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ロレッタはエミリーさんと部屋で雑談をしていると顔を曇らせたフレッド王子が現れた。
「エミリー、少し外してくれるか?」
王子の様子にエミリーさんは心配そうにこちらを見るがロレッタはにっこりと笑って頷いた。
「では…失礼致します」
「エミリー、もうこのまま休む。部屋には誰も近づけないように」
「わかりました」
エミリーさんは一例して部屋を出ていった。
ロレッタは何か自分に話があるのかとフレッド様の言葉を待っていた。
しかしフレッド様は黙って近づいてくると手を伸ばしてくる。
そのまま頬を撫でられて顔にかかった髪を耳にかけられた。
「フレッド様?」
様子のおかしなフレッド様に声をかける。
「今からする話は…ロレッタには辛い話かもしれん。だがいつまでも黙っておくわけにはいかない、いつか誰かの耳から話されるよりはいいと思った」
「はい…」
ロレッタは王子からよくない話をさせるのだと瞬時に悟った。
しかし王子の様子に少しだけ笑みがこぼれる。
「なぜ笑う?」
「いえ…今までこんな風に話される人などいなかったもので、皆私にとってよくない話をする時はいつも笑っておりました…だから今私よりも苦しそうにするフレッド様に胸が温かくなっております。どんな話をされても大丈夫です…だってフレッド様がそばにいてくれるのですから…」
ロレッタはにっこりと笑った。
「ロレッタ…君は本当に強くなったんだな。ここに初めて来た時とは違う」
「それはフレッド様のおかげです」
ロレッタの笑顔にフレッドの肩の力が少し抜けた。
「実はコスリガ国だが…今反乱がおきて国が崩壊しつつある」
「コスリガ国が…」
ロレッタは少しだけ眉を下げて口をおおった。
「どうもあの国の王子と妃の傍若無人な振る舞いに限界がきたようだ」
「そう…ですか」
「まだ調査中だがほとんどの王族と関係者は捕まったと思われる…君の両親も」
ロレッタは瞳を閉じて頷いた。
「それは…とても悲しい事ですが仕方ありません。あのような事をずっとなさっていては…いつかはこうなるだろうと…それよりも民達はどうなったのでしょう…」
「ほとんどが他国へ逃げたようだ」
「そうですか…」
ロレッタは少しだけほっとした。
「どうする?何か私に出来ることはあるか?」
フレッドはロレッタの手を握りしめる。
「いえ、父と母も国のお金に手を出しておりました…ですから…償いは…するべきです…」
そうは言いながらもロレッタは悲しそうに顔を歪ませる。
フレッドは強く手を握りしめると…ロレッタが顔をあげた。
「ですが…もし可能なら…フレッド様の胸を貸して下さい…」
今にも泣きそうな顔でフレッドを見上げる…だがその瞳からは涙はこぼれていなかった。
フレッドはロレッタの頭に優しく手を添え、そのまま自分の方へと引き寄せる。
「クッ……ありがとう…ございます」
ロレッタは静かにフレッドの胸に顔を埋めた。
「エミリー、少し外してくれるか?」
王子の様子にエミリーさんは心配そうにこちらを見るがロレッタはにっこりと笑って頷いた。
「では…失礼致します」
「エミリー、もうこのまま休む。部屋には誰も近づけないように」
「わかりました」
エミリーさんは一例して部屋を出ていった。
ロレッタは何か自分に話があるのかとフレッド様の言葉を待っていた。
しかしフレッド様は黙って近づいてくると手を伸ばしてくる。
そのまま頬を撫でられて顔にかかった髪を耳にかけられた。
「フレッド様?」
様子のおかしなフレッド様に声をかける。
「今からする話は…ロレッタには辛い話かもしれん。だがいつまでも黙っておくわけにはいかない、いつか誰かの耳から話されるよりはいいと思った」
「はい…」
ロレッタは王子からよくない話をさせるのだと瞬時に悟った。
しかし王子の様子に少しだけ笑みがこぼれる。
「なぜ笑う?」
「いえ…今までこんな風に話される人などいなかったもので、皆私にとってよくない話をする時はいつも笑っておりました…だから今私よりも苦しそうにするフレッド様に胸が温かくなっております。どんな話をされても大丈夫です…だってフレッド様がそばにいてくれるのですから…」
ロレッタはにっこりと笑った。
「ロレッタ…君は本当に強くなったんだな。ここに初めて来た時とは違う」
「それはフレッド様のおかげです」
ロレッタの笑顔にフレッドの肩の力が少し抜けた。
「実はコスリガ国だが…今反乱がおきて国が崩壊しつつある」
「コスリガ国が…」
ロレッタは少しだけ眉を下げて口をおおった。
「どうもあの国の王子と妃の傍若無人な振る舞いに限界がきたようだ」
「そう…ですか」
「まだ調査中だがほとんどの王族と関係者は捕まったと思われる…君の両親も」
ロレッタは瞳を閉じて頷いた。
「それは…とても悲しい事ですが仕方ありません。あのような事をずっとなさっていては…いつかはこうなるだろうと…それよりも民達はどうなったのでしょう…」
「ほとんどが他国へ逃げたようだ」
「そうですか…」
ロレッタは少しだけほっとした。
「どうする?何か私に出来ることはあるか?」
フレッドはロレッタの手を握りしめる。
「いえ、父と母も国のお金に手を出しておりました…ですから…償いは…するべきです…」
そうは言いながらもロレッタは悲しそうに顔を歪ませる。
フレッドは強く手を握りしめると…ロレッタが顔をあげた。
「ですが…もし可能なら…フレッド様の胸を貸して下さい…」
今にも泣きそうな顔でフレッドを見上げる…だがその瞳からは涙はこぼれていなかった。
フレッドはロレッタの頭に優しく手を添え、そのまま自分の方へと引き寄せる。
「クッ……ありがとう…ございます」
ロレッタは静かにフレッドの胸に顔を埋めた。
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