。
クスクス笑う者に対し、その上司らしき人物だけが血眼で最高級の感激顔。
そんなに嬉しかったのならば近いうち再び伺いますよと我輩役所を後に。
今日は中途半端な仕事でしたねぇ。
その後役所の協力もあって、町内全域に〝三毛猫ニャン吉〟のウォンテッドポスターが張り出された。
そんな訳で商店街を少し行った場所にある役所へ。
おおっと!
忘れていた!
飛び込みでは第一印象がとても重要となる。
一度家へ戻って身だしなみのチェックをする事に。
小織殿の部屋で得意のファンデ―ションを体に塗りたくる。
洒落た赤い斑点で彩る三色プラスワンボディのニャン吉をここでふと思い出す。
シャ……チャ……?
同じ場所にある〝CC〟が知恵の輪みたいに重なったマークのクレヨン。
何色もあるからその中でも一際血に近い赤をチョイス。
我輩の前足では蓋を開けるのにひと苦労するも、先端さえ出てしまえば……。
外れた!
コイツは色を塗るのに適していそう。
早速体中に赤い斑点を……。
完璧である。
これで少しはお洒落なニャン吉に近づいただろうか?
準備も整ったし、改めて役所へレッツゴー!
現場へ到着。
しかし簡単にはこの先通れない。
建物内にお邪魔する時、猫一匹だと殆どが門前払い。
これが飛び込み営業の辛さなのだ。
知恵のある我輩は、荷物を沢山持っている年寄りと一緒に訪問。
カモフラージュも完璧!
「あれ? その怪我した三毛猫おばあさんの? ためだよ役所に猫連れてきちゃ!」
「うん? いえ、これはアタシの猫じゃないよ。ここで飼ってるのと違うんかい?」
騒めく室内。
どうしたというのだ?
まさか早速バレた!?
「最近商店街から悪さする猫の苦情が来てるんだよねー。この猫だったりして。大人しい今なら捕まえられそうだな」
一人の人間が我輩の近くへ来る。
どうやら風向きが怪しい。
摘まみだされる前に少しでもアピールを!
「あっ! コラ待てっ!」
ダッシュでこれをかわすと、この部屋で一番の上司であろう人物に顔通しへ!
走り回る事数分、奥の席へ座る頭頂部にヤシの繊維を乗せた人間を発見!
間違いない、ヤツが偉いさんだ!
そして彼の手前数十センチでジャンプ&タッチ!
無事上司らしき人物の外観を損ねるヤシの繊維を剥ぐ。
名刺代わりの身だしなみ指摘を兼ねたご挨拶。
おかげで見事に顔を出す朧月。
ほうら、これでスッキリ!
偉い人が頭の上にゴミを乗せるなど、あってはならない事ですよ?
「ぐぬぬぬぬ! ヤ、ヤツを捕まえろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「は、はいっ! ……ププッ」
我輩のファーストコンタクトはかなり好意的にとられているようだな。
もう少し仕事を続けたいのだが、お礼の為か所員総出で追いかけられる始末。
クスクス笑う者に対し、その上司らしき人物だけが血眼で最高級の感激顔。
そんなに嬉しかったのならば近いうち再び伺いますよと我輩役所を後に。
今日は中途半端な仕事でしたねぇ。
その後役所の協力もあって、町内全域に〝三毛猫ニャン吉〟のウォンテッドポスターが張り出された。
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