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「行ってらっしゃい!」
私、ニケアインは精一杯の笑顔で父、ゼリフに声かける。
父は笑顔で頷くとおでこにキスをする、私も同じようにキスを返した。
そして姿が見えなくなるまで手を振り続けるとそっと手を下ろす。
これが冒険者の父を見送る日課だった。
この瞬間はいつまでたってもなれずに寂しかった。
そんな気持ちを抑えて早速家事をする事にする。
私は幼い頃に母親を亡くして父と二人暮しだった。
そんな父は私を溺愛してくれて父といる時に寂しい事はなかった。冒険者の父は家を空けることが多く家事は私の仕事だった。
しかしそれほど苦になる事はなく、帰ってきた父に美味しい料理を作って出迎えるのは楽しかった。
父が仕事に出かけてから1週間、そろそろ帰ってくる頃かと料理を作っていると慌ただしく父が帰ってきた。
「ニケ!」
父が切羽詰まった声で私を呼んだ。
怪我でもしてきたのかと父の元に駆けつけるとその腕に誰かを抱えている。
今で必死に走って帰っていたのか父は汗と泥だらけだった。
「ニケ、回復薬を持ってこい!」
「う、うん!」
私は奥の棚から回復薬を持ってくる。
これは父がいざと言う時に買っておいたものだ。
高価な品だが父は躊躇うことなく蓋を開けると腕に抱いてる子に飲ませる。
見ると私よりも少し小さい男の子だった。
私は今年13歳になる、この子は10歳くらいだろうか、可愛らしい顔が苦痛に歪み苦しそうにしている。
薬を飲ませるとベッドに横にさせて経過を見ることになった。
父はとりあえず風呂に入れさせて落ち着かせると事の経緯を聞くことにした。
「実は・・・」
父にご飯を用意しながら話を聞くと冒険者として仕事に行った先で拾ったらしい。
周りに人の気配はなく、魔物に襲われていたところに父と遭遇したそうだ。
魔族を倒すと父を見るなり気を失って倒れたらしく、見ると体は傷だらけで熱も出ていてかなりやばい状態だったようだ。
「ニケよりも小さい子なのになんであんな場所にいたんだか」
父の顔が怒りに染まる。
「お父さん」
私が不安で父の手を触るとニコッと笑顔を見せた。
「まだ危険な状態だ、俺はもう少し大きい町に行って薬を買ってくるつもりなんだが・・・」
父がそこまで言って申し訳無さそうに私の顔を上目遣いで見た。
きっと高価な薬をこの子に使おうと考えているのだろう。そうなると決して楽ではない暮らしがさらに大変になるかもしれないが私は迷う事なく笑った。
「ふふ、いいよ。料理の品が1品減るけどいいよね!」
「もちろんだ! ニケの作る料理が食べれるなら満足だ」
父は笑うと料理を食べて早速出かける準備を始める。
「なるべく早く戻る」
父は私のおでこにキスすると家を出ていった。
私はいつものように見送り早速男の子の様子を見に行った。
今は薬の効果か少し落ち着いているがまだ目を覚ます様子はない。
私は汚れていた服を脱がせて体を拭こうとしてハッとする。
男の子の体はやせ細り傷だらけだった。新しい傷から昔についた治りかけのものまである。
私は痛まないように優しく体を拭いた。傷には塗り薬をつけて安静にさせておく。
時折うなされる声にそばに付き添い頭に濡れたタオルを置く。
そうして看病をして1日経った日に男の子はようやく目覚めた。
ガタッ!
男の子のねている部屋から物音がして慌てて見に行くと男の子がベッドから転げ落ちていた。
「大丈夫!」
私が駆け寄ろうとすると男の子は威嚇するように睨みつけてきて小さい体を丸めている。
その姿は野良猫が人間を威嚇するように見えた。
「目が覚めたら知らない場所でびっくりしたよね。私はニケアイン、君は私のお父さんが連れてきたんだよ。魔物に襲われて怪我してて手当てしたんだよ」
そう話しかけると自分の体を見て手当てされた様子に少しだけ警戒を解いた。
「まだ体力戻ってないでしょ? もう少し休んでて」
そう言って近づくと向こうは1歩下がる。
私は呆れて近づくと体を支えてベッドに寝かせた。
「いいから休んでて! 私がいるのが嫌なら部屋を出るから」
起き上がろうとするので扉に近づいて部屋を出ようとするとようやく力を抜いてベッドに横たわる。
「じゃおやすみ」
男の子は寝るまいかと目を開いて睨みつけるがやはり調子が悪いようでそのまま倒れるように横になった。
私は近づいて仰向けに寝かせると布団をかけて部屋を出ていった。
次の日の朝見に行くと男の子は目を覚ましていた。
昨日ほど威嚇する様子はないがまだ警戒している。
私はスープを持っていくとベッドの横のテーブルに乗せる。
「ご飯食べれる? スープ作ったんだけど」
男の子はいらないと言うようにベッドの端に寄って黙っている。
私はスープを置いて部屋を出ていった。
しばらくして様子を見に行くがスープに手をつけられたあとはなかった。
「味ダメだった? 結構美味しいと思うんだけど」
料理を残されたのは初めてでなんだか悲しくなる。私は残すのはもったいないからと覚めたスープを男の子の目の前で飲み干した。
その様子に男の子はハッとして唾をゴクンと飲み込んだ。
「飲む?」
飲みたそうにする姿に聞いてみると目を逸らした。
私は少し考えてもう一度スープを温めて持ってきた。そして少しだけスープを飲んで見せる。
「ほら美味しいよ」
そう言って差し出すとジッとスープを見つめている。
そのままそこに置いて私は部屋を出ていった。
しばらくするとキィーと扉が開く音がした。振り返ると男の子がスープの皿を持って立っている。
見ると中身は空で飲んでくれたようだ。
「あっ、持ってきてくれたの?」
受け取ろうと近づくと一瞬ビクッとしながらもコクっと頷く。
「おかわりいる?」
皿を受け取りながら聞いてみるとジッと目を見つめてきた。
何も言わないが食べそうな雰囲気に私は先程よりも多めにスープを入れるとテーブルに置いた。
「まだあるから良かった飲んで」
男の子は警戒しながら座ろうかと迷っているのでまたベッドの部屋に置いてやる事にした。
すると私が出ていくとガタガタと動く音にスープに飛びついたのがわかる。
なんか猫を少しだけ手懐けた気分になり私はクスッと笑ってしまった。
私、ニケアインは精一杯の笑顔で父、ゼリフに声かける。
父は笑顔で頷くとおでこにキスをする、私も同じようにキスを返した。
そして姿が見えなくなるまで手を振り続けるとそっと手を下ろす。
これが冒険者の父を見送る日課だった。
この瞬間はいつまでたってもなれずに寂しかった。
そんな気持ちを抑えて早速家事をする事にする。
私は幼い頃に母親を亡くして父と二人暮しだった。
そんな父は私を溺愛してくれて父といる時に寂しい事はなかった。冒険者の父は家を空けることが多く家事は私の仕事だった。
しかしそれほど苦になる事はなく、帰ってきた父に美味しい料理を作って出迎えるのは楽しかった。
父が仕事に出かけてから1週間、そろそろ帰ってくる頃かと料理を作っていると慌ただしく父が帰ってきた。
「ニケ!」
父が切羽詰まった声で私を呼んだ。
怪我でもしてきたのかと父の元に駆けつけるとその腕に誰かを抱えている。
今で必死に走って帰っていたのか父は汗と泥だらけだった。
「ニケ、回復薬を持ってこい!」
「う、うん!」
私は奥の棚から回復薬を持ってくる。
これは父がいざと言う時に買っておいたものだ。
高価な品だが父は躊躇うことなく蓋を開けると腕に抱いてる子に飲ませる。
見ると私よりも少し小さい男の子だった。
私は今年13歳になる、この子は10歳くらいだろうか、可愛らしい顔が苦痛に歪み苦しそうにしている。
薬を飲ませるとベッドに横にさせて経過を見ることになった。
父はとりあえず風呂に入れさせて落ち着かせると事の経緯を聞くことにした。
「実は・・・」
父にご飯を用意しながら話を聞くと冒険者として仕事に行った先で拾ったらしい。
周りに人の気配はなく、魔物に襲われていたところに父と遭遇したそうだ。
魔族を倒すと父を見るなり気を失って倒れたらしく、見ると体は傷だらけで熱も出ていてかなりやばい状態だったようだ。
「ニケよりも小さい子なのになんであんな場所にいたんだか」
父の顔が怒りに染まる。
「お父さん」
私が不安で父の手を触るとニコッと笑顔を見せた。
「まだ危険な状態だ、俺はもう少し大きい町に行って薬を買ってくるつもりなんだが・・・」
父がそこまで言って申し訳無さそうに私の顔を上目遣いで見た。
きっと高価な薬をこの子に使おうと考えているのだろう。そうなると決して楽ではない暮らしがさらに大変になるかもしれないが私は迷う事なく笑った。
「ふふ、いいよ。料理の品が1品減るけどいいよね!」
「もちろんだ! ニケの作る料理が食べれるなら満足だ」
父は笑うと料理を食べて早速出かける準備を始める。
「なるべく早く戻る」
父は私のおでこにキスすると家を出ていった。
私はいつものように見送り早速男の子の様子を見に行った。
今は薬の効果か少し落ち着いているがまだ目を覚ます様子はない。
私は汚れていた服を脱がせて体を拭こうとしてハッとする。
男の子の体はやせ細り傷だらけだった。新しい傷から昔についた治りかけのものまである。
私は痛まないように優しく体を拭いた。傷には塗り薬をつけて安静にさせておく。
時折うなされる声にそばに付き添い頭に濡れたタオルを置く。
そうして看病をして1日経った日に男の子はようやく目覚めた。
ガタッ!
男の子のねている部屋から物音がして慌てて見に行くと男の子がベッドから転げ落ちていた。
「大丈夫!」
私が駆け寄ろうとすると男の子は威嚇するように睨みつけてきて小さい体を丸めている。
その姿は野良猫が人間を威嚇するように見えた。
「目が覚めたら知らない場所でびっくりしたよね。私はニケアイン、君は私のお父さんが連れてきたんだよ。魔物に襲われて怪我してて手当てしたんだよ」
そう話しかけると自分の体を見て手当てされた様子に少しだけ警戒を解いた。
「まだ体力戻ってないでしょ? もう少し休んでて」
そう言って近づくと向こうは1歩下がる。
私は呆れて近づくと体を支えてベッドに寝かせた。
「いいから休んでて! 私がいるのが嫌なら部屋を出るから」
起き上がろうとするので扉に近づいて部屋を出ようとするとようやく力を抜いてベッドに横たわる。
「じゃおやすみ」
男の子は寝るまいかと目を開いて睨みつけるがやはり調子が悪いようでそのまま倒れるように横になった。
私は近づいて仰向けに寝かせると布団をかけて部屋を出ていった。
次の日の朝見に行くと男の子は目を覚ましていた。
昨日ほど威嚇する様子はないがまだ警戒している。
私はスープを持っていくとベッドの横のテーブルに乗せる。
「ご飯食べれる? スープ作ったんだけど」
男の子はいらないと言うようにベッドの端に寄って黙っている。
私はスープを置いて部屋を出ていった。
しばらくして様子を見に行くがスープに手をつけられたあとはなかった。
「味ダメだった? 結構美味しいと思うんだけど」
料理を残されたのは初めてでなんだか悲しくなる。私は残すのはもったいないからと覚めたスープを男の子の目の前で飲み干した。
その様子に男の子はハッとして唾をゴクンと飲み込んだ。
「飲む?」
飲みたそうにする姿に聞いてみると目を逸らした。
私は少し考えてもう一度スープを温めて持ってきた。そして少しだけスープを飲んで見せる。
「ほら美味しいよ」
そう言って差し出すとジッとスープを見つめている。
そのままそこに置いて私は部屋を出ていった。
しばらくするとキィーと扉が開く音がした。振り返ると男の子がスープの皿を持って立っている。
見ると中身は空で飲んでくれたようだ。
「あっ、持ってきてくれたの?」
受け取ろうと近づくと一瞬ビクッとしながらもコクっと頷く。
「おかわりいる?」
皿を受け取りながら聞いてみるとジッと目を見つめてきた。
何も言わないが食べそうな雰囲気に私は先程よりも多めにスープを入れるとテーブルに置いた。
「まだあるから良かった飲んで」
男の子は警戒しながら座ろうかと迷っているのでまたベッドの部屋に置いてやる事にした。
すると私が出ていくとガタガタと動く音にスープに飛びついたのがわかる。
なんか猫を少しだけ手懐けた気分になり私はクスッと笑ってしまった。
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