実践練習のお題は……ぼっちリレー小説

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実践練習、番外編。

断片から話を広げろ。 鶏編?

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 ある日曜日。そういうと、まるで休みの日のように聞こえる。世界の大多数の常識。しかし、少数派にとっては、手当のつく仕事の日でしかない。

 その日も、僕は仕事に行くため駅に向かっていた。朝の七時前、口から白い息が漏れる。同じようなバッグに手袋、コートを羽織り歩く男たち。

 気が付けば、もうすぐ十二月になる。ブラックフライデーの買い物に連れ回されたのが記憶に新しい。あのようなイベントもいずれ当たり前になっていくのかもしれない。

 ふと、耳に鶏の嘶きが届いた。

 その音は、一年ほど前の記憶を自然と呼び起こす。あの時も、今日と同じような寒い朝だった。

 クゥッ、クゥッ、クゥッ、と独特の鳴き声を漏らしながら一羽の鶏が、僕の前を歩いていた。時折、警戒するように止まり、辺りを見回しては歩くを繰り返す。僕と鶏の距離は次第に狭まっていった。

 駅が視界に入るぐらいなった頃、僕は鶏の少し後ろを歩いていた。鶏は、前方や左右に注意を払っているようだが、後方には無関心で、僕には何の警戒もしていない。内心、駅に着く前に抜き去ってやろうと企んでいた。抜き去り際、音を立てて驚かせてやると。

 そんなくだらない企みは、信号に捉まり潰えた。

 鶏に人間のルールは通用しない。止まることなく歩いていく。

 その姿を見送った僕は鶏から興味を失い、時計と頭の中の電車のダイヤを見比べた。信号が変わって渡るころには鶏の存在自体を忘れた。

 そして、人込みにまぎれ横断する僕を、一匹の犬が追い抜いていった。

 などと、昔のことを思い出しているうちに、その信号にたどり着いた。残念ながら。鶏も犬もいなかった。ただ、改札を抜ける時に、地元のニュースでイノシシが出没した報道があったことを思い出した。
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