【完結】売られた令嬢

三園 七詩

文字の大きさ
54 / 98

54.

しおりを挟む
「レミリア?」

ジョージはエミリアの様子に声をかけるがエミリアは目の前の男を見つめたままボーッとしている。

「どうしたんだ!」

レミリアを揺するとハッとしたようにジョージの後ろに隠れるが、チラチラと男の姿を確認している。

ジョージも気になり男を見る、身なりは最初に入ってきた話を聞いた男と同じようだが、体格がかなりいい。

見た目も悔しいが負けていた。

ジョージはレミリアを後ろに下がらせて男から見えないようにすると…

「それで、話は通ったのかな?」

姿勢を正して落ちはらった様子で話しかけた。

「いえ、それがまだいくつか確認したい事ができまして…この方ともう一度お話を伺います」

「この方と?」

レミリアが頬を染めながら長身の男を見上げた。

「フレッドと申します…いくつか話を聞かせて下さい。なぜこの国に来ようと思ったのですか?」

「そりゃロレッタがいるからだ!」

ジョージの言葉にフレッドは拳に力が入る。

「ロレッタ…様と呼んで頂けますか?彼女は今はこの国の客人としてもてなしておりますので…」

「「えっ…」」

ジョージとレミリアは驚き固まる。

「お、お姉様が客人?何かの間違いでは?だってこの国には…その…捕虜の様な感じだと聞きましたが…」

「へぇ…よくご存知で、捕虜とわかっていてあなた方は大切な家族や恋人を他国に送ったのですか?」

「そ、それは…」

レミリアが下を向く。

「仕方ない事だ!ロレッタもわかって行ってくれた。だからこうしてきてロレッタと話がしたいと…」

「ロレッタ…と呼び捨てにするなと…」

フレッドは拳を握りしめて一歩前に出た。

「え?」

「あー!いえー!なんでもありません!」

シドが大きな声を出して誤魔化す。

「フレッド…さ、ん落ち着いて話を聞きましょうね~」

フレッドを後ろに下がらせる。

「わかっている…」

フレッドはフーっと深く息を吐いた。

「あの…お姉様は今この国で幸せなのですか?それは…あなた様のおかげなのでしょうか?」

レミリアはうるうると瞳を揺らしながらフレッドのそばに行くとその手を掴んだ。

両手でギュッと握りしめて、見上げる。

「あなた様の様な方がそばにいて姉は幸せに決まってます!私も是非姉におめでとうと伝えたいです。この国で幸せになってねと…」

「レミリア…君はなんて優しい妹なんだ…」

ジョージはレミリアの思いに感動している。

「姉妹愛の為にもロレッタに会わせてくれ、それにロレッタもきっと俺に会いたがってるだろう…彼女が望むのであれば側室として迎えてもいいと…」

バキッ!

「キャッ!」

フレッドのそばにあった椅子が急に壊れた、その音にレミリアはフレッドに抱きついた。
しおりを挟む
感想 290

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

(完)そんなに妹が大事なの?と彼に言おうとしたら・・・

青空一夏
恋愛
デートのたびに、病弱な妹を優先する彼に文句を言おうとしたけれど・・・

(完結)私より妹を優先する夫

青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。 ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。 ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

処理中です...