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記憶
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外は寒かった、そして痛かった。
周りを見渡すといつもよりカップルが多い気がする。
何だか見られているような悪寒が走った。
こっちを見て笑ってる、何が可笑しいんだよ。
僕は急いで家まで帰った。
いつも通りのマンションの玄関に、見知った人がいた。
「お兄ちゃん…」
妹だった。
「入れよ」
「うん…」
寒空の下に妹を放置するのも可哀想なので、とりあえずいれることにした。
「とりあえず座れよ」
「ありがとう 」
妹は僕の言葉を聞くと安心したように椅子に腰かけた。
「どうしたの?」
お茶を用意しながら僕は妹に直球でぶつけてみる。
「お兄ちゃん覚えてる?」
「何を?」
「私が昔お兄ちゃんにしちゃったこと」
妹が言ったことは曖昧で、まるで僕に忘れててほしいような発言だった。
「何かされたっけ?」
だったら僕は…
「嘘だよね、本当は覚えてるんでしょ」
何で自分から触れていくんだよ、忘れててほしかったんじゃないのかよ。
「あれ…」
妹が指をさした先には大量で異常な量のティッシュが積まれていた。
「忘れたいから、自分を慰めることをやめられない、しているときは辛いことを忘れられるから、そうやって過去から逃げようとしないでよ、今と向き合ってよ」
妹は怒りながら、でも悲しそうな声で僕の心に触れ始めた。
「何も覚えてないよ」
だけど僕は心に触れてほしくなくて逃げてしまう。
「私知ってたんだよ、お兄ちゃんがいじめられてるの」
でも妹は逃がしてはくれない。
「私そんなお兄ちゃんが嫌いで、いっぱいひどいこと言っちゃったよね、ほんとは味方になってあげなきゃならなかったのに」
思い出したくなくて勝手に美化していた思い出が崩れていった。
「そんなことなかったよ」
やめてくれよ、俺に関わるなよ、そんなこと妹に言えるはずもなかった。
「分かった今日は帰るね」
でも妹はそんな僕の心情を察してくれたようにこれ以上は何も言わずに、自分から身を引いてくれた。
「また今度来るから」
「…」
「ごめんねお兄ちゃん…」
妹は僕をどうしたいのだろう、忘れたんだからいいじゃないか、もうそれでいいだろ。
玄関から音がなくなるまで僕は一歩もそこを動けなかった。
周りを見渡すといつもよりカップルが多い気がする。
何だか見られているような悪寒が走った。
こっちを見て笑ってる、何が可笑しいんだよ。
僕は急いで家まで帰った。
いつも通りのマンションの玄関に、見知った人がいた。
「お兄ちゃん…」
妹だった。
「入れよ」
「うん…」
寒空の下に妹を放置するのも可哀想なので、とりあえずいれることにした。
「とりあえず座れよ」
「ありがとう 」
妹は僕の言葉を聞くと安心したように椅子に腰かけた。
「どうしたの?」
お茶を用意しながら僕は妹に直球でぶつけてみる。
「お兄ちゃん覚えてる?」
「何を?」
「私が昔お兄ちゃんにしちゃったこと」
妹が言ったことは曖昧で、まるで僕に忘れててほしいような発言だった。
「何かされたっけ?」
だったら僕は…
「嘘だよね、本当は覚えてるんでしょ」
何で自分から触れていくんだよ、忘れててほしかったんじゃないのかよ。
「あれ…」
妹が指をさした先には大量で異常な量のティッシュが積まれていた。
「忘れたいから、自分を慰めることをやめられない、しているときは辛いことを忘れられるから、そうやって過去から逃げようとしないでよ、今と向き合ってよ」
妹は怒りながら、でも悲しそうな声で僕の心に触れ始めた。
「何も覚えてないよ」
だけど僕は心に触れてほしくなくて逃げてしまう。
「私知ってたんだよ、お兄ちゃんがいじめられてるの」
でも妹は逃がしてはくれない。
「私そんなお兄ちゃんが嫌いで、いっぱいひどいこと言っちゃったよね、ほんとは味方になってあげなきゃならなかったのに」
思い出したくなくて勝手に美化していた思い出が崩れていった。
「そんなことなかったよ」
やめてくれよ、俺に関わるなよ、そんなこと妹に言えるはずもなかった。
「分かった今日は帰るね」
でも妹はそんな僕の心情を察してくれたようにこれ以上は何も言わずに、自分から身を引いてくれた。
「また今度来るから」
「…」
「ごめんねお兄ちゃん…」
妹は僕をどうしたいのだろう、忘れたんだからいいじゃないか、もうそれでいいだろ。
玄関から音がなくなるまで僕は一歩もそこを動けなかった。
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