【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩

文字の大きさ
6 / 35

6

しおりを挟む
アンにはここであった出来事を話すと目を潤ませる。

「奥様...記憶がそこまでなかったなんて」

まさか自分の旦那を忘れているとは思わなかったのだろう。

私も旦那がいるのは覚えていたが顔までは思い出していなかった。

しかも夫婦仲も悪いなら思い出さなくていいだろぐらいに思っていたのだ。

「しかしあんなイケメンとね」

いくら顔が良くてもあんな無表情で無感情なのはいただけない。

そりゃ若いプルメリアには怖くみえただろう。
年上なんだから少しはプルメリアの事を考えてあげれば良かったのに

「はぁ...」

思わずため息が漏れた。

ユウリもこんな父と母の間でさぞかし大変だっただろう。
尚更早くあの子には親の温もりを教えてあげたかった。

「サンフォードねぇ、なんかどっかで聞いた名前よね」

「それは奥様の名前でもありますから」

アンが私の呟きに苦笑する。

そうなんだがそれよりも前から知っていたような...ユウリ・サンフォード...

「あー!」

私は思わず大声をあげてしまった。

「きゃあ!  お、奥様何かありましたか!」

アンは何事かとキョロキョロと周りを警戒する。

「そうよ、ユウリ・サンフォードって優里亜の本の名前そのままじゃない!」

ユウリ・サンフォードは幼少期不遇な待遇によりその心を病み、悪の道へと走ってしまうと優里亜が教えてくれた。

話に両親の名前は出ていなかったからピンとこなかったがユウリはフルネームで出ていたので間違いない。

まさか優里亜じゃなくて私が転生したって言うの?

優里亜からそんな設定だと聞いていたがファンタジーだからとあまり考えずにいた。

いやまさかそんなこと...

そう思うが実際知らない人の体になっているのだ。

「アン、今って何年でこの国はなんて言うの?」

「今は2025年でこの国はエストロイヤ国ですが...」

アンはそんな事も忘れてしまったのかと言う顔で答えた。

「エストロイヤ...」

確かそんな国だった気がするが明確には覚えていなかった。

「じゃああの子があのユウリなんだ」

優里亜が幸せにしてあげたいと言っていたユウリが今目の前にいる。

「優里亜、私にユウリを幸せにして欲しいのね」

何故私がここに来たのかわかった気がした。

「アン、悪いけどお茶は後!  ユウリを追いかけて!」

「は、はい!」

アンは慌てて車椅子を再び押してくれた。



しかしあの後も屋敷を探したがユウリに会うことは出来なかった。

車椅子では行けないところに行ってしまったようで今の私には追いかけることができない。

「とりあえずは足を治す事と、体を元気にする事ね。あとは...アン紙とペンをお願い」

アンに用意してもらいインクをつける。

この国の字、書けるかしら?

話す言葉や書いてある文字は難なく読めることができた。

文字はどうだろうと試しにユウリと書いてみた。

「書ける...みたいね」

プルメリアが書けたからか問題ないようだ。

私はユウリに手紙を書いた。
まずは今までの事を謝った、そして少しでいいから話す機会が欲しいと...

「これをユウリに渡してきて」

アンは頷き受け取ると部屋を出ていく。

「ふー、後は本の事をわかる限り書き記しておかないと」

私は優里亜から聞かされた話を思い出す限り紙に書いていった。

集中して書いていくうちにこの家の事を思い出してきた。

ユウリの幼少期の話は具体的なエピソードが書かれてる訳ではなくところ何処で回想シーンのように出てきただけだった。

ユウリがこうなったのは両親に無視され続けたから...とかユウリがこうなったのは幼い頃にこういう体験をしたからなどだ。

両親の事も少しだけ話していた。

確かウィリアム自身は両親から厳しく育てられ、ユウリやプルメリアに対してどう接すればわからなかったようなのだ。

「全く、だったら他の人に聞くとかあったでしょうに」

しかし幼くして当主になったウィリアムは早く大人になるしかなかったのかもしれない。

「みんな親は選べないもんね」

あの無表情の裏側にも何か色々抱えていると思うと可哀想に思えてきた。

仕方ない、私は優里亜の自慢のお母さんだ。

「頑張ってみますか」

私はこの本を読んでいるかもしれない優里亜に向かって拳をあげた。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

毒味役の私がうっかり皇帝陛下の『呪い』を解いてしまった結果、異常な執着(物理)で迫られています

白桃
恋愛
「触れるな」――それが冷酷と噂される皇帝レオルの絶対の掟。 呪いにより誰にも触れられない孤独な彼に仕える毒味役のアリアは、ある日うっかりその呪いを解いてしまう。 初めて人の温もりを知った皇帝は、アリアに異常な執着を見せ始める。 「私のそばから離れるな」――物理的な距離感ゼロの溺愛(?)に戸惑うアリア。しかし、孤独な皇帝の心に触れるうち、二人の関係は思わぬ方向へ…? 呪いが繋いだ、凸凹主従(?)ラブファンタジー!

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

完結·異世界転生したらアザラシ? でした〜白いモフモフでイケメン騎士たちに拾われましたが、前世の知識で医療チートしています〜

恋愛
ネットでアザラシを見ることが癒しだった主人公。 だが、気が付くと知らない場所で、自分がアザラシになっていた。 自分が誰か分からず、記憶が曖昧な中、個性的なイケメン騎士たちに拾われる。 しかし、騎士たちは冬の女神の愛おし子を探している最中で…… ※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています ※完結まで毎日投稿します

【完結済】25年目の厄災

恋愛
生まれてこの方、ずっと陽もささない地下牢に繋がれて、魔力を吸い出されている。どうやら生まれながらの罪人らしいが、自分に罪の記憶はない。 だが、明日……25歳の誕生日の朝には斬首されるのだそうだ。もう何もかもに疲れ果てた彼女に届いたのは…… 25周年記念に、サクッと思い付きで書いた短編なので、これまで以上に拙いものですが、お暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。 

さら
恋愛
 私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。  そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。  王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。  私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。  ――でも、それは間違いだった。  辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。  やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。  王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。  無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。  裏切りから始まる癒しの恋。  厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。

「出来損ないの妖精姫」と侮辱され続けた私。〜「一生お護りします」と誓った専属護衛騎士は、後悔する〜

高瀬船
恋愛
「出来損ないの妖精姫と、どうして俺は……」そんな悲痛な声が、部屋の中から聞こえた。 「愚かな過去の自分を呪いたい」そう呟くのは、自分の専属護衛騎士で、最も信頼し、最も愛していた人。 かつては愛おしげに細められていた目は、今は私を蔑むように細められ、かつては甘やかな声で私の名前を呼んでいてくれた声は、今は侮辱を込めて私の事を「妖精姫」と呼ぶ。 でも、かつては信頼し合い、契約を結んだ人だから。 私は、自分の専属護衛騎士を最後まで信じたい。 だけど、四年に一度開催される祭典の日。 その日、私は専属護衛騎士のフォスターに完全に見限られてしまう。 18歳にもなって、成長しない子供のような見た目、衰えていく魔力と魔法の腕。 もう、うんざりだ、と言われてフォスターは私の義妹、エルローディアの専属護衛騎士になりたい、と口にした。 絶望の淵に立たされた私に、幼馴染の彼が救いの手を伸ばしてくれた。 「ウェンディ・ホプリエル嬢。俺と専属護衛騎士の契約を結んで欲しい」 かつては、私を信頼し、私を愛してくれていた前専属護衛騎士。 その彼、フォスターは幼馴染と契約を結び直した私が起こす数々の奇跡に、深く後悔をしたのだった。 【誤字報告ありがとうございます!大変助かります(´;ω;`)】

黒騎士団の娼婦

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

【完結】女嫌いの公爵様に嫁いだら前妻の幼子と家族になりました

香坂 凛音
恋愛
ここはステイプルドン王国。 エッジ男爵家は領民に寄り添う堅実で温かな一族であり、家族仲も良好でした。長女ジャネットは、貴族学園を優秀な成績で卒業し、妹や弟の面倒も見る、評判のよい令嬢です。 一方、アンドレアス・キーリー公爵は、深紅の髪と瞳を持つ美貌の騎士団長。 火属性の魔法を自在に操り、かつて四万の敵をひとりで蹴散らした伝説の英雄です。 しかし、女性に心を閉ざしており、一度は結婚したものの離婚した過去を持ちます。 そんな彼が、翌年に控える隣国マルケイヒー帝国の皇帝夫妻の公式訪問に備え、「形式だけでいいから再婚せよ」と王に命じられました。 選ばれたのは、令嬢ジャネット。ジャネットは初夜に冷たい言葉を突きつけられます。 「君を妻として愛するつもりはない」 「跡継ぎなら、すでにいる。……だから子供も必要ない」 これは、そんなお飾りの妻として迎えられたジャネットが、前妻の子を真心から愛し、公爵とも次第に心を通わせていく、波乱と愛の物語です。 前妻による陰湿な嫌がらせ、職人養成学校の設立、魔導圧縮バッグの開発など、ジャネットの有能さが光る場面も見どころ。 さらに、伝説の子竜の登場や、聖女を利用した愚王の陰謀など、ファンタジー要素も盛りだくさん。前向きな有能令嬢の恋の物語です。最後には心あたたまるハッピーエンドが待っています。 ※こちらの作品は、カクヨム・小説家になろうでは「青空一夏」名義で投稿しております。 アルファポリスでは作風を分けるため、別アカウントを使用しています。 本作は「ほのぼの中心+きつすぎないざまぁ」で構成されています。 スカッとする場面だけでなく、読み終わったあとに幸福感が残る物語です。 ちょっぴり痛快、でも優しい読後感を大切にしています。 ※カクヨム恋愛ランキング11位(6/24時点) 全54話、完結保証つき。 毎日4話更新:朝7:00/昼12:00/夕17:00/夜20:00→3回更新に変えました。 どうぞ、最後までお付き合いくださいませ。

処理中です...