仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第115話 吾輩は秋と戦うのである ⑤

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 食欲の秋。
 どれだけ食べても底なしの胃袋にホトホト嫌気がさす。
 収入の殆どを食に費やす人間も多いと聞くこの季節。

 我輩の仲間とて例外ではない。
 労働の対価は、基本食料なのだから。

 それでも働いている奴はまだ許せる。
 腹立たしいのはおかしな服を着せられたデブ猫。
 ヤツ等は100%飼い猫で、金持ちの家に寄生しているからだ!
  
 この際ハッキリ言おう!
 完全嫉妬である!
 
 同じ飼い猫でも我輩はあんなに太る事が出来ない。
 なぜなら拷問や実験と言う名の単純労働でカロリーを極端に消費しているから。
 いや、させられていると言ったほうが正しいのか?
 そのせいか、下手な野良より体力や抵抗力はあるぞ?
 
 反面何故かお腹は弱いのである。
 常時下痢便砲の発射準備は整っておるから油断しない事だな人間どもよ!

 要するになにが言いたいかと言えばこうだ!
 ズバリ三河家の食事だけでは足りないのである!
 
 つまりは追加でカロリーを補う事が必要と言うワケ。
 我輩が仕事に精を出す要因でもある。
 
 だからサイドビジネスの『猫使い』を止めることが出来ないでいる。
 町の猫達を口車に乗せ、商店街の店から食材ハントをする仕事が必要なのだ。
 
 モアカロリー!
 モアフーズ!

 だからこそニャン吉を使うのだ!
 ニャン太郎に頼るのだ!
 ニャー吉を騙くらかして傀儡のように操るのだ!
 
 え?
 自分でやれって?

 それでは可愛いい我輩の身体が傷ついてしまうではないか?
 汚れ役など、あの小汚いヤツ等で充分。
 わざわざ代表である我輩がする事ではないわ!
 これが世の中に於ける法人の仕組みであろう?

 時々店主に捕まるヤツもいるが、生きているのが辛い程の拷問を受けるのだぞ?
 それこそ野良の仕事だろうに。

 そんな訳で早速今日も仕事に取り掛かる。
 公園食堂に集まった猫達に手際よく采配を。
 今日の現場は『魚屋』だ!

 脂の乗ったサンマを食べて、たっぷり脂肪を纏おうと言うワケだ!
 それで冬を乗り切ろうと全猫に力説を!
 ビバ食欲の秋!

 「ニャニャンニャア――――ッ!」

 全員士気も高まり、いざ出陣!
 狙うは敵の大将〝プリプリに太ったサンマ〟のみ!
 いざ出陣!


 次の日魚屋には、起毛のある猫柄の雑巾が複数増えていたそうな。 
 勿論、白黒ツートンのアレも……。
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