Piece of arcadia

上原久介

文字の大きさ
29 / 36
chapter.5

暗雲の海

しおりを挟む

「うっぷ……きもちわる……」
 口元を手で抑えながら、ヴィル・シーナーは込み上げてくる胃の内容物がなんとか逆流しないように奮闘していた。
 青い空。広い海。頬をなでる吹き抜ける潮風。数刻前まではそれを心地よいと思っていたが、今はもうそんな気分はゼロである。
 ゆらゆら揺れ輝く水面は、今や何か催眠でもかけようとしているのかと錯覚するほどに恨めしい。かと言って、船室に引っ込んでいると、揺れる感覚が五割増しくらいに感じて、逆によろしくなかった。
 まだ外に出て、風に当たるほうが幾分かマシだ。ひとまずいつ吐いても大丈夫なように、船酔いする前と同じように、身体を船の外へ乗り出させている。
「大丈夫?」
 そう言って背中をさすってくれるシェスカには悪いが、ちっとも大丈夫じゃない。頭はぐらぐらするし、胃がむかむかするし、胸のあたりに言いようのないもやもやがある。だが吐くのだけは避けたい。結局はせり上げてくる酸っぱいものを飲み込むしかないのだ。
「この程度で船酔いとか情けないねェ」
 船室から出てきたジェイクィズが、いつものようにタバコを吸いながら笑う。
「どこがこの程度なんだよ! なんっだよ、この船めっちゃくっちゃ揺れるじゃねぇか!!」
 そう。このジブリールが用意した船。見た目は普通だが、中身(特に動力部分)に魔改造が施されているらしく、見た目にそぐわないめちゃくちゃなスピードが出る。そこまではいい。目的地に早く着くのはむしろありがたい。
 ただその弊害として、ものすごく揺れる。上下左右に。まるで目でも回っているのではないかと錯覚するほどだった。おかげですっかりこのザマである。今は少しスピードを落としてもらっているため、多少はマシになったが。
「あんなにはしゃぐからじゃない?」
「や……それは関係ないと思う……ぅぇっ」
 確かに、船が出たばかりは自分でもやりすぎたかもしれないはしゃぎっぷりだったが、途中からはもうはしゃぐどころじゃなかった。
 逆に聞きたい。なんでお前らそんなに平気そうなんだよ。
「オレ様たちと田舎者では鍛え方が違うのヨ、鍛え方が」
 などと力こぶを作ってみせるジェイクィズ。さっきまでベルシエルに殺されかけて寝てたとは思えない発言だ。
 見たところケガもないので、ベルシエルも加減したのか、サキが治療したのか、あるいはそのどちらもだろう。おかげで元気が有り余っているらしい。この船酔いを半分……いや、全部押し付けてやりたい。
「船酔いで吐きそうな時は思い切ってゲロったほうが楽らしーぞ、ゴーグルくんよ」
「いやだ! メシがもったいない!!」
「そこなのかよ」
 朝に食べたパンが三個とソーセージにキャベツとキュウリのサラダ、それからスクランブルエッグにエンドウのスープが出てしまうのは嫌だ。せめて全部体内で消化しきってからがいい。ここまできたらもう意地だった。
「んー……、でも吐いちゃうのは賛成ね。出すもの出した方が楽になると思うわ」
「シェスカまで……! ……うっやば、吐きそ……」
「あーもう、水取ってくるわね! ジェイクィズ、ヴィル吐かせといてよ!」
「えー、ヤだよ野郎のゲロの世話なんて」
「こっちもやだよ!」
 シェスカはヴィルたちの言い分を無視して船室へと入っていく。残されたヴィルとジェイクィズはというと、顔を見合わせて、やれやれ、といったふうに肩を竦めたのだった。
「で、吐くの」
「やだ」
 面倒くさそうに聞いてくるジェイクィズに短く返して、また船縁にもたれかかる。騒いで気が少し紛れたのか、さっきよりは少し気分がマシになっていた。
「……ずっとこっち見てたみたいだけど、どうかしたのか?」
 そう声を掛ける。彼女はずっと、離れた場所からヴィルたち​──いや、シェスカを見ていた。
 最初は馬鹿騒ぎが気になって見に来たのかと思ったのだが、どうも違う。
 もっと警戒しているような、珍しい何かを見ているような、そんな視線だった。
「……べつに、なにも」
 不服そうな声色で、ベルシエル・セレーネは応えた。どうもベルシエルはシェスカを気にしているようだった。それはシェスカも同様で、何度か話しかけようとしていたところを見かけたのだが、シェスカが話しかけようと近付いても、ベルシエルはするりとどこかへいなくなってしまうのだ。
 仲良くしたい、というわけではない。もっと別の思惑がある。ヴィルはそう確信していた。
「シェスカと話したいなら、中に入ったら?」
「話したいわけじゃないから、いい」
「じゃ、オレ様とオハナシしよーよベルちゃ~ん!」
「名前。勝手に呼ばないで」
 そう言うとベルシエルはぷいっとそっぽを向いてしまう。話しかけるな、という意思表示なのだろう。それでもこの場を離れないのは、やはりシェスカのことなのだろうか。それにしても、そうまでして彼女を気にする理由がわからない。
「恋敵とでも思ってるんじゃねーの?」
 タバコに火をつけながら、ジェイクィズが言った。
「恋敵ぃ?」
「ホラ、ベルちゃんあの無表情野郎大好きだから。ムカつくけど」
「そういう感じじゃないと思うんだけどなぁ……」
 どこか遠くを眺めているベルシエルの横顔を見る。恋愛などしたことはないが、ベルシエルのそれは違う。少なくともジェイクィズの言うようなものじゃない。
 何なのだろうか、一体。歯に挟まった繊維みたいに頭の隅に引っかかる。
「水持ってきたわよ~! ……ってどうしたの妙な顔して? さっきより気分悪くなったとか?」
「あ、いや、なんでもない。ありがとう」
 船室から戻ってきたシェスカから、グラスを受け取って一気に飲み干す。わざわざ冷やしてきてくれたらしく、冷たいものが喉をスッと通るのが心地よい。
「結構顔色よくなったみたいね。よかった」
「へへへへ、おかげさまで」
 心配してくるシェスカに笑いかけつつ、ちらりとベルシエルのほうを盗み見た。やはりこっちを見ている。こうまでわかりやすいと、監視されてるみたいでちょっと嫌な感じだ。
 二人とも互いを気にしているわけだし、いっそのこと同じ場で話し合うのがいいんじゃないだろうか。ヴィルはそう思い、ベルシエルに声をかけようとした、その時だった。
「なーんか、あっちのほう雲行きが怪しくなってないか?」
 そうジェイクィズが指したのは、ちょうど船の進行方向にある、空にぽかんと浮かぶ黒い塊だった。雷も鳴っているのか、時折ピカッと稲光が走っている。
「うわー……ホントだ」
 目を凝らしてよく見ると、その雨雲はどんどん大きくなっていた。あの下は嵐になっているのだろう。気付けば強い風がこちらにも吹き付けてきていて、マストをぎしぎしと揺らしていた。
「真っ暗ね……あそこを通るとなると、真下じゃないにしても結構揺れるんじゃないかしら」
「うげ、まじかよ……これ以上揺れんの……?」
「っていうか、なんか近づいてきてねェ?」
 ジェイクィズの言葉通り、真っ黒な雲はどんどん大きくなって、さらにはものすごい速さで近付いて来ているように見えた。さっきまで晴天だった空に、どんよりとした灰色が侵食してきている。
「​──​──あれ、だめ」
「うわっ!?」
「ひゃっ!?」
 ぐい、と短い声とともに上着のフードを引っ張られる。
 振り返ると、いつの間に後ろに立ったのかベルシエルがいた。ヴィルのフードを引っ張る反対側の手では、シェスカの長い髪の毛をくい、と引いている。
「な、なに? いきなり髪引っ張らないでよ」
「あれはだめ。早く中に入って​──​──」
 ベルシエルがそう言い終わらないうちに、誰かの叫ぶ声がそれを遮った。
「おい! アレ!!」
 船員のものだった。彼は仲間を手招きして、海の方を指している。
「どうしたんですか?」
 ヴィルは彼らに駆け寄って尋ねた。
「これ、船の破片だよ。嵐でやられたかもしれないな」
 そう言って、船員のひとりが海に浮かぶ木片を指差した。他にもロープや、樽のようなものがどんどんこちらへ流されてきている。
 上を見上げると、あの真っ黒な雲はちょうどヴィルたちの乗る船の真上にまでやってきていた。
 びゅう、と強い風が吹いて、船体がぐらりと傾いた。船縁に掴まってなんとか体勢を立て直すと、船員たちは帆を畳むべく慌ただしく動き回り始めていた。
「君達、早く中に入るんだ。この船はかなり頑丈だから、そう簡単にはぶっ壊れないが、ここにいるとかなりヤバいぞ」
「そ、そうですね……」
 確かに甲板にいると吹っ飛ばされそうだ。もう一度海の方へ視線をやる。さっきよりも波がうねって、流れてきた船の破片たちが呑まれていく。
 そんな中にひとつ。他の破片と違うものがあった。
 遠くて見えにくいけれども、人の形をしているような…………。

「​──!! 人だ!! 人が流されてる!!」

「なんだって!?」
「助けないと!!」
 ヴィルの叫びに甲板にいる全員が驚愕した。ヴィルの指差す方向には、遠くて人相までははっきりとわからないが、板きれに掴まっている少女が荒波に呑まれそうになっている。
 ヴィルは頭に乗せたゴーグルを下ろして、しっかりと目に固定すると、二、三回屈伸をした。うん、大丈夫。船酔いも一気に冷めたし、体も動く。
「ちょっと待ってヴィル!! 危ないわよ!! あんたこんな波の中泳いだことあるの!?」
「そんなこと言ってる場合じゃないって!!」
「だから待っ​──」
 ジャケットを放り投げ、シェスカの制止を無視してそのまま海の中へ飛び込む。どぱーん! と体が水に叩きつけられた。こんな荒れた流れを泳いだことなんてもちろん、泳いだことすら数えるほどしかないが、そこは出たとこ勝負ってやつだ。目の前のあの少女を、放っておけない。
 ヴィルは不器用に腕と足をばたつかせて、前に進む。水の中は何故かそこまで波の影響がなく、むしろ穏やかな程だ。少女のところへつくのにそう時間はかからないだろう。
「ああ、もう! 何やってんのよ!!」
「シェスカちゃん、浮輪浮輪!」
 ジェイクィズがロープに繋がれた浮輪を持ってきた。船員たちは帆を畳むのに必死で、シェスカたちを手伝う余裕はあまりなさそうだ。
「あっちよ! あっちに思いっ切り投げて!」
「あいよッ!!」
 ジェイクィズの投げた浮輪は、ヴィルのすぐ近くにぼちゃっと音を立てて落とされた。ナイスコントロール! と聞こえはしない賛辞を返し、ヴィルはそれに掴まった。そのまま少女の元へ泳いでいく。
「おい、きみ! 大丈夫か!?」
 少女の元にたどり着くと、軽く肩を揺らして声をかける。少女の年の頃は、恐らくヴィルよりも年下だった。小柄で、紅茶にミルクを混ぜたような、色素の薄い茶色の髪をしている。肌は日に焼けており、このような状況でなければ健康的な色をしているのだろうが、今の彼女の顔は青ざめていて、とてもいい状態とは言い難かった。
「う……」
 少女が小さく身じろいだ。よかった。まだ生きていることにほっと安堵する。ヴィルは彼女をぐっと引き寄せ、浮輪に掴まらせた。ロープをくい、と引いて合図を送る。
 服が海水を吸ってかなり重くなっている。浮くためにばたつかせている足が、泥の中を藻掻くような感覚だ。
 船の方を見る。遠くて少し見えにくいが、ジェイクィズたちがロープを引こうとしてくれているようだった。
「状況は?」
 扉を蹴り飛ばし、船室から出てきたサキ・スタイナーは開口一番にジェイクィズに問いかけた。
「遅っせぇんだよテメー!! 遭難者だ手伝え!!」
 顎で浮輪のロープを指す。それだけでおおよその状況を把握したのか、サキはシェスカの後ろについてロープを引くのに加わった。ぐいぐいとスムーズに引かれていくその感覚を感じて、シェスカはさらに引く手に力を込めた。
「待ってサキ! 海、なんか変ッ!!」
 それまで成り行きを見守っていたベルシエルが、ふと何かに気づいたように声を上げた。
「ベル?」
「なんだこれッ!?」
 サキがベルシエルのほうを向こうとしたのとほぼ同時に、ヴィルの困惑した声が響く。
「潮が……渦巻いて……っ!?」
 さっきまで、海の中はこの天気にも関わらず、穏やかなものだったのに。いつの間にかヴィルたちの背後に大きな渦潮が迫ってきていた。
「どうして急に……!?」
「くッそ、早く引き揚げんぞ!!」
 シェスカとジェイクィズの切迫した声も、今のヴィルには聞こえない。流されないように、せめて少女と浮輪を離さないように、力いっぱい掴んでいることしかできない。さっきはばたつかせて進むことができた足も、今はその流れに流されるままだった。
「ち、く……しょ……ッ!」
 そんな悪態も、高くなる波に飲み込まれていく。
「せーので引くぞ!」
 船員たちも集まり、一刻も早く、一気に片を付けようと、ジェイクィズが合図する。それにシェスカとサキが頷き返し、それまでそばで見ていただけだったベルシエルまでもがサキに並ぶようにロープに手をかけた。
「じゃあ行くぞ! せぇぇぇのッ!!」

 ぶつん。

 張り上げた声と同時だった。力の行き場がなくなったベルシエルとジェイクィズ、それから船員たちは、そのまま後ろにドミノ倒しのように倒れ込んだ。
「​──​──は?」
 手に残るロープを見る。他の部分はまだ新品のように真新しいのに。ジェイクィズの持つその先端は腐り落ちていた。
「サキ!」
 ベルシエルの叫ぶ声。
 見るとサキは、シェスカを抱えて船縁の外側にぶら下がっていた。
「シェスカ! そのロープ離すなよ!」
「っ……! わかってるわよ!」
 ぎりぎりと引っ張られる力が強くて、ロープが手のひらをすり抜けそうだ。シェスカはそれをできるだけ思い切り引っ張って、ぐるぐると自らの腕に巻き付けた。腕が圧迫されて、指先まで白くなる。そんな彼女を落とすまいと、サキは抱える手に力を込めた。
 いくらジブリールの隊長といえど、人間のサキにこの重さを、船縁を掴んでいる片腕一本で支えきるなど不可能だ。すぐにでも限界はきてしまう。
「サキ! すぐに引き揚げ……!」
 ベルシエルが駆け寄ろうとしたその時だった。

 ばきッ!!

 不快な音を立てて、サキの掴んでいた船縁が割れた。まるで彼が掴んでいたところだけが腐食していたように、あっさりと。
「うわああああああああッ!!」
 サキの支えで何とか渦に飲まれずにいた状態だったヴィルと少女がその渦に飲まれていく。ロープを巻き付けていたシェスカも、それを抱えていたサキも。次々と。
「くそ!!」
 腐り落ちた船縁に駆け寄り、ジェイクィズはそう吐き捨てた。渦は何故かゆっくりとその大きさを縮小していく。まるで彼らを飲み込んで満足したように。
「どいて」
 ベルシエルはジェイクィズを押しのけると、そのまま、
「ちょっ、ベルちゃん!?」
 何の躊躇いもなく、その渦の中へ飛び込んでいった。
 彼女がその渦に飲み込まれた後、嘘のように海は穏やかになっていく。
「……………………嘘ぉ」
 残されたジェイクィズと船員たちは、ただただ呆然と顔を見合わせて、渦のあった場所を眺めているしかなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...