仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第59話 吾輩は水濡れがウザイのである!

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 茹だるような暑さの中、今日も仕事に夢中な我輩。
 夏の嫌なところはなにも暑さだけではない。

 {ゴロゴロゴロ……}

 やはり来たな?
 先程から西の空が真っ暗なので、もしやとは思ったが。

 {ポツ……ポツポツッ……ザアァァァァァ}

 「ニギャッ!」

 避難が間に合わず、ずぶ濡れになってしまった。
 土砂降りから逃れる為に思わず飛び込んだ場所は、なんと坂の病院の中。
 しかも間抜けなのは、暗くて狭い場所に逃げ込んだら、なんとそこは犬小屋。
 万事休すと思いきや、なんだかいつもと様子が違う。
 普段ならいきって抱きついてくるビーグル犬だが、我輩に近寄りもしない。
 
 ハハァーンなるほどな。
 こやつはどうもゴロゴロ様が苦手らしい。

 その証拠にブルブルガタガタ震っていて、その瞳はダイナミックに泳いでいる。
 本当にキャン玉ついてるのか?
 
 確かめる意味も込めて、小さなキウイみたいな袋へ全体重を乗せた猫パンチ!
 しかも5連発!

 「ギャインッ!」

 これでもしや尻に火が着いた?
 ゴロゴロ様なんてどうでも良くなり、我輩をロックオンした模様。
 小屋の中では逃げ場もなく圧倒的に不利。
 マズイ!

 {ぷうぅぅ}

 緊張感に負けて放屁をしてしまった。
 あやや?
 その臭いの為か、苦痛に歪む顔をするビーグル犬!
 今がチャンスだ!

 ダッシュで犬小屋を飛び出すと、病院内を右往左往!
 渋々ザーザー降りの中へ飛び出すことに。
 グヌヌ、べちゃべちゃでチョーキモい!

 とはいえ、一度濡れてしまえば何度濡れても同じこと。
 このままバイク屋のゴミ虫のところへ行くとしよう。
 乾燥の為、ヤツのタンスで転げ回ってやるとするか。

 「うわっニャゴロー! ベッタベタじゃないか? 少し待ってろよ」

 我輩を見るなり奥へ消えて行ったゴミ虫。
 一体何を企んでいるのだ?

 「ほら、この布で体を拭いてやるからこっちへこい!」

 お、ゴミ虫のクセに気が利くではないか。
 偶にはそんな日もあるのだな。
 クッサイキサマの部屋へと行く手間が省けたぞ。

 「ほーうら、油でドロドロのウエスで体を拭いてやる!」

 {わっしゃわっしゃわっしゃ}

 「ニギャギャギャ……」

 少しやり方が粗いものの、ヌチャッとして思いのほか気持ちがいい。
 高級エステでのオイルマッサージとはこんな感じなのだろうか?
 それは有難いことに数分間続けられた。

 「ほーれ、出来上がり! これで雨に濡れてもバッチリだ!」

 終わったようなので、我輩は家へ帰る事に。
 指圧マッサージのおかげで疲れも全部吹っ飛んだし。
 ゴミ虫なんかでも偶には役に立つのだな。
 
 途中雨に濡れるも、どう言った訳か水の弾くこと弾くこと。
 これでもう悪天候なんて怖くないぞ!
 ニャッハー!

 
 本来ベタベタな体を乾燥させて三河家へと帰らなければならないのに、体が水を弾くといった出来事でテンションが上がってしまい、ベタベタがサイコーで超クールと記憶がすり替わってしまった事実に我輩が気付くのは、三河家のボス猿にテポドン踵落としを投下された後だった。
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