59 / 98
59.
しおりを挟む
ロレッタはしばらくするとそっとフレッドから離れた。
顔をあげるとその瞳が少しだけ赤くなっている。
「ありがとうございます。それで私はどうすればよろしいでしょうか?このままコスリガ国へ帰った方がよろしいならそう致します」
ロレッタは覚悟は出来ているとそっと涙を拭って笑った。
フレッドはロレッタの言葉に驚きの慌てて否定した。
「何を言ってる!ロレッタはもうアルゴラ国民だ、私のそばに居ればいい」
そう言って強く抱きしめられてロレッタは嬉しそうに笑うが首を横に振るとその体を離した。
「いいえ、私はこのままでは国が滅ぶかもしれないとわかっていて何もしませんでした。両親と同じく民達のお金で生活をしていたのです。それなら私も罰を受けるべきです」
フレッドはロレッタの手を掴むとその手は小刻みに震えていた。
その手をそっと包み込み優しく声をかける。
「ここに来た時はやせ細り、心が疲れきっていたのにか?君が何もしなかったとは思えない…どうせあの馬鹿な王子達が話も聞かなかったんだろ…」
最後にはあの顔が思い出されて悪態をつく。
「フレッド様…あの場にいたのですか?」
まるで見ていたかのような言葉にロレッタは驚いた。
「やはりそうか…ロレッタの話を聞いてるだけで想像つく」
「ですが…」
まだ何か言おうとするロレッタの唇に手を当てた。
「優しい君が心を痛めるのはわかっていた。だからこのままこの事は話さないでいようかとも思っていたんだ。しかしそれではロレッタも納得できないだろうと話す事にした。そう思ったのは君が強くなったからだ、君はこの国に来た時点でアルゴラ国の為に生きる事になった。もしコスリガ国に何かしたいのであればアルゴラ国の者としてすればいい」
「アルゴラ国の者…」
「君がこの国に来たからこそできることもあるだろう」
ロレッタはフレッドを見つめて頷いた。
「そうですね…私はアルゴラ国の王子フレッド様の物、勝手に自分の命を軽んじて申し訳ございませんでした。私は私にできる範囲でコスリガ国の犠牲になった者を助けたいと思います」
フレッドはそれでいいと頷いた。
「ああ、それなら私も力を貸そう。シドからもこの国にコスリガ国から逃げて来た者も多いと聞いた。それはロレッタがこの国に来たからなのではないか?」
「私が…」
「民達の中には君を頼りに来たものもいるだろう。君は君のできることで助ければいい…」
「フレッド様…ありがとうございます」
ロレッタは我慢していた涙がまたこぼれた。
フレッドはそれをそっと拭ってやる。
ロレッタは少しして落ち着くとフーと息を深く吐いた。
「大丈夫か?」
ロレッタの様子をうかがい顔を覗き込むと、顔には笑みが戻っていた。
「はい、私…この国に来てフレッド様のお相手に指名されて本当によかった。心からそう思います」
ロレッタの震えはいつの間にか止まっていた。
顔をあげるとその瞳が少しだけ赤くなっている。
「ありがとうございます。それで私はどうすればよろしいでしょうか?このままコスリガ国へ帰った方がよろしいならそう致します」
ロレッタは覚悟は出来ているとそっと涙を拭って笑った。
フレッドはロレッタの言葉に驚きの慌てて否定した。
「何を言ってる!ロレッタはもうアルゴラ国民だ、私のそばに居ればいい」
そう言って強く抱きしめられてロレッタは嬉しそうに笑うが首を横に振るとその体を離した。
「いいえ、私はこのままでは国が滅ぶかもしれないとわかっていて何もしませんでした。両親と同じく民達のお金で生活をしていたのです。それなら私も罰を受けるべきです」
フレッドはロレッタの手を掴むとその手は小刻みに震えていた。
その手をそっと包み込み優しく声をかける。
「ここに来た時はやせ細り、心が疲れきっていたのにか?君が何もしなかったとは思えない…どうせあの馬鹿な王子達が話も聞かなかったんだろ…」
最後にはあの顔が思い出されて悪態をつく。
「フレッド様…あの場にいたのですか?」
まるで見ていたかのような言葉にロレッタは驚いた。
「やはりそうか…ロレッタの話を聞いてるだけで想像つく」
「ですが…」
まだ何か言おうとするロレッタの唇に手を当てた。
「優しい君が心を痛めるのはわかっていた。だからこのままこの事は話さないでいようかとも思っていたんだ。しかしそれではロレッタも納得できないだろうと話す事にした。そう思ったのは君が強くなったからだ、君はこの国に来た時点でアルゴラ国の為に生きる事になった。もしコスリガ国に何かしたいのであればアルゴラ国の者としてすればいい」
「アルゴラ国の者…」
「君がこの国に来たからこそできることもあるだろう」
ロレッタはフレッドを見つめて頷いた。
「そうですね…私はアルゴラ国の王子フレッド様の物、勝手に自分の命を軽んじて申し訳ございませんでした。私は私にできる範囲でコスリガ国の犠牲になった者を助けたいと思います」
フレッドはそれでいいと頷いた。
「ああ、それなら私も力を貸そう。シドからもこの国にコスリガ国から逃げて来た者も多いと聞いた。それはロレッタがこの国に来たからなのではないか?」
「私が…」
「民達の中には君を頼りに来たものもいるだろう。君は君のできることで助ければいい…」
「フレッド様…ありがとうございます」
ロレッタは我慢していた涙がまたこぼれた。
フレッドはそれをそっと拭ってやる。
ロレッタは少しして落ち着くとフーと息を深く吐いた。
「大丈夫か?」
ロレッタの様子をうかがい顔を覗き込むと、顔には笑みが戻っていた。
「はい、私…この国に来てフレッド様のお相手に指名されて本当によかった。心からそう思います」
ロレッタの震えはいつの間にか止まっていた。
49
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる