ヒアソビ ~定年教師と蕾たち~

razor777

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プロローグ

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あの日、滝の前で私はインタビューされた。大人の人がいろいろな機材を持って私を取り囲み、見たことのない大きさのカメラを私に向けていた。どうすればいいのか困っていると、綺麗なお姉さんが笑顔でマイクを私に差し出してきた。そして、こう聞いてきた。

「今日は家族旅行ですか?」

「いいえ、違います」

あの人たちは、そんなことをしてくれない。だから否定した。

「あら、そうなの? じゃあ、どなたと来たんですか?」

綺麗なお姉さんが、さらに聞いてきた。ふと、学校の授業で聞いた個人情報のことを思い出し、思わず名前を言ってしまいそうになるのを堪え、こう答えた。

「せんせいと、ふたりで、来ました」

なぜか、お姉さんの表情がちょっと固まった。そうして、「そうなの、楽しんでいってね」と言葉を残し、お姉さんと大人の集団は、別の人を取り囲みに行ってしまった。
でも、私たちは今日で帰るので、特に楽しむこともないと思った。ここも。新幹線の時間までの暇つぶしで寄っただけなのだから。









後になって教えてもらった。この時の映像がリアルタイムに全国に流れたらしい。ちゃんと教えられたように、名前を伏せられたことを褒めてもらえると、私は素直に喜んだ。



数日後、先生は学校を辞めた。



世間は、好き勝手に先生のことを誹謗中傷した。先生は気にするなって言ってたけど、私はその中でも許せないことが一つあった。
男性教師が女子生徒と二人っきりで淫行旅行。本当に好き勝手なことをいう。



お邪魔虫がいたのに、二人っきりではなかったのに。



あの旅行は、先生と、私と友達の由佳のふたりで、行った。かわりばんこだったり、二人一緒にだったり、ホントはずっと二人きりでしたかったのを我慢したのに。


「志保、お待たせ。って、何怒ってんの?」

「由佳、遅いよ。やっぱ、由佳って、お邪魔虫だなぁって」

あれから、私たちの関係はほとんど変わっていない。

「はぁ? 昨日、自分は割り込んできたくせに、よく言うよ」

「でも、最初は一対一よ、昨日私も、そこは我慢したんだから」

そんな話をしながら、私と由佳は先生の家に向かう。今日こそ、先生を唸らせてあげたいと心に秘めて。











これから何をするかですって?



ふふ、ゲームですよ。



先生は、ピコピコって呼ぶけど。



あと、先生が学校を辞めたのは定年になったから。



でも、生徒と先生じゃなくなったから、頼めばセックスしてくれるようになった。



だから、クラスのみんなが、先生が学校を辞めたのを喜んでいることを、私は知ってる。
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