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アンにはここであった出来事を話すと目を潤ませる。
「奥様...記憶がそこまでなかったなんて」
まさか自分の旦那を忘れているとは思わなかったのだろう。
私も旦那がいるのは覚えていたが顔までは思い出していなかった。
しかも夫婦仲も悪いなら思い出さなくていいだろぐらいに思っていたのだ。
「しかしあんなイケメンとね」
いくら顔が良くてもあんな無表情で無感情なのはいただけない。
そりゃ若いプルメリアには怖くみえただろう。
年上なんだから少しはプルメリアの事を考えてあげれば良かったのに
「はぁ...」
思わずため息が漏れた。
ユウリもこんな父と母の間でさぞかし大変だっただろう。
尚更早くあの子には親の温もりを教えてあげたかった。
「サンフォードねぇ、なんかどっかで聞いた名前よね」
「それは奥様の名前でもありますから」
アンが私の呟きに苦笑する。
そうなんだがそれよりも前から知っていたような...ユウリ・サンフォード...
「あー!」
私は思わず大声をあげてしまった。
「きゃあ! お、奥様何かありましたか!」
アンは何事かとキョロキョロと周りを警戒する。
「そうよ、ユウリ・サンフォードって優里亜の本の名前そのままじゃない!」
ユウリ・サンフォードは幼少期不遇な待遇によりその心を病み、悪の道へと走ってしまうと優里亜が教えてくれた。
話に両親の名前は出ていなかったからピンとこなかったがユウリはフルネームで出ていたので間違いない。
まさか優里亜じゃなくて私が転生したって言うの?
優里亜からそんな設定だと聞いていたがファンタジーだからとあまり考えずにいた。
いやまさかそんなこと...
そう思うが実際知らない人の体になっているのだ。
「アン、今って何年でこの国はなんて言うの?」
「今は2025年でこの国はエストロイヤ国ですが...」
アンはそんな事も忘れてしまったのかと言う顔で答えた。
「エストロイヤ...」
確かそんな国だった気がするが明確には覚えていなかった。
「じゃああの子があのユウリなんだ」
優里亜が幸せにしてあげたいと言っていたユウリが今目の前にいる。
「優里亜、私にユウリを幸せにして欲しいのね」
何故私がここに来たのかわかった気がした。
「アン、悪いけどお茶は後! ユウリを追いかけて!」
「は、はい!」
アンは慌てて車椅子を再び押してくれた。
しかしあの後も屋敷を探したがユウリに会うことは出来なかった。
車椅子では行けないところに行ってしまったようで今の私には追いかけることができない。
「とりあえずは足を治す事と、体を元気にする事ね。あとは...アン紙とペンをお願い」
アンに用意してもらいインクをつける。
この国の字、書けるかしら?
話す言葉や書いてある文字は難なく読めることができた。
文字はどうだろうと試しにユウリと書いてみた。
「書ける...みたいね」
プルメリアが書けたからか問題ないようだ。
私はユウリに手紙を書いた。
まずは今までの事を謝った、そして少しでいいから話す機会が欲しいと...
「これをユウリに渡してきて」
アンは頷き受け取ると部屋を出ていく。
「ふー、後は本の事をわかる限り書き記しておかないと」
私は優里亜から聞かされた話を思い出す限り紙に書いていった。
集中して書いていくうちにこの家の事を思い出してきた。
ユウリの幼少期の話は具体的なエピソードが書かれてる訳ではなくところ何処で回想シーンのように出てきただけだった。
ユウリがこうなったのは両親に無視され続けたから...とかユウリがこうなったのは幼い頃にこういう体験をしたからなどだ。
両親の事も少しだけ話していた。
確かウィリアム自身は両親から厳しく育てられ、ユウリやプルメリアに対してどう接すればわからなかったようなのだ。
「全く、だったら他の人に聞くとかあったでしょうに」
しかし幼くして当主になったウィリアムは早く大人になるしかなかったのかもしれない。
「みんな親は選べないもんね」
あの無表情の裏側にも何か色々抱えていると思うと可哀想に思えてきた。
仕方ない、私は優里亜の自慢のお母さんだ。
「頑張ってみますか」
私はこの本を読んでいるかもしれない優里亜に向かって拳をあげた。
「奥様...記憶がそこまでなかったなんて」
まさか自分の旦那を忘れているとは思わなかったのだろう。
私も旦那がいるのは覚えていたが顔までは思い出していなかった。
しかも夫婦仲も悪いなら思い出さなくていいだろぐらいに思っていたのだ。
「しかしあんなイケメンとね」
いくら顔が良くてもあんな無表情で無感情なのはいただけない。
そりゃ若いプルメリアには怖くみえただろう。
年上なんだから少しはプルメリアの事を考えてあげれば良かったのに
「はぁ...」
思わずため息が漏れた。
ユウリもこんな父と母の間でさぞかし大変だっただろう。
尚更早くあの子には親の温もりを教えてあげたかった。
「サンフォードねぇ、なんかどっかで聞いた名前よね」
「それは奥様の名前でもありますから」
アンが私の呟きに苦笑する。
そうなんだがそれよりも前から知っていたような...ユウリ・サンフォード...
「あー!」
私は思わず大声をあげてしまった。
「きゃあ! お、奥様何かありましたか!」
アンは何事かとキョロキョロと周りを警戒する。
「そうよ、ユウリ・サンフォードって優里亜の本の名前そのままじゃない!」
ユウリ・サンフォードは幼少期不遇な待遇によりその心を病み、悪の道へと走ってしまうと優里亜が教えてくれた。
話に両親の名前は出ていなかったからピンとこなかったがユウリはフルネームで出ていたので間違いない。
まさか優里亜じゃなくて私が転生したって言うの?
優里亜からそんな設定だと聞いていたがファンタジーだからとあまり考えずにいた。
いやまさかそんなこと...
そう思うが実際知らない人の体になっているのだ。
「アン、今って何年でこの国はなんて言うの?」
「今は2025年でこの国はエストロイヤ国ですが...」
アンはそんな事も忘れてしまったのかと言う顔で答えた。
「エストロイヤ...」
確かそんな国だった気がするが明確には覚えていなかった。
「じゃああの子があのユウリなんだ」
優里亜が幸せにしてあげたいと言っていたユウリが今目の前にいる。
「優里亜、私にユウリを幸せにして欲しいのね」
何故私がここに来たのかわかった気がした。
「アン、悪いけどお茶は後! ユウリを追いかけて!」
「は、はい!」
アンは慌てて車椅子を再び押してくれた。
しかしあの後も屋敷を探したがユウリに会うことは出来なかった。
車椅子では行けないところに行ってしまったようで今の私には追いかけることができない。
「とりあえずは足を治す事と、体を元気にする事ね。あとは...アン紙とペンをお願い」
アンに用意してもらいインクをつける。
この国の字、書けるかしら?
話す言葉や書いてある文字は難なく読めることができた。
文字はどうだろうと試しにユウリと書いてみた。
「書ける...みたいね」
プルメリアが書けたからか問題ないようだ。
私はユウリに手紙を書いた。
まずは今までの事を謝った、そして少しでいいから話す機会が欲しいと...
「これをユウリに渡してきて」
アンは頷き受け取ると部屋を出ていく。
「ふー、後は本の事をわかる限り書き記しておかないと」
私は優里亜から聞かされた話を思い出す限り紙に書いていった。
集中して書いていくうちにこの家の事を思い出してきた。
ユウリの幼少期の話は具体的なエピソードが書かれてる訳ではなくところ何処で回想シーンのように出てきただけだった。
ユウリがこうなったのは両親に無視され続けたから...とかユウリがこうなったのは幼い頃にこういう体験をしたからなどだ。
両親の事も少しだけ話していた。
確かウィリアム自身は両親から厳しく育てられ、ユウリやプルメリアに対してどう接すればわからなかったようなのだ。
「全く、だったら他の人に聞くとかあったでしょうに」
しかし幼くして当主になったウィリアムは早く大人になるしかなかったのかもしれない。
「みんな親は選べないもんね」
あの無表情の裏側にも何か色々抱えていると思うと可哀想に思えてきた。
仕方ない、私は優里亜の自慢のお母さんだ。
「頑張ってみますか」
私はこの本を読んでいるかもしれない優里亜に向かって拳をあげた。
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