仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第166話 吾輩はインチキ商法を許さないのである

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 ニャン吉は言う。
 12月25日はクリスマス。
 とある神の降誕祭だと。

 この国においてはラブラブチュッチュデーとなっている。
 特に雌がテンションハイとなる愛のイベント。
 本来の信徒は厳かな気持ちでその日を迎えるのだとか。
 
 前日の24日をイブと呼んで、この日ばかりはどこぞかしこでパーティ開催。
 忘年会、新年会に並ぶ年末年始三大酒祭の一つだそうだ。
 
 宗教観の軽い輩が大多数を占めるこの国、なぜか違う意味で捉えられている。
 別名、〝家に一人でいてはいけない日〟なんだと。
 違う意味で降誕させる儀式をしているらしいのだが……

 小売業界でも年末を締めくくる最後の大型商戦で、特に力が入っていると。
 食料品業界も例外ではなく、これ見よがしに豪華な食材を売るのだそうだ。

 ……。
 お前は本当にニャン吉か?
 博識にもほどがあるだろう?
 まさか未確認の新生命体が化けているのではなかろうな?

 ニャー吉とは月とナメック星ぐらいかけ離れた知能だな。
 本当に野良猫?

 
 
 あれから商店街に戻った我輩。
 様子を伺うべく物陰から様々な店舗を見て回った。
 その時にニャン吉と出くわしたのだ。

 確かに彼の言う通り、肉屋では見たこともない巨大なチキンが置いてあった。
 パン屋には、チチの脂肪分を練ったクリームを塗りたくられたパンがあったし。
 心なしか通りにはベリィスィーティーな香りがあふれているような。

 ……。
 おい魚屋!
 『クリスマス・フグ』ってなんだ?
 愚かな人間を騙せても我輩は騙せないぞ?
 イブとフグをかけてあるのだろうけど、そんなので笑えるか!
 便乗商法にも程がある!

 そんな訳で悪徳商法に行政指導を!
 神の目は欺けてもこの正義のキャッツアイは誤魔化されない!
 全部お見通しだ!

 店主の目を盗むと、一際大きな河豚の腹を爪で裂き前足を挿入!
 爪や肉球を使って腸をコネコネっと。
 そしてその前足を使って陳列物全てペタペタ~っと。
 フフフ、キサマ等などテトロドトキシン中毒になるがよい!

 こうしてひと仕事終えた我輩。
 店の軒先で腰を落として一休み。
 
 着ぐるみを着た猫がいるとの事で魚屋へとワラワラ集まる人間達。
 人が人を呼び、気付けば見世物パンダ状態に!
 ちょっとだけスター気分かも。

 それにしても今日は湿気がきついな?
 もしかすると明日は雨か?
 すこしだけ顔を洗うとするか!
 こうすると人間にも受けがいいようだし……


 この日、一匹の猫が動物病院へと救急搬送された。
 危うく一命をとりとめるも内臓に相当なダメージを喰らう。
 原因はフグ毒中毒だったそうな……。
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