仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第171話 吾輩は上あごの皮がベロンとなっているのである!

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 先日ゴミ虫バイク店で残業していた時の事。
 ウエスと呼ばれるボロ布をしっちゃかめっちゃかにしていた我輩。
 次の日に仕事を残さぬよう、必死で頑張っていた。

 「さてと……そろそろ終わるか」

 どうやら店を閉める時間となったらしい。
 我輩はと言えば……ギリギリ間に合ったか?

 「あっ! ったく、滅茶苦茶にしやがって……まぁいいや、明日片付けよう」

 偉そうに!
 キサマの仕事を手伝ってやったのになんだその言い草は!?
 元々汚い店を更に汚くしてやったのではないか!
 寧ろここは褒められるところだろうに!

 ゴミ親父を睨みながら文句タラタラ胸に思う。
 その時ヤツの腕がこちらに向かって伸びて来た!

 「ニギャ!」

 ゴミ虫に捕まり抱きかかえられる我輩! 
 突然の事で成すすべがなかった。
 こうなれば全ての爪をニョキっとだして……

 「ニャゴローよ、偶には家でご飯たべてけ」

 なに!?
 今ご飯と言わなかったか?
 いや、確かに唇の動きをなぞればそう言ったはず!
 
 キサマはムカつくが、つがいのメスが作る料理は大好きだ!
 あの何とも言えぬ美味で芸術的なカツオ風味満載のご飯は最高!
 そんな訳でさっさと連れて行くがよい!


 「あっ! ニャゴローじゃない? 一緒にご飯食べるんだ」

 なんだその姑が嫁に向かって言うような〝あらいたの〟的な言い方は!?
 邪魔だから帰れとでも言いたいのか?

 我輩知っておるぞ?
 キサマは脳の栄養が見てくれと乳に全部取られて頭がパーだって事をな!
 
 御子息がいつも嘆いておったわ!
 成長の段階で知識と常識を置き去りにした悪い見本だってな!
 外観だけを褒められ、チヤホヤされた結果がキサマのようなパーだとな!

 「……」

 なんだなんだ?
 なにを見ている?
 まさか脳みそがない代わりに本能が発達して我輩の心の内が読めるのか?
 
 「お父さんニャゴローかして! 私がご飯を食べさせてあげるから」

 ……思い過ごしか?
 ならば最初からそのように奴隷の如き振舞をすればよいものを……
 仕方がない、今回だけは大目に見てキサマに面倒を見て貰う事としよう。

 こうしてゴミ虫の父親からパーの娘へと手渡された我輩。
 膝の上に乗せられると直ぐに目の前へ食べ物が。

 「さぁニャゴロー〝おでん〟よ。アナタの大好きな魚のすり身で作られたはんぺんが主な食材の料理なの。でも最初はこの〝がんもどき〟から食べなさいね。……フフフ」

 なんともいい匂いを醸し出す得体のしれないダンゴだな?
 確か魚がどうとか言っていたはず。
 どれどれ、一口頂くとするか。

 カワイイお口をあんぐりと開け、上品にパクリとかぶりつく我輩。
 その時!

 「さあ、たーんとお食べっ!」

 パーの娘は団子を口の奥へと捩じり込んできた!
 あふれだす出汁の利いた汁が熱を伴い口の中へ溢れかえる!
 あっつぅっ!

 「ニギャアァァァァァァッ!!」


 この後、様々なおでん種をねじ込まれたニャゴロー。
 ひたひたの大根や汁だくのシラタキ、超熱々のゆで卵といった特に熱い奴を。
 そんなマグマ地獄に呑み込まれて薄れゆく記憶の中、彼は心の中でこう呟いた。

 〝美味しかったニャン〟と……

 
 こうして美食と引き換えに一週間は味覚がバカになったそうな。
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