実践練習のお題は……ぼっちリレー小説

実践練習、番外編。

最初の記憶を書きなさい。

　コーヒー牛乳。

　記憶を遡っていくと、この単語に行きつく。もっと古いものも断片的に存在するはず。しかし、一番古い記憶を想起しようとすると、このコーヒー牛乳が上位に来る。

　まず、私に残る一定レベル以上の自我の記憶は、幼稚園の年中から始まっている。二つ上の兄が小学校に入り、一つ下の妹が入園してきた。ちょうど、そんなころ。

　しかし、この頃の記憶は後付けかもしれない。親兄弟から、こんなことがあったと話されるうちに自然と記憶が作られたものというか、実際にあったことだけどあやふやな色をしている記憶。

　色のついている記憶。坂道、自転車、軽トラック。車にはねられた時の記憶。地面に寝っ転がって見ていた。唇の下を２針縫った。いまもその時の傷跡が残ってる。

　でも、そんな事件より、茶色いパックに入った甘いやつだ。チケットを持っていると、お昼ご飯の時にもらえるのだ。月に一度ぐらいだけだったが、他のみんなが白の牛乳を飲んでる中、一人茶色いコーヒー牛乳を飲める特別感が深く心に刻まれているのかもしれない。